異世界転移した俺の、美味しい異世界生活

yahagi

文字の大きさ
10 / 111

カキ氷と餃子

しおりを挟む
 今日は朝からアラブレヒトもワクワクした顔をしている。
 とうとうカキ氷の魔道具が出来上がる頃合いだ。
 俺とアラブレヒトはサンラクさんの魔道具屋に押し掛けた。

「朝から来おって、そんなにこの魔道具が待ち遠しかったんか?」

「はい、楽しみにしてました!」

「待っていろ、試運転で氷を削るからの。ここに氷を入れて、このボタンを押す。するとここから氷が出てくる」

 出口から出てきた氷を入れ物に入れて貰い、スプーンで掬って食べた。
 柔らかい口当たり、すうっと溶けていく氷。

「うん! サンラクさん、これですよ! さすがサンラクさんだ。理想通りの出来です」

「ここ三日、氷ばっかり食いながら調整したからな。しかし、店で出すならもう一台欲しいか?」

「この一台は支店に置くから、二台発注させてよ。なあ、ハヤト」

「うん、そうだね。お金は今日払っていきます」

「また氷を食う羽目になるか……。まあいい。美味い料理を楽しみにしとるぞ」

「はい! 頑張ります!」

 俺達は魔道具を担いで帰り、さっそく蔵の氷を切り出して、カキ氷を作った。
 ガラスの器にこんもりと山になるように氷を削っていく。
 そこに朝作っておいた真っ赤なシロップをたっぷりかける。
 さあ、出来上がりだ。

「約束通り、アラブレヒトが一番に食べてみてくれよ。はい、スプーン」

「ありがとう、頂きます。うん、冷たくて甘いな。葡萄の香りがするが、葡萄の味はしないな」

「殆ど砂糖水なんだよ。もっと葡萄を足すべきかな?」

「ハヤトも食べてみなよ。ハヤトが納得出来たらそれでいいさ」

「うん、この味わいで十分満足出来るよ。でも、思ったより高いスイーツになりそうかな?」

「氷を使っているから、それは仕方ないね。それと、舌が真っ赤だよ、ハヤト。食紅のせいだね」

「あはは。舌が赤くなるのも、カキ氷の魅力のひとつさ。あっ、みなさん、お揃いで……」

 気付けば、支店の従業員の皆さんが集まっていた。

「その美味しそうなものは、俺達の分もあるんでしょうなあ!」

「私達もいるわよ」

「あっ、はい。ちゃんと皆の分ありますので、席でお待ち下さい」

 それから俺は、カキ氷機でカキ氷を作りまくった。
 茶目っ気を出して、緑茶味のあんこと団子乗せをアラブレヒトに出したら、これが大好評だった。
 抹茶があれば抹茶スイーツを作るんだが。
 ないものは仕方ない。

 俺は真っ赤なのに葡萄味のカキ氷と、緑茶味を売り出す事にした。
 皆さんにも緑茶味をお出ししたのは、言うまでもない。

「このカキ氷、真夏に食ったら最高だろうなぁ」

「この緑茶味、美味しいわぁ。お団子はすっかりスイーツね」

「あっ、キーンとしやがる。頭いてえ……」

「ああ、急いで食べると頭が痛くなるんですよ。これも周知徹底しなければなりませんね」

「メニューに書いておけば事足りるさ。ああ、オープンが楽しみだね」

「まだキッチンが全然だよ、アラブレヒト。店の改修が終わったら、俺も気合いを入れて頑張るからさ」

「ああ。期待しているよ。プレオープンに呼ぶ面々は俺の方で招待状を出すからさ。魚屋のオヤジも、穀物屋のオヤジもいる。皆楽しみにしてるぜ」

「ありがとう、アラブレヒト。俺はいつも君に助けられているよ」

「俺はお前より年上だしな。どんどん頼って良いぜ。ただし、美味い昼食を作ってくれよ」

「ああ、任せておいてくれ」

 俺は早速キッチンに入り、あれを作ろうと心に決めた。

 薄力粉と強力粉を同量用意し、塩ひとつまみを入れて混ぜ合わせる。
 熱湯を投入し、ぼそぼそになるまで混ぜて、一つの塊にしていく。
 表面がつるっとしてくるまでしっかりこねる。
 固く絞った布巾をかけて、30分待つ。
 しっかりこねて、さらにつるっとして弾力が出てくるまでこねて、また30分置く。
 生地を48等分して、丸く伸ばす。

 タネを作る。
 挽き肉に、生姜とにんにくのすり下ろしと酒、油、醤油、砂糖、塩胡椒と出汁を加えて混ぜる。
 キャベツとニラと長ネギをみじん切りにして、挽き肉に混ぜる。
 皮にタネを乗せてヒダを作り、餃子を包む。
 フライパンに油を敷いて餃子を並べ、火をつける。
 少し焦げ目がついたらお湯を入れて蒸し焼きにする。
 水気が少なくなったら、油を回し入れ、美味しそうな焼き色がついたら完成。

「よおし、餃子の完成だ!」

 俺はほかほかのご飯と味噌汁と共に餃子をアラブレヒトに配膳した。

「熱っ、熱くて美味しいね。パリッとした皮と、中のじゅわっとした肉汁がたまらないね」

 俺は美味しそうに食べるアラブレヒトを見届けてから、みんなの分を焼き上げた。
 俺も一口。パリッ。
 
「うーん、美味しいっ」

「餃子って言うのか? これ、かなりうめえぞ! 生姜とにんにくが効いてて、ガツンと来る! 肉汁がたっぷりだ!」

「本当に美味しいわね。ご飯に合うわ」

「美味しいね。外の皮がパリっとしてて、中身はジューシーだ。いくらでも食べれそうだよ」

 俺もサラリーマン時代、餃子定食には世話になった。
 これでビールを飲めると最高なんだよな。

 俺は餃子を食べてエールを飲んだ。
 うん、うまい。

「餃子はエールに合うんだね。気付かなかったよ」

「俺もまだ腹に余裕があるぜ」

「私もまだ食べられるわ」

「わかりました、焼いてきます。皮が心許ないんで、喧嘩しないで食べて下さいね」

 俺は残り少ない皮を使って餃子を包み、焼き上げた。
 大皿に盛って餃子を出すと、アラブレヒトから食べ始めた。
 エールをぐっぐっと飲み、機嫌良さそうに笑っている。

「アラブレヒト、俺、午後から料理ギルドに行ってくるよ。レシピ登録しないと、鰻丼も売れないだろ?」

「そうだな。気を付けて行って来いよ」

「面接希望の人が来たら、アラブレヒトの裁量で採用していいからな」

「おっ、それは責任重大だね。任せてくれよ」

 俺はウィンクをするアラブレヒトに手を振ると、必要なものとカキ氷機を持って料理ギルドに赴いた。

 調理は丁寧に行い、時折記録係の人の質問に答えながら、調理を終えた。
 俺は審査室に入り、以前と同じ面々を見上げた。

「ハヤト、久しいな。今日もたくさんの料理があるのう」

「ジノリンさん、こんにちは。今日は色んな料理を持ってきました。蒸し料理もありますよ」

「そうか。ではまず、これとこれかのう。溶けそうじゃからな」

「はい、葡萄味と緑茶味のカキ氷です。急いで食べると頭が痛むので、ご注意下さい」

「こりゃあ、うめえな。それにしても真っ赤だな」

「緑茶味も美味しいわ。渋味があんこと合うのよね。お団子もピッタリだわ」

「氷がこんなに美味いとは盲点じゃったのう。この二点を登録して良いと思う者は手を挙げろ」

 六名全員が手を挙げた。

「合格じゃ。次は、これかのう」

「それは、左から肉まん、野菜まん、あんまん、花巻の4種類です。花巻は何も包んでいないパンのようなものです。中央のエビチリと合わせてお食べ下さい」

「むおお、まだ熱いな。これが蒸し料理か。皮がもちもちしているな」

「あんまんが美味しいわ。甘くて食べやすいわ」

「肉まんが好きだな。中身もジューシーだ」

「野菜まんもさっぱりしていて美味い。干しエビの風味が効いているな」

「花巻は味の濃い、このエビチリのような料理と相性が良さそうじゃ」

「エビチリも審査対象でいいんじゃねえの? エビがぷりぷりでソースが辛すぎず甘過ぎず丁度良かったぜ」

「では、エビチリを含めた5種類を登録する場合は手を挙げろ」

 六名全員が手を挙げた。

「やったぁ!」

「合格じゃ。では次に移る。これとこれは何じゃ?」

「これは、焼売と餃子です。両方、挽き肉の料理になります」

「焼売は柔らかくジューシーだな。上に乗った青豆の風味が良い」

「餃子はかなり気に入った。これで白飯をかっくらいてえ」

「両方美味しいわ。皮がパリッとしてる分、餃子が優勢かしら」

「焼売と餃子。どっちも登録を希望する場合は手を挙げろ」

 六名全員が手を挙げた。
 
「合格じゃ。次はこれかのう。良い匂いがすると思ったらこれじゃな」

 丼には蓋がしてあった。
 皆が蓋を開けると、鰻丼の良い匂いが溢れ出す。
 申請も後半戦に差し掛かっていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

氷の騎士団長様の悪妻とかイヤなので離婚しようと思います

黄金 
BL
目が覚めたら、ここは読んでたBL漫画の世界。冷静冷淡な氷の騎士団長様の妻になっていた。しかもその役は名前も出ない悪妻! だったら離婚したい! ユンネの野望は離婚、漫画の主人公を見たい、という二つの事。 お供に老侍従ソマルデを伴って、主人公がいる王宮に向かうのだった。 本編61話まで 番外編 なんか長くなってます。お付き合い下されば幸いです。 ※細目キャラが好きなので書いてます。    多くの方に読んでいただき嬉しいです。  コメント、お気に入り、しおり、イイねを沢山有難うございます。    

今世はメシウマ召喚獣

片里 狛
BL
オーバーワークが原因でうっかり命を落としたはずの最上春伊25歳。召喚獣として呼び出された世界で、娼館の料理人として働くことになって!?的なBL小説です。 最終的に溺愛系娼館主人様×全般的にふつーの日本人青年。 ※女の子もゴリゴリ出てきます。 ※設定ふんわりとしか考えてないので穴があってもスルーしてください。お約束等には疎いので優しい気持ちで読んでくださると幸い。 ※誤字脱字の報告は不要です。いつか直したい。 ※なるべくさくさく更新したい。

異世界で王子様な先輩に溺愛されちゃってます

野良猫のらん
BL
手違いで異世界に召喚されてしまったマコトは、元の世界に戻ることもできず異世界で就職した。 得た職は冒険者ギルドの職員だった。 金髪翠眼でチャラい先輩フェリックスに苦手意識を抱くが、元の世界でマコトを散々に扱ったブラック企業の上司とは違い、彼は優しく接してくれた。 マコトはフェリックスを先輩と呼び慕うようになり、お昼を食べるにも何をするにも一緒に行動するようになった。 夜はオススメの飲食店を紹介してもらって一緒に食べにいき、お祭りにも一緒にいき、秋になったらハイキングを……ってあれ、これデートじゃない!? しかもしかも先輩は、実は王子様で……。 以前投稿した『冒険者ギルドで働いてたら親切な先輩に恋しちゃいました』の長編バージョンです。

《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか
BL
24歳の英雄公爵✕29歳の日本に帰りたい異世界転移した青年

【完】心配性は異世界で番認定された狼獣人に甘やかされる

おはぎ
BL
起きるとそこは見覚えのない場所。死んだ瞬間を思い出して呆然としている優人に、騎士らしき人たちが声を掛けてくる。何で頭に獣耳…?とポカンとしていると、その中の狼獣人のカイラが何故か優しくて、ぴったり身体をくっつけてくる。何でそんなに気遣ってくれるの?と分からない優人は大きな身体に怯えながら何とかこの別世界で生きていこうとする話。 知らない世界に来てあれこれ考えては心配してしまう優人と、優人が可愛くて仕方ないカイラが溺愛しながら支えて甘やかしていきます。

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。

ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。 異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。 二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。 しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。 再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。

魔王に転生したら幼馴染が勇者になって僕を倒しに来ました。

なつか
BL
ある日、目を開けると魔王になっていた。 この世界の魔王は必ずいつか勇者に倒されるらしい。でも、争いごとは嫌いだし、平和に暮らしたい! そう思って魔界作りをがんばっていたのに、突然やってきた勇者にあっさりと敗北。 死ぬ直前に過去を思い出して、勇者が大好きだった幼馴染だったことに気が付いたけど、もうどうしようもない。 次、生まれ変わるとしたらもう魔王は嫌だな、と思いながら再び目を覚ますと、なぜかベッドにつながれていた――。 6話完結の短編です。前半は受けの魔王視点。後半は攻めの勇者視点。 性描写は最終話のみに入ります。 ※注意 ・攻めは過去に女性と関係を持っていますが、詳細な描写はありません。 ・多少の流血表現があるため、「残酷な描写あり」タグを保険としてつけています。

処理中です...