盲目の俺が旦那様に溺愛される話

yahagi

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盲目な俺が旦那様に溺愛される話

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 俺は生まれつき目が見えない。
 俺の両親はそれがわかると育児放棄し、俺を忘れた。
 俺は祖父母に育てられた。
 戸籍も祖父母の子供になっている。
 いざという時、文句を言わせない為だ。

 俺も16歳になり、お年頃だ。
 ベッドでこっそりオナニーを楽しむ。
 目が見えない事は、悲観していない。
 その分身体は頑丈なようで、風邪ひとつ引いたことがない。
 喋れるし、なんとかなる。
 俺は楽観的だ。

 翌日、メイドに手を引かれてお散歩。
 俺の腰まで伸びた髪が風に舞う。
 風が気持ち良いな。
 俺はこんなふうに、独りで生きていくんだと、自分の人生を静観していた。

 お祖父様が、俺を書斎に呼んだ。
 珍しい事だ。
 俺はソファに腰掛け、お祖父様の言葉を待った。

「ファレル。体調はどうだい?」

「俺は元気ですよ、お祖父様。今日は一体、どうなさったのですか?」

「うむ。ファレルよ、よく聞きなさい。私も妻も、もう年老いた。いつ何があってもおかしくない。そこで、お前を嫁に出す事にした」

「ええっ! 俺が結婚ですか。俺って結婚できるもんなんですかね。何にも出来ないけど……」

「先方は静かに側にいてくれる妻をご所望だ。お前ははっきり言って、美しい。栗色の長い髪、愛らしい顔、白い手足。釣り書きを送ったら是非に、とお願いされた」

「俺って静かですかね。結構喋りますけど……大丈夫かな? 俺を美しいって言うのはお祖父様達だけですよ。孫びいきです」

「婚姻に気乗りせぬか? 相手はなかなかの美丈夫だぞ。実はな、長年の婚約者に婚約破棄されて、傷心中だそうだ」

「傷心……そうですか。他に想い人がいらっしゃる方なのですね」

「うむ……。ファレルは絶対に浮気しなかろう? お相手の名前は、クリストフ・マクガイアー。マクガイアー家の三男で、騎士をしている。真面目な青年だそうだ」

 俺は紅茶を啜り、一考した。

「俺は……クリストフ様の迷惑にならないでしょうか? それだけが心配です」

「クリストフ様もお前を楽しませる事が出来るか、心配してらっしゃった。結婚まで3ヶ月ある。仲を深めると良かろう。挙式は教会で、内輪のみで行う」

「……わかりました、お祖父様。このお話、進めて下さい」

「おお、そうか! よく決断したな、ファレル」

「ふふふ、俺に夫が出来るなんて夢のようですね」

 俺は寂しい笑顔で笑った。

 部屋に戻り、一息つく。
 結婚。結婚かぁ……。
 勉強は一通りしてきているけれど、文字を書くことは出来ない。
 文通も出来ないのだ。

 俺は、この結婚がうまくいくとは思っていなかった。
 きっとすぐ俺なんて放置される事だろう。
 傷つかないように、期待はしない。


 クリストフ様とは、3回会ってデートした。
 デートと言っても、家の庭の散策だ。
 町には、幼少期しか行った事がない。

 クリストフ様は優しく俺に声をかけ、手を引いて下さった。
 傷心の相手はもう良いのだろうか?
 優しくされると、気分が上を向く。
 期待、してしまう。

 3ヶ月はあっと言う間だった。
 結婚式。
 身内の見守る中、俺達は式を挙げ、夫婦になった。

 俺はメイドに浣腸された。衝撃的だった。
 全身洗われて、薄いネグリジェを着せられた。
 初夜は知ってる。セックスするのだ。
 痛いんだろうなぁ。

 ベッドに座っていたら、旦那様の声がした。

「ファレル、待たせたかい?」

「いいえ、大丈夫です」

 旦那様は、俺をぎゅっと抱き締めた。

「ファレル、お嫁に来てくれてありがとう。ずっと大事にするからね」

「俺は……何も出来ません。本当に俺でいいんですか? そりゃあ、浮気はしませんけど、何かして欲しい事はありませんか?」

「君がいてくれるだけでいいんだよ。……不服そうな顔だね。そうだね、閨で一緒に楽しもう。セックスが好きになると嬉しいよ」

「はい……。旦那様が、教えて下さいますか?」

「うん。キスするよ。目を閉じて……」

 俺は見えないけれど、目を閉じた。
 旦那様の柔らかい唇が、俺の唇に当たった。
 ちゅっちゅっと口付けられ、やがて舌を入れられた。

 口の中を舐められる。
 舌を吸われ、唾液を飲み込む。
 俺はそっと押し倒されて、ベッドに背を預けた。
 旦那様は俺のネグリジェを脱がして、全裸にした。

「ファレル、綺麗だよ……」

 旦那様は、俺の全身にキスをした。
 俺の陰茎を掴み、べろりと舐め上げる。
 俺の陰茎をじゅぷりと咥えて、旦那様は頭を上下し始めた。

「んぁうっ」

 旦那様の舌が陰茎を舐め上げる。
 気持ち良くてたまらず、俺は腰を揺らした。
 じゅぶっじゅぶっじゅぶっ。
 旦那様の頭が上下して、俺はあっと言う間に上り詰めた。

「あんっ、いいっ、イくっ……っ!」

 どぴゅっ! びゅびゅーっ!
 俺が出したものは、旦那様が飲み干した。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

「大丈夫かい?」

「はい。気持ち良かったです……」

「良かった。それじゃあ、四つん這いになって貰えるかな?」

「はい」

 俺は四つん這いになった。

「真っ白なお尻。ふふふ、すべすべだね。さあ、油を入れるから、指を入れるよ」

 旦那様は俺の尻にキスをしてから、指を一本、ゆっくり入れた。
 痛くない。圧迫感が凄い。

「二本目、いくよ……」

 指が二本入り、バラバラに動かされる。
 ふと掠めたしこりに、腰が跳ねた。

「あんっ!」

「そうか、ここが良いんだね」

 旦那様は、弱いしこりを狙って刺激し続けた。

「んぁんっ、あっ、あっ、あんっ!」

 指が三本入り、馴染んだ頃、指が引き抜かれた。
 お尻の穴に、旦那様の猛った陰茎がぴたりとあてがわれる。

「ファレルの処女、貰うよ……」

 ずぶずぶずぶっ!
 一息で貫いた旦那様は、ゆっくりと腰を振り始めた。

 ぐちゅっぐちゅっぐちゅっ。
 結合部が淫らな音を立て、部屋に響く。
 俺は弱いしこりを押し潰され、突かれて気持ちよさに喘いでいた。

「あんっ、あんっ、あんっ、あんっ、あんっ」

 目の前に火花が散る。
 自慰よりもずっと気持ちが良い。
 快楽で痺れて、何も考えられない。

「あんっ、あんっ、あんっ、あんっ、あんっ」

 俺も腰を振って喘いだ。
 ああ、気持ち良くてたまらない。
 旦那様は、力強いピストンで腰を振った。

「あんっ、もうイく、出ちゃうっ!」

「俺もイくよ、くっ、ぅ……っ!」

 どぴゅっ! びゅびゅーっ!
 俺は、気持ち良く射精した。
 旦那様は、俺の最奥に射精した。

 旦那様は、ぐったりした俺をぎゅっと抱き締めた。
 ちゅっちゅっとキスをして、舌を絡め合う。
 俺達は、しばらく抱き合っていた。



 それから、三年の月日が流れた。
 今日は俺の趣味のひとつ、観劇に行く日。
 結婚してから観劇に目覚めた俺は、よく観劇に連れて行って貰う。
 結婚当初心配していたような、放置されるような事はまるでなく、俺は溺愛されているように思う。

「お待たせ、ファレル。じゃあ、行こうか」

 旦那様にエスコートされて、馬車に乗る。
 今日も風が気持ち良い。

「今日の公演は、桜組だったね。新作だと言うから、ファレルも楽しめると思うよ」

「はい。俺も楽しみです」

 見えないけれど、微笑まれている気がする。
 胸がぽかぽかして暖かい。
 俺は、旦那様を愛していると思う。

「桜組と言えば、今日の主演はジュリーだ。帰りに握手会に参加してから帰ろう」

「いいんですか? 帰りが遅くなってしまいますよ」

「夕食の時間を遅れさせれば良いさ。せっかくの機会なんだから、遠慮はいらないよ」

「それは……ありがとうございます」

 俺達は談笑を楽しみながら劇場に向かった。

 劇場に到着し、演劇が始まった。
 目は見えないけれど、十分面白い。

 最後はジュリー扮するキャサリンが高笑いするシーンで幕が降りた。

 ざわざわし出す場内。
 おトイレに行った旦那様を、メイドと一緒に待つ俺。
 そこに、鈴のような声が届いた。

「もし、マクガイアー家の奥様でいらっしゃいますか?」

 相手はどうやら女性のようだ。

「はい、そうですが、あなたは?」

「ご夫君に手紙をしたためて来ましたの。メイドに渡しましたから、しっかりと渡して下さいませ」

「あの、どなた様で……」

「奥様、先程の女性はもうおられません。手紙は私が受け取っております」

「わかった。後で旦那様に渡そう」

 なんだか嫌な予感がした。

 握手会でジュリーに握手して貰い、感激した。
 夜は旦那様に情熱的に抱かれ、手紙の事は聞きそびれてしまった。

 しばらくして、旦那様が書斎に俺を呼んだ。
  珍しい事だ。
 
 「どうかなさいましたか、旦那様?」
 
 「ファレル、落ち着いて聞いてくれ。この間の観劇の際にお前に手紙を渡していった女性がいた事を覚えているかい?」
 
 「ええ、覚えております」
 
 「実は彼女は、俺が婚約破棄された相手なんだ。他の男を選んだ裏切り者。ここまでは良いかい?」
 
 「そうだったんですね。それで今更、旦那様にどんなご用事で?」
 
 「それが、今の旦那と離婚して俺と再婚すると言っている。君のことは妾にして良いとも書いてあった。言っておくが、ふざけた話だ。俺は彼女にもう気持ちもない。誤解しないで欲しいから、こうして話した」
 
 「はい……。俺は、どうしたら?」
 
 「我が儘な女なんだ。断りの手紙は送ったが、ごねて、何かするかもしれない。しばらくは外出を控えてくれ」
 
 「わかりました」
 
  それで話は終わりだと思っていた。
  俺は女の妄執を甘く見ていた。
 
  それから半年後、俺は町に買い物に来ていた。
  外出禁止令も解かれ、来週は観劇に連れて行って貰える。
 
  そんな風にウキウキしていたからか、人攫いにあい、俺は小さな小部屋に押し込められた。
  両手両足を縛られ、猿轡をされて、転がされる俺に、出来る事はなかった。
 
  その後馬車に揺られて、強い香の香る場所に運び込まれた。
 
 「へえ、上玉じゃないか」
 
 「目が見えねえって話だ。後はうまくやってくれ」
 
  俺を攫ってきた男達が立ち去る。
  俺は縛られたまま、小部屋に運ばれた。
 
 「お前はこれから、娼婦になるんだよ。辛いのは最初の内だけさ。すぐ慣れる。あたしはデュアル。デュアル様と呼びな」
 
  猿轡が外され、俺は咳き込んだ。
 
 「げほっげほっ。娼婦だって? 冗談じゃない! 俺は旦那様の所に帰らないと……」
 
 「健気だねえ。そんなあんたに、早速客が着いたよ。せいぜいその綺麗な声で喘いでやりな」
 
  デュアルと名乗った男は退室していった。
 
  俺はその後部屋に入って来た男に犯された。
  快楽を感じるまで念入りに尻を愛撫され、ねっとりと腰を使ういやらしい男だった。
 
  次の日も、次の日も客を取らされ、俺は疲弊していた。
  旦那様がどんなに大事に俺を抱いてくれていたかが良くわかる。
  帰りたくてたまらない。
 
 一週間ほど経っただろうか。
 俺は手枷を外され、部屋に佇んでいた。
 部屋に入ってきた大柄な男に、身を堅くする。
 殴られるだろうか。口に陰茎を突っ込まれる?
 俺は頬に触れた優しい手に、覚えがあった。

「ファレル……やっと見つけた……!」

 待ち望んだ旦那様の声だった。
 旦那様は俺を強く抱き締め、震えて泣いた。

「旦那様……ごめんなさい……」

 俺も泣いた。涙が熱い。


 旦那様はデュアルと何か取引をしたらしい。
 俺の身柄はスムーズに受け渡しが行われた。
 俺は自宅に帰ってきた。
 懐かしくて泣きそうだ。

 その夜、俺は旦那様に抱き締められて眠った。
 旦那様はボロボロだったらしく、髭が生えていた。
 一生懸命探してくれたんだなぁ、と胸が熱くなる。

 翌日起きてから、顛末を聞いた。
 俺の誘拐の首謀者は、やはり旦那様の元婚約者で、俺が邪魔だったらしい。

「盲目の男なんて、役に立たないでしょう。相応しい仕事を紹介しただけです。なぜ私が責められるのかしら?」

 騎士団の取り調べ中もこの調子で、俺の行き先はわからない、の一点張り。
 捜査は難航し、旦那様は虱潰しに娼館を当たっていたんだとか。

「彼女は離縁されて、修道院へ行ったよ。これ以上の罰は難しかった。ファレル、俺を許してくれるか?」

「旦那様は悪くない。俺は……汚い身体になっちゃったけど、そばに置いて貰えるかな?」

「お前は綺麗なままだよ、ファレル。良かったら、俺に抱かせてくれるかい?」

「旦那様……。抱いてください。俺には、旦那様だけです……」

 旦那様はしつこく俺の肌を舐めまわし、弱いしこりを刺激して、執拗に俺を鳴かせた。

「ファレル、お前は誰のものか、言ってご覧?」

「俺は旦那様のものですっ! ああっ!」

 部屋に淫らな声が響き渡る。
 旦那様の愛撫は、気持ち良かった。

「入れるぞっ! 俺のファレル、愛してる……っ!」

 ずぶりと入ってきた旦那様が腰を振る。
 愛してる、と譫言のように繰り返す旦那様は、力強くピストンした。
 俺は快感に身を任せ、喘ぎ続けた。

 この夜、旦那様は三度も俺を抱いた。
 俺はよだれでべとべとな顔を何度もキスされて、嬉しくて泣いた。

「俺も、愛しています。旦那様……」

 旦那様は俺をぎゅっと抱き締めてくれた。

 それからは、穏やかな日々が続いた。
 過保護になった旦那様により、外出は旦那様も一緒。
 観劇の新作には必ず連れて行ってくれて、長蛇の列の握手会にも並んでくれた。

「ファレル、愛しているよ」

 目が見えなくても、優しい眼差しをしている事位感じ取れる。
 僕の唇にちゅっとキスする旦那様に、俺も言葉を返す。

「愛しています、旦那様。俺はずっと旦那様のものです」

 頬を撫でる風が気持ち良い。
 俺は旦那様に抱き締められ、深いキスをした。

 おしまい。
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