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すき焼き風うどんとピザ屋
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「さあ、第5レースの始まりです。開始の鐘が……鳴りました! まず1位を取ったのは2番キース、次いで4番ブラウン! おおっと後続を突き放しにかかる!」
「こりゃあ逃げきれるか? さあ2周目に入りました。4番ブラウンが1位に躍り出たっ! 5番ガリウスがその後ろを追いかける!」
「おおーっと、ここで2番キースが1位を狙っていく! 今のはインコースギリギリでしたね。流石のハヌーンさばきです」
「2番キースは下がった! 4番ブラウンが1位をキープ、2位に5番ガリウス、3位に3番ウェイトが入った!」
「3周目に入りました! そろそろ1番ルナウド騎士団長と6番ミダルも気にかかる! おおっとやはり追い上げて来たーっ!」
結構1位とは差があったのに、ロナウド騎士団長は一瞬で差を縮めて1位に躍り出た。
1番にぴったりくっつくのは6番ミダルである。
「残すところあと半周です。1位ルナウド騎士団長、2位6番ミダル、3位4番ブラウン! この順位のままゴールなるか?!」
「5番ガリウスが追い上げる! おおっと2位に5番ガリウスが入りました! 3位に6番ミダル!」
「あと100メートルっ! 5番ガリウスが1番ルナウド騎士団長を抜きにかかっている! しかし間に合わない! 1位は1番ルナウド騎士団長でゴール!」
1番ルナウド騎士団長の勝利を目にして、俺は思わず立ち上がっていた。
「よおっしゃ!」
「やったね、ハヤト。払い戻しが楽しみさ」
賭け金は、なんと5倍になって返ってきた。
どうやら、2連敗した後だったので、騎士団長に賭ける人も若干少なかったらしい。
最終レースは、俺も金貨100枚騎士団長に賭けた。
町長なんて金貨200枚も賭けていた。
たおやかな貴婦人は、扇で顔を隠しつつ、先程の配当金を指差した。
「これ全部賭けるわ」
賭け窓口の担当者はヨロヨロしながら金貨を運んでいき、最終レースが始まった。
楽団のポップな曲を聞きながら、実況に耳を傾ける。
「泣いても笑っても本日最後のレースです! では開始の鐘が鳴ったーっ! 順調な走りで1位を走るのは、2番キース。3番ウェイト、4番ブラウンの順です!」
「今日この後はレースがないと言うことは、思いっきり走れます。温存を選んだ1番ルナウド騎士団長と6番ミダルはこの後巻き返せるかーっ!」
実況も身振り手振りで熱が入った実況をお届けしている。
楽団もヒートアップして、勇壮な曲を奏でている。
寒さなんて感じない。
この冬一番のホットスポットは燃えに燃えていた。
「さあ2周目に入りました。おおっと、1番ルナウド騎士団長、動きましたっ! 6番ミダルもぴったり後ろについていく!」
「なんと、1位1番ルナウド騎士団長ですっ! 2位6番ミダル、3位4番ブラウンの順です! 後続を引き離し、3周目に入りましたーっ」
1番ルナウド騎士団長は1位の座を譲らない。
6番ミダルが頑張って抜こうとしてるけど、抜けてない。
ルナウド騎士団長、頑張って!
俺は心のリカルドと一緒に祈った。
「残り100メートル、4番ブラウンも頑張るが、1位1番ルナウド騎士団長を抜くことは出来ず! 勝ったのは1番ルナウド騎士団長だーっ!」
実況が大声で宣言する。
ルナウド騎士団長が勝ったのだ。
「やったぁ!」
「やったね、ハヤト。払い戻しは3倍だってさ。ハヤトも儲けたんじゃない?」
「うん、3倍になったよ。こんな額を賭けるのはそうそうないと思うけど、楽しかったよ」
アラブレヒトと話していると、たおやかな貴婦人の元に多額の金貨が積み上げられた。
金貨500枚も賭けたものな。
三倍になったのだから文句はあるまい。
「あら。わたくし、競いハヌーンの才能があるのかもしれなくてよ」
貴婦人は上機嫌で金貨を侍従に持たせ、町長にエスコートされて出て行った。
「今日は楽しかったね。アラブレヒト、ハヤト。気が向いたらまた遊びに来ておくれよ。屋台は今後とも宜しく頼む。じゃあ、またな」
気さくな貴族、ハインケルも退出し、他の貴族も退出した。
俺もアラブレヒトと一緒にVIP席を出て、人ごみに揺られるようにして、競いハヌーン会場を出た。
なんとか支店にたどり着くと、従業員の皆とメリッサさんがぐったりとくつろいでいた。
「お帰りなさい~社長、ハヤト。勝ったに決まってるわよね?」
「うん、勝ったよ。メリッサや皆は?」
「私は……最終レース、6番ミダルに突っ込んで負けちゃった」
「俺は勝ったぞ! 金貨2枚持って行って、金貨8枚になった!」
「俺も負けた……最終レース、5番ガリウスに全額突っ込んじまった」
どうやら負けた人の方が多いらしい。
メリッサさんはショックが抜けきらないようで、ぐんにゃりしている。
「俺も勝ちましたよ。夕飯は俺が作りますから、休んでいて下さい」
「ありがとう、ハヤト……。最終レース、騎士団長を信じてれば今頃は……!」
ぶつぶつ呟いてるメリッサさんはそっとしておき、キッチンに入る。
今夜はフライパンで作るすき焼き風うどんだ。
長ねぎは1cm幅の斜め切りにする。
しいたけは笠と軸に分け、軸は石づきを切り落として小口切りに、笠は薄切りにする。
グレイトボアの肉は一口大に切る。
フライパンに油を熱し、肉と野菜を中火で炒める。
グレイトボアの肉に火が通ったら醤油、砂糖、みりん、酒、水を合わせたものを加え、具材を端に寄せ、空いたところにうどんを入れ、蓋をして中火で5分煮る。
うどんが煮えたら全体を混ぜ合わせながら、中火でさっと炒める。
「よし、完成だ。うまそうな匂いだな」
俺はアラブレヒトから順に配膳していき、最後に自分も着席した。
「頂きます……うん、あまじょっぱくて美味しいね。肉もゴロゴロ入ってて食べ応えもある」
アラブレヒトはにこにことすき焼き風うどんを食べた。
「おうっ、美味いぜ。あまじょっぱさがたまらねえ」
「お肉もたっぷりで美味しいわ。うどんがモチモチよ」
「すき焼き風うどんっていうんだな。うめえから、また作ってくれよ」
皆の評判も良くて安心した。
俺も自分の分のすき焼き風うどんを食べる。
あまじょっぱくて、今日の疲れに染み入る味だ。
俺はエールをぐっと飲んで、今日の疲れを癒やした。
食後は、家に帰る。
リカルドのいない家は寂しくてしょうがない。
一人でお風呂に入り、湯船に浸かる。
お風呂上がり、淫具で三発抜いた。
リカルドの旅路の安全を祈って、おやすみなさい。
それから5日が過ぎた。
屋台は全然足りなくて、パスタの屋台を倍に増やしたり、おにぎり屋むすびの屋台版でおにぎりを売ったり、肉料理の屋台をいくつか稼働させたりした。
特に魔道具を発注して作ったケバブの屋台は、5台も作った。
作りすぎを心配するが、問題ないとのこと。
俺は一段落ついて、ほっと胸をなで下ろした。
「ハヤト、少し早いんだけど、競いスケートの会場の売店にもこの場所ならではの食べ物が欲しいって言われちゃってさ。何かある?」
「そうだな。たこ焼きなんていいと思う。たこが入手出来ないから薫製肉を入れて丸く焼いた食べ物だよ。それと、魔術師が必要だけど、ソフトクリーム」
どちらも、恐らく魔道具が必要になる事も伝えて、レシピを教えた。
この町ならでは、という事で、ソフトクリームはバニラとチョコレート味を用意したらどうだろうか。
アラブレヒトは早速ハインケルに打診するそうだ。
「早ければ来月にもため池は凍り始める。そしたら競いハヌーンのコースはペンキで描くそうだよ」
「へええ。曲がる場所もあるよね? よっぽど練習しないと転んじゃうね」
「それも予想しないといけないよね。騎士団長はこっちにも出るから練習が欠かせないよ。転んでも走り出せるように練習しないとね」
アラブレヒトは競いハヌーンに三日通い、金貨100枚を1000枚に変えて見せた。
アラブレヒトは爽やかな笑顔で、暇が出来たら競いハヌーンへ行くと言っていた。
負けてムキになったメリッサさんは、次は競いスケートをすると息巻いている。
どちらにせよ賭け事なので、ほどほどにして欲しいと思っている。
今日のおやつは、パンケーキのチョコレートソースがけ。
アラブレヒトはハインケルの元へ行っていて不在なので、メリッサさんと従業員の皆で頂きます。
「うん、美味しいわ。チョコレートソースの甘さが丁度良いわね。パンケーキもふんわりしっとりしてて、美味しいわ」
メリッサさんは頬を緩めてパンケーキを食べて、紅茶を飲んだ。
食後は、メリッサさんの手伝いをして過ごした。
俺はメリッサさんとお喋りしながら、配達もするピザ屋をやりたいと話した。
「先に注文を受けて、指定の日時に届けるんです。歩きで30分以内に行ける場所に限ります。どう思いますか?」
「それは便利かもしれないわ。配達をお願いするのって、よっぽど大量にお買い物しなきゃ無理だもの。作ってみればいいじゃない。応援するわ」
メリッサさんがそう言ってくれたので、俺はピザ屋メガハットを作ると決めた。
まずは不動産屋へ行って、店舗の購入だ。
大通りから住宅街へ一本入った所に良い店舗を見つけた。
俺は早速購入し、建築ギルドにリフォームを発注した。
ピザを焼くオーブンが大事なので、そこは細かく注文をつけた。
次は商業ギルドへ行って、求人窓口に求人を出す。
俺は思い切って10人雇った。
キッチン4名、カウンター兼配達で6名。
道をよく知っている事を条件として、帰ってきた。
帰り着いたら夕飯時だった。
アラブレヒトも戻ってきていて、皆でカツ丼を食べた。
「ハヤト。ハインケルはたこ焼きもソフトクリームも作るそうだ。早速魔道具を発注していたよ。出来上がったらまた呼んでくれるそうだ。俺も楽しみだよ」
「そっか。俺も久しぶりにたこ焼きとソフトクリーム、食べたいな。出来上がるのが待ち遠しいね」
俺はあのアツアツトロトロのたこ焼きを思い出していた。
ソフトクリームは冷たくて甘くて、舌の上でとろける柔らかさ。
ああ、食べたい。
「競いハヌーンの町おこしは大成功。初日以降、人は減るどころか増えている。掛け金も随分な額が賭けられていて、毎日来ている人も珍しくない。この冬は競いハヌーンで遊び倒す感じかな」
「賭け事なのに、こんなに人が集まるんだねえ。確かに面白いけどね、競いハヌーン」
アラブレヒトは微笑んで、俺を見つめた。
「競いハヌーンの走者になりたいっていう若人も出てきたみたいよ。ゆくゆくは養成所を作れたらいいなってハインケルは言っていた」
「そっかぁ。夢は広がるね」
俺はカツ丼を食べ終わり、自宅へ帰るために外に出た。
吹き付ける風はだいぶ冷たくなっている。
それは冬の到来を告げていた。
「こりゃあ逃げきれるか? さあ2周目に入りました。4番ブラウンが1位に躍り出たっ! 5番ガリウスがその後ろを追いかける!」
「おおーっと、ここで2番キースが1位を狙っていく! 今のはインコースギリギリでしたね。流石のハヌーンさばきです」
「2番キースは下がった! 4番ブラウンが1位をキープ、2位に5番ガリウス、3位に3番ウェイトが入った!」
「3周目に入りました! そろそろ1番ルナウド騎士団長と6番ミダルも気にかかる! おおっとやはり追い上げて来たーっ!」
結構1位とは差があったのに、ロナウド騎士団長は一瞬で差を縮めて1位に躍り出た。
1番にぴったりくっつくのは6番ミダルである。
「残すところあと半周です。1位ルナウド騎士団長、2位6番ミダル、3位4番ブラウン! この順位のままゴールなるか?!」
「5番ガリウスが追い上げる! おおっと2位に5番ガリウスが入りました! 3位に6番ミダル!」
「あと100メートルっ! 5番ガリウスが1番ルナウド騎士団長を抜きにかかっている! しかし間に合わない! 1位は1番ルナウド騎士団長でゴール!」
1番ルナウド騎士団長の勝利を目にして、俺は思わず立ち上がっていた。
「よおっしゃ!」
「やったね、ハヤト。払い戻しが楽しみさ」
賭け金は、なんと5倍になって返ってきた。
どうやら、2連敗した後だったので、騎士団長に賭ける人も若干少なかったらしい。
最終レースは、俺も金貨100枚騎士団長に賭けた。
町長なんて金貨200枚も賭けていた。
たおやかな貴婦人は、扇で顔を隠しつつ、先程の配当金を指差した。
「これ全部賭けるわ」
賭け窓口の担当者はヨロヨロしながら金貨を運んでいき、最終レースが始まった。
楽団のポップな曲を聞きながら、実況に耳を傾ける。
「泣いても笑っても本日最後のレースです! では開始の鐘が鳴ったーっ! 順調な走りで1位を走るのは、2番キース。3番ウェイト、4番ブラウンの順です!」
「今日この後はレースがないと言うことは、思いっきり走れます。温存を選んだ1番ルナウド騎士団長と6番ミダルはこの後巻き返せるかーっ!」
実況も身振り手振りで熱が入った実況をお届けしている。
楽団もヒートアップして、勇壮な曲を奏でている。
寒さなんて感じない。
この冬一番のホットスポットは燃えに燃えていた。
「さあ2周目に入りました。おおっと、1番ルナウド騎士団長、動きましたっ! 6番ミダルもぴったり後ろについていく!」
「なんと、1位1番ルナウド騎士団長ですっ! 2位6番ミダル、3位4番ブラウンの順です! 後続を引き離し、3周目に入りましたーっ」
1番ルナウド騎士団長は1位の座を譲らない。
6番ミダルが頑張って抜こうとしてるけど、抜けてない。
ルナウド騎士団長、頑張って!
俺は心のリカルドと一緒に祈った。
「残り100メートル、4番ブラウンも頑張るが、1位1番ルナウド騎士団長を抜くことは出来ず! 勝ったのは1番ルナウド騎士団長だーっ!」
実況が大声で宣言する。
ルナウド騎士団長が勝ったのだ。
「やったぁ!」
「やったね、ハヤト。払い戻しは3倍だってさ。ハヤトも儲けたんじゃない?」
「うん、3倍になったよ。こんな額を賭けるのはそうそうないと思うけど、楽しかったよ」
アラブレヒトと話していると、たおやかな貴婦人の元に多額の金貨が積み上げられた。
金貨500枚も賭けたものな。
三倍になったのだから文句はあるまい。
「あら。わたくし、競いハヌーンの才能があるのかもしれなくてよ」
貴婦人は上機嫌で金貨を侍従に持たせ、町長にエスコートされて出て行った。
「今日は楽しかったね。アラブレヒト、ハヤト。気が向いたらまた遊びに来ておくれよ。屋台は今後とも宜しく頼む。じゃあ、またな」
気さくな貴族、ハインケルも退出し、他の貴族も退出した。
俺もアラブレヒトと一緒にVIP席を出て、人ごみに揺られるようにして、競いハヌーン会場を出た。
なんとか支店にたどり着くと、従業員の皆とメリッサさんがぐったりとくつろいでいた。
「お帰りなさい~社長、ハヤト。勝ったに決まってるわよね?」
「うん、勝ったよ。メリッサや皆は?」
「私は……最終レース、6番ミダルに突っ込んで負けちゃった」
「俺は勝ったぞ! 金貨2枚持って行って、金貨8枚になった!」
「俺も負けた……最終レース、5番ガリウスに全額突っ込んじまった」
どうやら負けた人の方が多いらしい。
メリッサさんはショックが抜けきらないようで、ぐんにゃりしている。
「俺も勝ちましたよ。夕飯は俺が作りますから、休んでいて下さい」
「ありがとう、ハヤト……。最終レース、騎士団長を信じてれば今頃は……!」
ぶつぶつ呟いてるメリッサさんはそっとしておき、キッチンに入る。
今夜はフライパンで作るすき焼き風うどんだ。
長ねぎは1cm幅の斜め切りにする。
しいたけは笠と軸に分け、軸は石づきを切り落として小口切りに、笠は薄切りにする。
グレイトボアの肉は一口大に切る。
フライパンに油を熱し、肉と野菜を中火で炒める。
グレイトボアの肉に火が通ったら醤油、砂糖、みりん、酒、水を合わせたものを加え、具材を端に寄せ、空いたところにうどんを入れ、蓋をして中火で5分煮る。
うどんが煮えたら全体を混ぜ合わせながら、中火でさっと炒める。
「よし、完成だ。うまそうな匂いだな」
俺はアラブレヒトから順に配膳していき、最後に自分も着席した。
「頂きます……うん、あまじょっぱくて美味しいね。肉もゴロゴロ入ってて食べ応えもある」
アラブレヒトはにこにことすき焼き風うどんを食べた。
「おうっ、美味いぜ。あまじょっぱさがたまらねえ」
「お肉もたっぷりで美味しいわ。うどんがモチモチよ」
「すき焼き風うどんっていうんだな。うめえから、また作ってくれよ」
皆の評判も良くて安心した。
俺も自分の分のすき焼き風うどんを食べる。
あまじょっぱくて、今日の疲れに染み入る味だ。
俺はエールをぐっと飲んで、今日の疲れを癒やした。
食後は、家に帰る。
リカルドのいない家は寂しくてしょうがない。
一人でお風呂に入り、湯船に浸かる。
お風呂上がり、淫具で三発抜いた。
リカルドの旅路の安全を祈って、おやすみなさい。
それから5日が過ぎた。
屋台は全然足りなくて、パスタの屋台を倍に増やしたり、おにぎり屋むすびの屋台版でおにぎりを売ったり、肉料理の屋台をいくつか稼働させたりした。
特に魔道具を発注して作ったケバブの屋台は、5台も作った。
作りすぎを心配するが、問題ないとのこと。
俺は一段落ついて、ほっと胸をなで下ろした。
「ハヤト、少し早いんだけど、競いスケートの会場の売店にもこの場所ならではの食べ物が欲しいって言われちゃってさ。何かある?」
「そうだな。たこ焼きなんていいと思う。たこが入手出来ないから薫製肉を入れて丸く焼いた食べ物だよ。それと、魔術師が必要だけど、ソフトクリーム」
どちらも、恐らく魔道具が必要になる事も伝えて、レシピを教えた。
この町ならでは、という事で、ソフトクリームはバニラとチョコレート味を用意したらどうだろうか。
アラブレヒトは早速ハインケルに打診するそうだ。
「早ければ来月にもため池は凍り始める。そしたら競いハヌーンのコースはペンキで描くそうだよ」
「へええ。曲がる場所もあるよね? よっぽど練習しないと転んじゃうね」
「それも予想しないといけないよね。騎士団長はこっちにも出るから練習が欠かせないよ。転んでも走り出せるように練習しないとね」
アラブレヒトは競いハヌーンに三日通い、金貨100枚を1000枚に変えて見せた。
アラブレヒトは爽やかな笑顔で、暇が出来たら競いハヌーンへ行くと言っていた。
負けてムキになったメリッサさんは、次は競いスケートをすると息巻いている。
どちらにせよ賭け事なので、ほどほどにして欲しいと思っている。
今日のおやつは、パンケーキのチョコレートソースがけ。
アラブレヒトはハインケルの元へ行っていて不在なので、メリッサさんと従業員の皆で頂きます。
「うん、美味しいわ。チョコレートソースの甘さが丁度良いわね。パンケーキもふんわりしっとりしてて、美味しいわ」
メリッサさんは頬を緩めてパンケーキを食べて、紅茶を飲んだ。
食後は、メリッサさんの手伝いをして過ごした。
俺はメリッサさんとお喋りしながら、配達もするピザ屋をやりたいと話した。
「先に注文を受けて、指定の日時に届けるんです。歩きで30分以内に行ける場所に限ります。どう思いますか?」
「それは便利かもしれないわ。配達をお願いするのって、よっぽど大量にお買い物しなきゃ無理だもの。作ってみればいいじゃない。応援するわ」
メリッサさんがそう言ってくれたので、俺はピザ屋メガハットを作ると決めた。
まずは不動産屋へ行って、店舗の購入だ。
大通りから住宅街へ一本入った所に良い店舗を見つけた。
俺は早速購入し、建築ギルドにリフォームを発注した。
ピザを焼くオーブンが大事なので、そこは細かく注文をつけた。
次は商業ギルドへ行って、求人窓口に求人を出す。
俺は思い切って10人雇った。
キッチン4名、カウンター兼配達で6名。
道をよく知っている事を条件として、帰ってきた。
帰り着いたら夕飯時だった。
アラブレヒトも戻ってきていて、皆でカツ丼を食べた。
「ハヤト。ハインケルはたこ焼きもソフトクリームも作るそうだ。早速魔道具を発注していたよ。出来上がったらまた呼んでくれるそうだ。俺も楽しみだよ」
「そっか。俺も久しぶりにたこ焼きとソフトクリーム、食べたいな。出来上がるのが待ち遠しいね」
俺はあのアツアツトロトロのたこ焼きを思い出していた。
ソフトクリームは冷たくて甘くて、舌の上でとろける柔らかさ。
ああ、食べたい。
「競いハヌーンの町おこしは大成功。初日以降、人は減るどころか増えている。掛け金も随分な額が賭けられていて、毎日来ている人も珍しくない。この冬は競いハヌーンで遊び倒す感じかな」
「賭け事なのに、こんなに人が集まるんだねえ。確かに面白いけどね、競いハヌーン」
アラブレヒトは微笑んで、俺を見つめた。
「競いハヌーンの走者になりたいっていう若人も出てきたみたいよ。ゆくゆくは養成所を作れたらいいなってハインケルは言っていた」
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