異世界転移した俺の、美味しい異世界生活

yahagi

文字の大きさ
76 / 111

リカルドの出立と豚骨ラーメン

しおりを挟む
 翌朝、早起きしてたっぷりお弁当を作った俺は、リカルドと朝食を楽しんでいた。
 朝食のメニューは、ベーコンエッグとトマトサラダ、バタートースト。
 それと、お弁当の余りの唐揚げ。

「唐揚げ、うめえなぁ。ハヤトの飯がしばらく食えねえのが辛いわ」

「俺も、もっともっとリカルドに食べさせたい料理があるよ。冬は少しゆっくりできるの?」

「そうだな。雪の具合をみて、雪深い時期は休暇だ。ハヤトと一緒にいられるぜ」

 俺は笑顔で頷いて、ベーコンエッグを食べた。
 リカルドと一緒に冬を過ごせたら、楽しいだろうなぁ。

 楽しい朝食が終わり、リカルドは出立だ。
 俺は笑顔で見送った。

「いってらっしゃい、リカルド。ずっと待っているよ」

 リカルドは俺にちゅっとキスをして、「行ってくる」と言った。
 マリーに乗って走っていく姿を、俺はいつまでも見つめていた。




 出社して、俺はメリッサさんの手伝いをしていた。
 トランプもまだ出来上がっていないし、今は急いで作る屋台や店もない。
 アラブレヒトのいない社内は寂しいものがあったが、皆キビキビ働いていた。
 よし、俺もなんかやろう。

 俺は冒険者ギルドに赴いて、解体所でグレイトボアの骨をたくさん貰った。
 ずっと着手していなかった豚骨スープに、挑戦しようと思う。

 まずぬるいお湯で血抜きをした後、20分程下茹でする。
 黒い灰汁がブクブク出てくるので、ある程度溜まったら取り除く。
 下茹でしたお湯を捨てる。
 流水でゴミや血合いは取り除く。
 金槌で骨を割って下処理完了。

 ガラ、長ネギ、しょうが、にんにく、キャベツのしん、人参、玉ねぎ、林檎を二時間煮込む。
 野菜のくずを取り出す。
 蓋をせず沸騰させ、綿棒やお玉などででかき混ぜたり骨や肉片を潰す。
 30分ほど沸騰したまま引き続き煮る。
 スープを白濁させる。
 足りなくなったらお湯を継ぎ足す。
 骨の中に髄が残っていたらしっかりかき出す。
 スープを別の鍋に移し、ザルで濾す。

 昼食はこのスープを使ったラーメンだ。
 煮卵、チャーシュー、キクラゲを用意して、トッピングする。

「なんかすごい匂いね。今日はラーメンなの?」

「あ、メリッサさん。今日は豚骨ラーメンですよ。骨を煮るんで、こんな匂いになっちゃうんですよね」

 メリッサさんが着席したので、俺は麺を茹でた。
 豚骨ラーメンを仕上げて、配膳する。
 メリッサさんは箸を持ち、ずるずるっとラーメンを食べた。

「んんう、美味しいわっ! トロリとしたスープが麺に絡んで、最高よっ! しょうゆラーメンより好きかもしれないわ」

 皆も着席したので、どんどん麺を茹でていく。

「こりゃあうめえ! 濃厚でコクがあるし、麺に合ってるな。チャーシューもうめえ!」

「とっても美味しいよ、ハヤト。社長も食べたかったと涙を流しそうだ。スープがとっても美味しいね」

 今日は11人が集まり、和気あいあいと昼食を食べた。
 俺も自分の分を一口。
 うん、美味い。
 こんな濃厚なスープ、なかなか食べられなそうだ。

「ハヤト。豚骨ラーメンも屋台をやるのかい?」

「骨を煮るのに結構匂いが出るんで、やってくれる店主がいれば、ですね」

「持ち家のある、元冒険者を知っている。あと二人前、ラーメンを用意出来るかい?」

「ええ、大丈夫ですよ」

「じゃあ、ちょっと呼んでくるね」

 男性は伝言屋に言付けてきたと言って、ラーメンのおかわりを頼んだ。

 やってきた男性二人は、いかにも厳つくて、冒険者っぽい外見をしていた。

「ハヤト。彼らに豚骨ラーメンを頼む」

「はいっ」

 できたての豚骨ラーメンを配膳すると、二人とも勢いよく食べ始めた。

「何だ、このスープ……うめえっ。トロッとしてて、旨味が舌に広がる。食ったことねえ味だ」

「この麺もスープに絡んで、最高にうめえっ。こりゃあ、珍しい食いもんだなぁ」

「この料理は美味いんだけど、作るのにちょっと匂いが出るんだ。二人を呼んだのは、店主をやらないか? って事なんだよ」

 二人はラーメンを完食すると、勢い良く頭を下げた。

「是非、やらせてくれ。俺の膝が悪いから、座って出来る仕事を探してたんだ」

「俺も屋台はどうかと思ってたんだ。新規レシピを買って屋台をやろうにも、選択肢が多くて悩んでいたんだ」

「この料理は今日御披露目されたばっかりだ。必ず売れるさ。こんなに美味いんだから、当然だ。いつから働ける?」

「明日からやるぜっ。レシピを教えて貰えりゃあ、屋台のレンタルもこっちで出来やす」

「丁度調べていたからな。場所代もきちんと払う。ハヤト、料理ギルドの登録は行けるか?」

「うん。今日これからレシピを教えて、その足で料理ギルドへ行ってくるよ」

「じゃあ、頼む。二人とも。ハヤトと一緒に頑張って欲しい。じゃあ、またな」

 俺と男性二人は立ち上がり、二人の家へ行った。
 途中、冒険者ギルドで骨を貰い、卵、肉、キクラゲを買い込む。
 麺はたっぷり持ってきたので、あとは香味野菜を準備して、キッチンにお邪魔した。
 骨の下茹でをしてる間に、簡単にレシピを説明する。
 膝の悪い店主には、座って作業をして貰う。

 約三時間後、豚骨ラーメンが出来上がった。
 三人で一杯ずつ食べてみる。
 うーん、美味しい!

「よく出来てるじゃないか。チャーシューも柔らかく出来ているね」

「俺が作ったとは思えねえ程うめえっ。こりゃあ、朝の仕込みが大変そうだ」

「ほとんど煮るだけだから、相方の身体にも良さそうだ。ハヤト、ありがとう」

 俺はとびきりの笑顔を返して、明日の登録用にお金を渡した。

「売上は月に一度、支店まで持ってきてくれ。じゃあ、宜しく頼む」

「任せといてくれっ」

 元気いっぱいな店主に別れを告げて、俺は料理ギルドにやってきた。
 申請料を支払い、キッチンに入る。
 持ち込みの骨を血抜きしながら、記録係と雑談をした。
 さて、調理開始だ。
 俺は香味野菜を取り分け、鍋に入れる。
 ぐつぐつと煮ながら、俺は次の料理に取りかかった。



 三時間後、全ての料理が仕上がった。
 俺は審査室に入り、ジノリンさん達に挨拶した。

「久し振りじゃのう、ハヤト。さっそく始めよう。この鍋はなんじゃ?」

「はい。すき焼きになります。溶き卵につけて召し上がって下さい」

「生の卵とは斬新だな……うむ、美味いっ! 肉と卵とスープが合う」

「これは美味しいわね。野菜やお肉を煮込むことはあるけど、この食べ方は斬新ね」

「決を取る。このすき焼きをレシピ登録する場合は、手を挙げろ」

 六名全員が手を挙げた。

「合格じゃ。次はこれかのう」

「はい。豚骨ラーメンになります。骨を煮込んでスープを作りました」

「これは……うまいっ! こんな濃厚なスープ、味わった事がない!」

「本当に美味しいわ。麺とトロリとしたスープが合っているし、煮卵も美味しいわ」

「これは屋台をやるべきだ。絶対に当たるぞ」

「では、決を取る。この豚骨ラーメンをレシピ登録する場合は、手を挙げろ」

 六名全員が手を挙げた。

「合格じゃ。では、次に移ろう。これは何じゃ?」

「これはスイートポテトです」

「甘くて柔らかくて美味い。さつまいものスイーツだな」

「美味しいわ。口当たりも良いし、おやつにぴったりね」

「では決を取る。スイートポテトをレシピ登録する場合は、手を挙げろ」

 六名全員が手を挙げた。

「合格じゃ。では、金貨30枚を授与する。また来い、ハヤト」

「はいっ、遅くまでありがとうございました。また来ます」

 俺はジノリンさん達に頭を下げて、金貨を鞄に詰めて、料理ギルドを後にした。

 支店に帰り着いてみれば、夕食時は終わっていた。
 でもメリッサさんが夕食を出してくれた。
 俺はありがたくそれを食べて、家に帰った。

 今夜からはリカルドはいない。
 俺は一人で風呂に入り、ベッドに入った。
 寂しくて涙がこぼれそう。
 俺は淫具で三発抜いて、リカルドのいない寂しさを紛らわせた。
 リカルドの道中の無事を祈って、ゆっくりと眠りについた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

2度目の異世界移転。あの時の少年がいい歳になっていて殺気立って睨んでくるんだけど。

ありま氷炎
BL
高校一年の時、道路陥没の事故に巻き込まれ、三日間記憶がない。 異世界転移した記憶はあるんだけど、夢だと思っていた。 二年後、どうやら異世界転移してしまったらしい。 しかもこれは二度目で、あれは夢ではなかったようだった。 再会した少年はすっかりいい歳になっていて、殺気立って睨んでくるんだけど。

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

獣人将軍のヒモ

kouta
BL
巻き込まれて異世界移転した高校生が異世界でお金持ちの獣人に飼われて幸せになるお話 ※ムーンライトノベルにも投稿しています

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

【完】心配性は異世界で番認定された狼獣人に甘やかされる

おはぎ
BL
起きるとそこは見覚えのない場所。死んだ瞬間を思い出して呆然としている優人に、騎士らしき人たちが声を掛けてくる。何で頭に獣耳…?とポカンとしていると、その中の狼獣人のカイラが何故か優しくて、ぴったり身体をくっつけてくる。何でそんなに気遣ってくれるの?と分からない優人は大きな身体に怯えながら何とかこの別世界で生きていこうとする話。 知らない世界に来てあれこれ考えては心配してしまう優人と、優人が可愛くて仕方ないカイラが溺愛しながら支えて甘やかしていきます。

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

炊き出しをしていただけなのに、大公閣下に溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 希望したのは、医療班だった。  それなのに、配属されたのはなぜか“炊事班”。  「役立たずの掃き溜め」と呼ばれるその場所で、僕は黙々と鍋をかき混ぜる。  誰にも褒められなくても、誰かが「おいしい」と笑ってくれるなら、それだけでいいと思っていた。  ……けれど、婚約者に裏切られていた。  軍から逃げ出した先で、炊き出しをすることに。  そんな僕を追いかけてきたのは、王国軍の最高司令官――  “雲の上の存在”カイゼル・ルクスフォルト大公閣下だった。 「君の料理が、兵の士気を支えていた」 「君を愛している」  まさか、ただの炊事兵だった僕に、こんな言葉を向けてくるなんて……!?  さらに、裏切ったはずの元婚約者まで現れて――!?

非力な守護騎士は幻想料理で聖獣様をお支えします

muku
BL
聖なる山に住む聖獣のもとへ守護騎士として送られた、伯爵令息イリス。 非力で成人しているのに子供にしか見えないイリスは、前世の記憶と山の幻想的な食材を使い、食事を拒む聖獣セフィドリーフに料理を作ることに。 両親に疎まれて居場所がないながらも、健気に生きるイリスにセフィドリーフは心動かされ始めていた。 そして人間嫌いのセフィドリーフには隠された過去があることに、イリスは気づいていく。 非力な青年×人間嫌いの人外の、料理と癒しの物語。 ※全年齢向け作品です。

処理中です...