異世界転移した俺の、美味しい異世界生活

yahagi

文字の大きさ
2 / 111

鳥唐揚げとおにぎり

しおりを挟む
 さあ、気を取り直して料理を作っていこう。
 作る料理は唐揚げだ。

 鳥肉を一口大に切って下味をつけている間に、背脂を熱して油を作る。
 染み出してきた油を布でこせば油の出来上がりだ。
 油は170°の中温に熱し、衣をつけた鳥肉を全体がきつね色になるまで揚げる。
 その後、強火でカリカリに揚げる。

 取り出して、完成だ。

 マヨネーズは売っていなかったので、断念した。
 なんでも、卵は生で食べてはいけないらしい。
 それは結構重大な出来事だった。

 ひとつ、味見してみる。
 カリカリに揚がった皮の内側に肉汁がじゅわっと溢れてくる。
 下味は醤油もどきと、生姜とにんにく。
 うん、うまい。
 若返ったせいか、いくらでも食べられる気がする。
 俺は山盛りの唐揚げにレモンを添えて出した。

 食べるのは、アラブレヒトと支店の社員のみなさんだ。

「お待たせしました。俺の故郷の料理で、唐揚げといいます。お好みでレモンを絞ってお食べ下さい」

 アラブレヒトがまず、何もつけずにかじりついた。

「熱っ、中からじゅわっと肉汁が溢れてきて……外はカリカリで……うん、うまい! こんな料理、食べたことないよ!」

「アラブレヒト様、これは美味しいですね」

「うん、うまい!」

「エールにも合うぞ!」

 皆さんはおいしく食べてくれているようだ。
 俺も一口、かぶりつく。
 うん、美味しい。
 パンと一緒に食べる唐揚げもうまい。

 この夜はアラブレヒトの支店に泊まらせていただき、ゆっくりと眠ることが出来た。

 朝ご飯はまかないのオムレツとトマトサラダ、野菜とベーコンのスープを頂いた。
 アラブレヒトが言う。
 
「ハヤトは今日、料理ギルドか?」

「うん、行ってみようと思う。頑張ってくるよ」

「あの唐揚げなら大丈夫だ。あっ、でもハヤト、お前の故郷の料理って一種類じゃないだろ? 出来るだけ一回に申請した方がお得だぜ。何しろ、申請代金に金貨一枚かかるからな」

「たっか! わかったよ、じゃあたくさんレシピを一度に持ち込もうと思う。それでさ、俺はお米を探してるんだ。細長くて、白い穀物を知らないかい? 昨日市場では見つけられなかったんだ」

「うーん、じゃあ穀物屋に一緒に行くか? 思っているより種類があると思うぞ」

「うん、行く! ありがとう、アラブレヒト」

 大通りを抜けて、大きな穀物屋にたどり着く。
 
「白い穀物っていうと、これとこれとこれと……あとは、こっちだ」

 うーん、どれも米じゃない。

「店主、白い穀物はここに並べてある以外であるか?」

「そうですねえ、じゃあ、裏に回って下さい」

 俺達が裏に回ると、大量の穀物が積上がっていた。
 そこの一部が口が開いている。
 そこへ顔を出すと、それはまごうことなきお米だったのである。

「お米だー! やった、あったぞー!」

「これは家畜の餌用に買ったんです。いくらでもありますから、安くお売りしますよ」

「あの、人間が食べても問題はありませんか?」

「問題はぼそぼそして美味しくない事でしょうねぇ。これが美味くなるのなら、ぜひレシピ登録して下さいよ」

「はいっ、頑張ります!」

 俺は持てる分だけ買おうとしたが、アラブレヒトが美味しいなら支店にも置きたいという事になり、かなりの量を買った。
 でも値段は安価だった。
 お米の知名度はないに等しいのだろう。

 俺は帰宅して米を洗い、まず水につけた。
 一時間待って、水を切り、鍋に入れる。
 水を生活魔法で出して、ひたひたにする。
 そして火にかけた。
 初めは弱火で熱していく。
 はじめちょろちょろ中ぱっぱ、赤子泣いても蓋取るな。
 俺は土鍋で米を炊いた事もある。
 慣れた要領で米を炊いていく。
 最後に15分蒸して完成だ。

 蓋を開けて見ると、粒が立って白く光っており、とても美味しそうだ。
 味見をしてみると、うん、米の甘さがいいアクセントになっている。
 ボソボソしてないし、十分美味しい。

 俺は醤油で味付けした肉味噌を中に入れたものと、塩むすびを作った。
 そして、アラブレヒトに持って行く。

「やあ、ハヤト。出来たのかい」

「ああ。まずはおにぎりを作ってみたよ。手掴みで食べる軽食なんだけど、どうかな? こっちが肉味噌味で、こっちが塩むすび」

「まずは食べてみよう。塩むすびを頂くよ。……うん、店主はボソボソすると言っていたけれど、そんな事ないね。ほんのり甘くて、美味しいじゃないか。腹にたまりそうなのもいいね」

「パンの代わりに食べるものだからさ。これを使った丼を夜に出そうと思うんだけど、いいかな?」

「お米料理かい? そりゃあ楽しみだね。ぜひ夜に出しておくれよ」 

 アラブレヒトは塩むすびの後、肉味噌味を食べて満足そうに頷いた。

「これもレシピ登録するんだろう? うちの軽食に是非採用したいね」

「そう言ってくれると自信がつくよ。夜飯はいろんな揚げ物をする予定だから、楽しみにしててくれ」

 アラブレヒトはにっこりと笑って俺を抱きしめた。
 胸がドキリと波打つ。

「君を拾って良かったよ。俺は美味いものに目がなくてね。本当に良い出会いだった」

「あ、ああ…‥。俺もアラブレヒトに会えて幸運だったよ」

 アラブレヒトは俺の頭を撫でると、仕事に戻っていった。

 俺は自分の分のおにぎりを食べながら、ボーッとしていた。
 おにぎりは文句なく美味しい。
 肉味噌味も、醤油もどきが良いかくし味になっている。
 うん、美味しい。

 そういえば、アラブレヒトにこの世界の恋愛については何も教わってないんだよな。
 ちなみに、俺は同性愛者だ。
 俺は二丁目に行くのも怖くて、マッチングアプリをやってみたことがある。
 でも、メッセージの段階で怖じ気付いてしまって、先に進めなかった。
 この世界での男性同士の恋愛がどうか、禁忌ではありませんように。
 俺はほそっこいし、背も170センチそこそこしかない。
 だから、ムキムキマッチョに憧れがあるんだよなぁ。
 プロレス選手の写真集とか買って、オナニーの時に使ってた。

 俺ってもしかして、この世界で恋人出来るかもしれないのか?
 今の俺の身体は16歳、無理ではない。
 もしかしたらセックスも出来るかもしれない。

 ドクンと心臓が高鳴る。
 俺だって好きな男とセックスしたい欲はある。
 そうか…‥。
 若返ったのはなんでだかわからないが、神様ありがとう!
 正直ワクワクしかありません! 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔王に転生したら幼馴染が勇者になって僕を倒しに来ました。

なつか
BL
ある日、目を開けると魔王になっていた。 この世界の魔王は必ずいつか勇者に倒されるらしい。でも、争いごとは嫌いだし、平和に暮らしたい! そう思って魔界作りをがんばっていたのに、突然やってきた勇者にあっさりと敗北。 死ぬ直前に過去を思い出して、勇者が大好きだった幼馴染だったことに気が付いたけど、もうどうしようもない。 次、生まれ変わるとしたらもう魔王は嫌だな、と思いながら再び目を覚ますと、なぜかベッドにつながれていた――。 6話完結の短編です。前半は受けの魔王視点。後半は攻めの勇者視点。 性描写は最終話のみに入ります。 ※注意 ・攻めは過去に女性と関係を持っていますが、詳細な描写はありません。 ・多少の流血表現があるため、「残酷な描写あり」タグを保険としてつけています。

愛していた王に捨てられて愛人になった少年は騎士に娶られる

彩月野生
BL
湖に落ちた十六歳の少年文斗は異世界にやって来てしまった。 国王と愛し合うようになった筈なのに、王は突然妃を迎え、文斗は愛人として扱われるようになり、さらには騎士と結婚して子供を産めと強要されてしまう。 王を愛する気持ちを捨てられないまま、文斗は騎士との結婚生活を送るのだが、騎士への感情の変化に戸惑うようになる。 (誤字脱字報告は不要)

【完】心配性は異世界で番認定された狼獣人に甘やかされる

おはぎ
BL
起きるとそこは見覚えのない場所。死んだ瞬間を思い出して呆然としている優人に、騎士らしき人たちが声を掛けてくる。何で頭に獣耳…?とポカンとしていると、その中の狼獣人のカイラが何故か優しくて、ぴったり身体をくっつけてくる。何でそんなに気遣ってくれるの?と分からない優人は大きな身体に怯えながら何とかこの別世界で生きていこうとする話。 知らない世界に来てあれこれ考えては心配してしまう優人と、優人が可愛くて仕方ないカイラが溺愛しながら支えて甘やかしていきます。

氷の騎士団長様の悪妻とかイヤなので離婚しようと思います

黄金 
BL
目が覚めたら、ここは読んでたBL漫画の世界。冷静冷淡な氷の騎士団長様の妻になっていた。しかもその役は名前も出ない悪妻! だったら離婚したい! ユンネの野望は離婚、漫画の主人公を見たい、という二つの事。 お供に老侍従ソマルデを伴って、主人公がいる王宮に向かうのだった。 本編61話まで 番外編 なんか長くなってます。お付き合い下されば幸いです。 ※細目キャラが好きなので書いてます。    多くの方に読んでいただき嬉しいです。  コメント、お気に入り、しおり、イイねを沢山有難うございます。    

異世界で王子様な先輩に溺愛されちゃってます

野良猫のらん
BL
手違いで異世界に召喚されてしまったマコトは、元の世界に戻ることもできず異世界で就職した。 得た職は冒険者ギルドの職員だった。 金髪翠眼でチャラい先輩フェリックスに苦手意識を抱くが、元の世界でマコトを散々に扱ったブラック企業の上司とは違い、彼は優しく接してくれた。 マコトはフェリックスを先輩と呼び慕うようになり、お昼を食べるにも何をするにも一緒に行動するようになった。 夜はオススメの飲食店を紹介してもらって一緒に食べにいき、お祭りにも一緒にいき、秋になったらハイキングを……ってあれ、これデートじゃない!? しかもしかも先輩は、実は王子様で……。 以前投稿した『冒険者ギルドで働いてたら親切な先輩に恋しちゃいました』の長編バージョンです。

今世はメシウマ召喚獣

片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。 最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。 ※女の子もゴリゴリ出てきます。 ※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。 ※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。 ※なるべくさくさく更新したい。

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

異世界転移して出会っためちゃくちゃ好きな男が全く手を出してこない

春野ひより
BL
前触れもなく異世界転移したトップアイドル、アオイ。 路頭に迷いかけたアオイを拾ったのは娼館のガメツイ女主人で、アオイは半ば強制的に男娼としてデビューすることに。しかし、絶対に抱かれたくないアオイは初めての客である美しい男に交渉する。 「――僕を見てほしいんです」 奇跡的に男に気に入られたアオイ。足繁く通う男。男はアオイに惜しみなく金を注ぎ、アオイは美しい男に恋をするが、男は「私は貴方のファンです」と言うばかりで頑としてアオイを抱かなくて――。 愛されるには理由が必要だと思っているし、理由が無くなれば捨てられて当然だと思っている受けが「それでも愛して欲しい」と手を伸ばせるようになるまでの話です。 金を使うことでしか愛を伝えられない不器用な人外×自分に付けられた値段でしか愛を実感できない不器用な青年

処理中です...