異世界転移した俺の、美味しい異世界生活

yahagi

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いざ、料理ギルド

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 今夜のメニューは、トンカツとメンチカツにカツ丼とフライドポテト、それとデザートにプリン。

 お肉は厚切りにしたグレイトボアの肉を使う。
 肉の筋に切れ込みを入れて、棒で叩く。
 形を整えて、塩胡椒をまぶす。

 お肉に小麦粉をつけ、溶いた卵を全体にまぶす。
 そしてパン粉を全体につける。

 160°から170°の油できつね色になるまでしっかり揚げる。
 その後、180°の高温でからっと揚げる。

 これでトンカツは出来上がり。
 このレシピで困ったのは、パン粉が売っていない事だった。
 古くなったパンを貰い、凹凸のある金物を用意して、ひたすらすりおろした。
 苦労の甲斐あって、美味しく出来上がった。
 千切りのキャベツとトマトを添えて、完成。




 メンチカツは肉を叩いて、細かく叩いた肉と荒く叩いた肉を合わせて使う。
 玉ねぎをみじん切りにし、塩胡椒、にんにく、酒と一緒に練り上げる。
 一個ずつタネを形成し、空気を抜く。
 卵に小麦粉と水を加えてバッター液を作る。
 バッター液に浸した後、パン粉をつける。
 160°に熱した油でじっくり揚げる。

 千切りキャベツとトマトを添えて出来上がり。
 



「ハヤト。キッチンから良い匂いが漂っているよ。何か手伝おうか?」

「大丈夫。今運ぶ所なんだ。まずはトンカツとメンチカツを白米でどうぞ召し上がれ」

 ドンっと並べた揚げ物を、アラブレヒトは注意深く見つめた。

「こんな形の食べ物、見たことがないよ。まずはトンカツだね。ふうむ……サクッとしていて、中の肉が柔らかくて美味しい。グレイトボアだと思うけど、これは美味しいね。さて、次はメンチカツだ。むう、これは……中がジューシーで、とっても柔らかい! これは美味しいね。お米がとても合うように思う」

「俺はトンカツが好きだ! ガツンと肉を食ってる気がする。飯も美味いな!」

「私はメンチカツが好きよ。柔らかいし、とってもジューシーだわ。お米って美味しいのね」

「この量じゃ全く足りんぞ、小僧! こいつはエールにも合うぞ!」

「今、追加を揚げてきます。少々お待ち下さい」

 俺はキッチンに取って返し、追加のトンカツを揚げた。
 鍋で玉ねぎを炒めて、キノコから取った出汁に砂糖、酒、醤油を加えて煮る。
 そこにトンカツを投入。
 溶き卵をかけて、完全に火が通るまで熱する。

 日本なら半熟に仕上げる所だが、ここは異世界。
 しっかり火を通していこう。

 アツアツのご飯に乗せて完成。
 さあ、みんなのカツ丼が出来たぞ。

「お待たせしました、カツ丼です!」

「おおー、見るからに美味そうだ!」

「頂こう。ううむ……美味い! カツに卵がほどよく馴染んで実に美味しいハーモニーを産んでいる。米との相性も抜群だ!」

 アラブレヒトは感激してくれた。

「カツ丼ってうめえな! こりゃあ、いくらでも食えるぜ!」

「カツ丼って美味しいのね。ぜひレシピを買いたいわ」

 俺はキッチンに戻り、じゃがいもを揚げていた。
 その間に、蒸していたプリンの様子を見る。

「うん、いい感じだ」

 俺は揚がったじゃがいもに塩を振りかけて、みんなの所に持って行った。

「おおー、うまいっ、エールに合うぞ!」

「このじゃがいものホクホク感、アツアツのこの感じ。最高だ!」

 アラブレヒトはエールを飲みつつ、フライドポテトを食べた。
 フライドポテトは大変好評だった。

 そこへ、デザートのプリンを出す。
 
「んー、甘い! うめえ!」

「このプルプルした食感、滑らかな舌触り。すごく美味しいよ」

 アラブレヒトは美味しそうにプリンを食べた。

「プリンも登録出来そうかな?」

「ああ、いけるよ。是非登録して欲しいね」

 アラブレヒトはニコニコしている。
 本当に食べるの好きなんだなぁ。

 僕は自分の分のカツ丼をゆっくりと食べた。
 うん、最高に美味しい。
 デザートのプリンも、美味しかった。

「御馳走様。明日は料理ギルドに行ってみるよ」

「おう。頑張れ!」

 アラブレヒトの応援が嬉しい。
 俺は頑張るぞと気合いを入れつつ、後片付けをした。




 翌日はよく晴れていた。
 俺はお米とパン粉とお財布だけ持って、料理ギルドに向かった。
 料理ギルドは大通りに面していて、ナイフとフォークの意匠がきらりと輝いていた。

 中に入ると、人が結構いる。
 僕は買取と書いてあるカウンター向かった。

「すみません。レシピを買って頂きたいんですが」

「かしこまりました。申請代金として金貨一枚かかります。審査に落ちた場合でも返金は致しかねますが、宜しいですか?」

「はい、大丈夫です」

 俺は金貨一枚を支払った。
 領収書を貰い、持ち込み食材のお米とパン粉をチェックして貰う。

「問題ございません。料理は六人前作って下さい。出来上がったら呼んで下さい」

「はい。わかりました!」

 俺はグレイトボアの肉に切り込みを入れて、叩くことから始めた。




 料理が全て出来上がったので、俺は受付の人を呼んだ。

「わかりました。係のものが運びますので、あなたは審査室へお越し下さい」

「はい、わかりました」

 俺は審査室へ足を踏み入れた。
 そこには、老若男女様々な審査員が席についていた。

「まずは自己紹介といこうかの。儂はジノリンじゃ」

「俺はグレイプ。冒険者だ」

「私はミスティよ」

「俺はノステル」

「私はホルンよ」

「僕はケグサ」

 料理が次々と並べられる。
 
「ふむ、見たこともない料理のようじゃ。まずは一つずつ行こう。これは何じゃ?」

「はい。これはおにぎりです。塩むすびと、肉味噌味を作りました。どうぞ手掴みでお食べ下さい」

「むむっ、これは美味い。冒険中でも軽く食べられそうだ」

「塩むすびも、ほんのり甘いのね。色んな具材が合いそうね」

「肉味噌味も美味しいですよ。これは今までなかった味ですね」

「決を取る。登録して良いと思う者は手を上げろ」

 ジノリンさんの声に、六人全員が手を上げた。

「やったぁ!」

「ふぉっふぉっふぉ。おめでとう。では、次に行くぞ。これは何じゃ?」

「はい。揚げ物三種類になります。右からトンカツ、メンチカツ、フライドポテトです。炊き立てご飯と一緒にどうぞ」

「むむっ、ザクッとした歯ごたえ、肉を食ってる気がする。肉は柔らかいな。うむ、美味いっ」

「このメンチカツ、柔らかくて美味しいわぁ。凄くジューシーでご飯にも合うわね」

「このフライドポテト、塩味が大事ね。最高に美味しいわ」

「ああ、このご飯はすごく美味しいわね。今まで食べられている穀物ではないわよね?」

「はい。穀物屋の店主さんは、家畜の餌だと言っていました」

「なる程のう。では、米を含めて4点の決を取る。登録しても良いと思ったなら手を上げろ」

 六名全員が手を上げた。

「おめでとう。これで五点じゃな。五点も登録するのは久し振りの事じゃな」

 ジノリンさんは威厳たっぷりに頷いた。
 僕はごくりと唾を飲み込んだ。
 さあ、後半戦だ。
 張り切っていくぞ!
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