聖女追放は仕組まれたものだった(私達最初から知っていたのよ編)

転定妙用

文字の大きさ
2 / 19

大変です~、殿下。

しおりを挟む
「殿下、ガブリエル様、大変です~。」
 夜、突然王太子の邸宅に来訪したのは聖女ミカエラだった。

 婚約者ではあるが、聖女と王太子である。このようなことは、滅多にないことである。夜の訪問である。何事かと、誰かに見られれば、不審に思われるし、あることない事噂が流れるかもしれない。そのことをわかっているミカエラは、秘密の入り口、まあ隠れて目立たないという程度のものだが、からお忍び用の馬車で入って来た。彼女は、ガブリエルの邸宅の使用人の誰もが知っている、子供の頃から、ため顔パスで最小限の接触でガブリエルの所まで来たのである。
 侍女から呼び出され、夜着にガウンを羽織って、押っ取り刀、もちろん刀などは持っていないが、彼女が待つ応接室に急いで向かった。
 入ると既に、外套を聖女服の上に纏ったまま聖女ミカエラは、侍女、彼も彼女の家の者達や聖女に仕える修道女達は大抵知っているが、見慣れない女だった、と長椅子に座っていた。
 ミカエラはガブリエルが入って来るのを見ると立ち上がり、ものすごい勢いで駆け寄り、彼の夜着の襟首をつかまんばかりに、
「ガブリエル様が私との婚約を破棄して、私を偽聖女として追放して、私がベゼルブブ王国国王と結婚して、かの国に加護を放って、王妃になって、ルシファ王国の混乱を利用して、ガブリエル様を処刑して、ベゼルブブ王国国王をルシファ王国国王にする陰謀が進んでいるんです。大宰相ラファエロ様とベゼルブブ王国国王ウリエルと結託しているんです。」
と叫ぶように訴えたのだった。ミカエラの息遣いをほおに受け、唾さえも感じるガブリエルだったが、
「?」
という顔だったので、ミカエラはいつもの彼女らしくないのだが、
「ああ、どうしてわからないのですか?こんなに順序だてて、詳しくお話しているのに。私などどうなってもいいと思ってらっしゃるのですか?」
もう涙で顔はクシャクシャ、端正な美しい顔が、にして訴えた。
「ま、待ってくれ。落ち着いて・・・落ち着いて考えさせてくれ。」
と彼女の手をしっかりと握り、少し体を離してから、ほんのつかの間試案してから、
「え~と、大宰相ラファエルが隣国ベゼルブブ王国と結託して、君をベゼルブブ王国国王ウリエルの妻にして、加護を与えようとして、結託して陰謀を巡らせている。君があちらの国にいったら、我が国への加護がなくなるから・・・、え~と、我が国の国民は不安を感じて混乱するだろうな。それから・・・その原因が私が君との婚約を破棄して、偽聖女として追放したことに原因があれば・・・私の責任が問われて・・・。そうすれば、その隙をついてベゼルブブ王国が我が国に侵攻する良い機会だし、大宰相ラファエロが結託していれば・・・容易に我が国を占領できる・・・。」
「そう、そのとおりですわ。ようやくわかっていただけたんですね。」
 目をキラキラさせて喜ぶミカエラに申し訳なかったが、
「で、でも・・・しかしだよ、どうして私が君との婚約を破棄して、君を偽聖女として追放するんだ?そんなことありえないと思うけど?」
「もう~、ガブリエル様は真実の愛する、真の聖女を見つけたからと言って、私との婚約を破棄して、追放するんですー。わからないのですかー?」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。僕は君を、ミカエラを愛しているし、それ以外の愛する女なんていないよ。しかも、君以外の真の聖女なんているはずがないじゃないか?そんなことは、ルシファ王国の子供だって知っているから・・・。」
「だから、大宰相ラファエル様とベゼルブブ王国が結託して仕組んでいるんです。」
「は?」
というガブリエルの顔を見て、これはだめだと思ったミカエラは、振り向いて侍女の方に視線を向けた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...