異世界転移した俺の、美味しい異世界生活

yahagi

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豚骨ラーメンと辛子明太子

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 それから四日経った。
 風は冷たく、冬の到来を告げている。
 雪が降るのは、約一ヶ月半先だそうだ。

 俺はアラブレヒトの為に、豚骨ラーメンを仕込んでいた。
 ガラと香味野菜をぐつぐつ煮込んでいると、メリッサさんがやってきた。

「ハヤト、社長が呼んでいるわ。鍋は私が見ているわね」

「わかりました。お願いします」

 俺はアラブレヒトの部屋に入ると、書類だらけの机の前に座った。

「三つ話がある。一つはこれだ。リカルドの名前で託された食べ物が今朝届いた。タラコを香辛料で浸けたものだそうだ。賞味期限はあと一週間ある。何か聞いているかい?」

「辛子明太子だ! お握りの具にも良いし、酒のつまみにも良い。リカルドと確かに話したよ。そっかぁ、出来たんだねえ」

「じゃあ、お握り屋むすびと、居酒屋に卸してみる。昼食に何か一品、作れるかな?」

「わかった。用意するよ」

 俺の手に美味しそうな辛子明太子が渡された。
 これはご飯を炊くしかあるまい。
 
「次は、チョコレートの話なんだけどね。何しろ100枚単位で欲しいって場所が多いんだ。それで工場を作ろうと思うんだけど、どう?」

「いいと思うよ。魔道具が必要なのと、仕上げにテンパリングが必要になるのだけ注意かな」

「わかった。魔道具はサンラクに頼むよ。テンパリングは人力で行うつもりだ。……最後に、リカルドから伝言だ。少し遅れる、とのことだ」

「そっか。リカルドは遅くなるんだね。わかったよ、アラブレヒト。伝言ありがとう」

 俺はアラブレヒトに礼を言って、辛子明太子を手に、退室した。

 月末まであと10日。
 ボウリング大会には間に合うんだろうか。
 リカルドに早く会いたいなあ。

 俺はメリッサさんと交代して、米を洗った。
 豚骨ラーメンの仕込みはバッチリだ。

 やがてお昼時になり、アラブレヒトも降りてきた。

「なんだか凄い匂いだね。これが豚骨ラーメンかい?」

「うん。豚骨ラーメンと炊きたてご飯に辛子明太子を乗っけたものだよ。それと、醤油で焼いたはんぺんに辛子明太子を乗っけたもの」

 アラブレヒトは頷いて箸を手に取った。

「頂きます。……ううん、美味い! トロリとした濃厚なスープが麺に良く絡んでる。辛子明太子も美味しいね。特にご飯に合うね」

 アラブレヒトは美味しそうに麺をすすった。

「麺のお代わりも出来るから言ってねー」

「やっぱり豚骨ラーメンは美味いなあ! スープとご飯がまたよく合う!」

「本当に美味しいわ。辛子明太子もピリッと辛くて美味しいわね」

「美味い。麺お代わり! スープも入れてくれ!」

 皆、辛子明太子料理も完食してくれた。
 豚骨ラーメンは大人気だ。

「ハヤト、次は塩ラーメンが食べたいな」

「いいよ、アラブレヒト。明日の昼食は塩ラーメンにするよ」

 アラブレヒトはにっこりと笑った。

 後片付けを済ませ、メリッサさんの手伝いをする。
 時間はゆっくりと過ぎていき、鐘2つが鳴った後、キッチンに入った。

 器にバター、砂糖を入れ、白っぽくなるまでホイッパーで混ぜる。
 溶き卵を2回に分けて加え、混ぜ合わせる。
 ドライフルーツ、ラム酒、天然酵母を加え混ぜ、薄力粉をふるい入れ、木ベラでダマがなくなるまでさっくりと混ぜ合わせる。
 型に流し込み、台から10cm程の高さから型のまま3回程落とし空気を抜く。
 予熱した180℃のオーブンで40分程焼く。
 竹串を刺して生地がついてこなければ焼き上がり。
 粗熱がとれたら型から外し、食べやすい大きさに切り、器に盛り付け完成。

「良い匂いだね、ハヤト。ケーキかい?」

「今日はドライフルーツ入りのパウンドケーキを作ってみたよ。皆にはお馴染みの味かな?」

 俺はアラブレヒトから順に配膳していく。
 香り高い紅茶も添えて、俺も席に着いた。

「頂きます。うん、美味しいよ。しっとりしていて、ラム酒が香るね」

 アラブレヒトは紅茶を飲みながら、美味しそうにパウンドケーキを食べた。

「食べ慣れてる味といえばそうだけど、これは本当に美味しいわ。素朴な味ね」

「おやつに丁度良いじゃねえか。ドライフルーツ入りの菓子をハヤトが作るのは珍しいな」

 皆にも好評だった。
 この世界ではケーキといえば、ドライフルーツが入っているものらしい。
 俺もこの世界に馴染んで来たかな?

 食後はまたメリッサさんの手伝いをして過ごした。
 辛子明太子は結構な量が届いたらしい。
 アラブレヒトが忙しそうにしていた。

 俺も自宅用に一瓶買ったよ。
 カリカリに焼いたバケットに乗せて食べよう。
 ご飯のおかずにもなるし、パスタにも使える。
 リカルド、早く帰って来ないかな。

 鐘5つ、夕飯時である。
 夕飯のメニューは餃子だった。
 白米に辛子明太子を乗っけて食べる。
 至福のひとときだ。
 
 食後は、家に帰る。
 リカルドのいない家に帰るのにも慣れた。
 俺は風呂に入り、湯船に浸かった。
 お風呂上がりは淫具で三発抜く。
 リカルドの道中の無事を祈って、俺は眠りについた。



 それから、一週間が過ぎた。
 リカルドはまだ帰ってこない。
 ボウリング大会まであと三日である。
 意地でも帰ってくると思うので、そんなに心配していない。

 アラブレヒトは肩慣らしに、今日は朝から紳士の遊び場へ行っている。
 俺はメリッサさんと二人で居残りだ。

「社長も遊んでるし、息抜きにトランプしましょう。神経衰弱なんてどう?」

「良いですね。受けて立ちます!」

 メリッサさんがカードを配る。
 そして伏せられたカードをめくっていく。

「よし、3だ!」

「ああ、7と8だったわ」

 ゲームは進んで、俺の手札は4枚。

「そこだ! 11!」

「1! これで手札8枚よ!」

 このゲームはメリッサさんの勝ち。
 その後4ゲームして、1勝3敗。
 メリッサさん強い。

「はあ、楽しかった。ハヤト、今日のお昼は辛子明太子のパスタを作ってくれない?」

「良いですよ、任せて下さい」

 俺はキッチンに入り、早速パスタを手に取った。

 お昼時。
 アラブレヒトが帰ってきた。
 俺は茹で上げたパスタに辛子明太子をあえて、仕上げに大葉に似た香草と辛子明太子を乗っけた。

「どうぞ、アラブレヒト。辛子明太子のパスタだよ」

「頂きます。うん、美味い! パスタと合うんだねえ。このピリッと辛いのがたまらないね」

 アラブレヒトは美味しそうに辛子明太子のパスタを食べた。
 皆の評判も良かったので、一安心だ。

 俺もフォークでパスタを食べる。
 うん、美味しい。
 ピリッと辛くてたまらない美味しさだ。

「社長、ボウリングの方はどうなの? 勝てそう?」

「愚問だね。俺が優勝する。リカルドは強敵だけど、組み合わせ次第では、どうなるかわからないね」

 アラブレヒトは自信に満ち溢れている。
 リカルドも早く帰ってきて練習した方が良いんじゃないかな。
 俺はそんな事を考えながら、後片付けをした。

 アラブレヒトは午後もボウリング。
 俺はメリッサさんの手伝いだ。

「ハヤトはボウリング、誰が優勝すると思う?」

「そうだね。アラブレヒトは強敵だ。でも俺はリカルドが好きだから、リカルド! 絶対に勝つ!」

「私はね、社長の勝利に固執する性質を買っているの。社長が優勝するわ。私達、ライバルね」

 俺はメリッサさんと頷き合い、当日は観戦すると約束した。

 鐘3つ。
 おやつ時になり、皆集まってきた。
 今日焼いたのはチーズケーキ。
 香り高い紅茶と共に、召し上がれ。

「そういや、大通りに騎士がウロウロしてたぜ。なんか面倒事かねえ」

「騎士の巡回かもしれねえけど、この時間にウロチョロされると気になるなぁ」

 ふむふむ、騎士様かぁ。
 国に剣を捧げている人たちなんだって。
 格好良いよね。

 俺も自分の分のチーズケーキをぱくり。
 うーん、美味しい。
 
 食後はメリッサさんの手伝いをして過ごした。
 アラブレヒトはボウリングに集中している。
 リカルドはまだ帰ってこない。
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