6 / 19
ベゼルブブ王国に
しおりを挟む
「駄目です。私を一人にしないで。」
とミカエラが、彼女の侍女達3人の手をつかんで泣き叫ぶのを見て、ラファエルは呆れるとともに、3人をミカエラの館に、彼女の持ち物を取りに行かせるということで、まず一旦、引き離した上で、そのまま、聖女の意思だからと追い返して聖女を一人だけにする、孤立させ、孤独にさせればこの後のこともより上手く進む。全ては万全に準備を整える、宰相として国の統治のために常に行っていたことを、ここでも実行するのだ、すっかり染みついてしまっているのだな、と回想気味に心の中でつぶやいていたが、再び方針を変更せざるを得なくなったことを自覚した。"全く聖女様にも困ったものだ。"
「大宰相殿。このようにまでされては・・・大宰相殿にご迷惑がかかるのではありませんか?」
と聖女ミカエラが心配そうに言うと、ラファエルはいかにも泰然という風で大笑いをして、
「私の使用人達とその荷物の中に、聖女様と聖女様の荷物が紛れ込んでいただけですよ。そして、聖女様の荷物を捨てたところに聖女様がいただけのこと。その捨てられた荷物を誰が拾ったのかは知りません。それが聖女様だったとしても、私が知りうることではありませんから。」
その彼を聖女は感動と感謝の視線を向けている姿を満足気に見た、とラファエルは思った。
出発する数台の馬車の列を見送りながら、彼は"十分にこちら側はお膳立てはしっかり整えておきましたから、後は頼みましたよ、ベゼルブブ王国国王ウリエル陛下。"ラファエルは心の中でつぶやいた。
数日後、聖女ミカエラは、ベゼルブブ王国の国境についた。馬車を降りたミカエラ達は、徒歩で国境を越えた。彼女の侍女達とラファエルのつけた従者達が手に持って運んだ。そして、ミカエラと3人を残して、一礼してから、彼らは馬車に乗り込み、来た道をその馬車は走っていった。
ミカエラが去り行く馬車に手を振り終わり、振り返ると、そこには、ベゼルブブ王国国王ウリエル自身が出迎えてくれた。
「聖女ミカエラ様。ベゼルブブ王国にようこそ。国を挙げて歓迎いたします。」
彼は、彼女の手を取ると、
「馬車にどうぞ。」
と豪華な馬車に導いた。
「お願いです。彼女達を私と同じ馬車に同乗させて下さい。そうでなければ私は、行きません。」
と泣き叫んで暴れさえした。
"しかたがないな。この程度はいいか。彼らの監視を十分にしていれば大丈夫だろう。"とウリエルは諦めて、4人を一緒に馬車に乗せ、自分は別の馬車に乗ることになった。
「全く聖女は、自分の置かれている立場というものをわかっておられませんわ、なんてことでしょうか?陛下が寛容な方だからいいものを。全く恩知らずもいい所ですわ。ルシファ王国の人間は、皆そうなのでしょうか?大体、あの3人もこういう時は、主人に諫言すべきところですし、自分は従者用の馬車に乗りますからと強く言い張るべきなのです。それを聖女の言いなりになるばかりで、しかもほいほいと、あのような者達が乗るべきではない馬車に乗るなんて・・・。全くどうしようもない連中ですわ。」
ウリエルの前で、怒りが収まらないというようにまくしたてていたのは、彼の公私とも、文武ともの秘書官、副官である女性だった。そして、彼の愛人の一人でもあった。もちろん、秘書官としても、副官としても優秀な女性だった。見事な金髪の均整のとれた体で、わりと長身の知的な感じの美人であった。
「まあ、それだけ聖女も傷心の身ということなのだろう。」
それは都合のいいことだ、と目で彼女に伝えた。彼女も、頷き、わかっていますという顔であったが、心なしかぶいっと視線をずらしたようにも見えた。
"聖女に嫉妬しているか?こいつでも・・・可愛いな。"と思ってしまい、思わず抱き寄せてしまった。
「へ、陛下・・・。このような・・・聖女に誤解されてしま・・・。」
だが、すぐに彼女は抵抗ができなくなっていた。
とミカエラが、彼女の侍女達3人の手をつかんで泣き叫ぶのを見て、ラファエルは呆れるとともに、3人をミカエラの館に、彼女の持ち物を取りに行かせるということで、まず一旦、引き離した上で、そのまま、聖女の意思だからと追い返して聖女を一人だけにする、孤立させ、孤独にさせればこの後のこともより上手く進む。全ては万全に準備を整える、宰相として国の統治のために常に行っていたことを、ここでも実行するのだ、すっかり染みついてしまっているのだな、と回想気味に心の中でつぶやいていたが、再び方針を変更せざるを得なくなったことを自覚した。"全く聖女様にも困ったものだ。"
「大宰相殿。このようにまでされては・・・大宰相殿にご迷惑がかかるのではありませんか?」
と聖女ミカエラが心配そうに言うと、ラファエルはいかにも泰然という風で大笑いをして、
「私の使用人達とその荷物の中に、聖女様と聖女様の荷物が紛れ込んでいただけですよ。そして、聖女様の荷物を捨てたところに聖女様がいただけのこと。その捨てられた荷物を誰が拾ったのかは知りません。それが聖女様だったとしても、私が知りうることではありませんから。」
その彼を聖女は感動と感謝の視線を向けている姿を満足気に見た、とラファエルは思った。
出発する数台の馬車の列を見送りながら、彼は"十分にこちら側はお膳立てはしっかり整えておきましたから、後は頼みましたよ、ベゼルブブ王国国王ウリエル陛下。"ラファエルは心の中でつぶやいた。
数日後、聖女ミカエラは、ベゼルブブ王国の国境についた。馬車を降りたミカエラ達は、徒歩で国境を越えた。彼女の侍女達とラファエルのつけた従者達が手に持って運んだ。そして、ミカエラと3人を残して、一礼してから、彼らは馬車に乗り込み、来た道をその馬車は走っていった。
ミカエラが去り行く馬車に手を振り終わり、振り返ると、そこには、ベゼルブブ王国国王ウリエル自身が出迎えてくれた。
「聖女ミカエラ様。ベゼルブブ王国にようこそ。国を挙げて歓迎いたします。」
彼は、彼女の手を取ると、
「馬車にどうぞ。」
と豪華な馬車に導いた。
「お願いです。彼女達を私と同じ馬車に同乗させて下さい。そうでなければ私は、行きません。」
と泣き叫んで暴れさえした。
"しかたがないな。この程度はいいか。彼らの監視を十分にしていれば大丈夫だろう。"とウリエルは諦めて、4人を一緒に馬車に乗せ、自分は別の馬車に乗ることになった。
「全く聖女は、自分の置かれている立場というものをわかっておられませんわ、なんてことでしょうか?陛下が寛容な方だからいいものを。全く恩知らずもいい所ですわ。ルシファ王国の人間は、皆そうなのでしょうか?大体、あの3人もこういう時は、主人に諫言すべきところですし、自分は従者用の馬車に乗りますからと強く言い張るべきなのです。それを聖女の言いなりになるばかりで、しかもほいほいと、あのような者達が乗るべきではない馬車に乗るなんて・・・。全くどうしようもない連中ですわ。」
ウリエルの前で、怒りが収まらないというようにまくしたてていたのは、彼の公私とも、文武ともの秘書官、副官である女性だった。そして、彼の愛人の一人でもあった。もちろん、秘書官としても、副官としても優秀な女性だった。見事な金髪の均整のとれた体で、わりと長身の知的な感じの美人であった。
「まあ、それだけ聖女も傷心の身ということなのだろう。」
それは都合のいいことだ、と目で彼女に伝えた。彼女も、頷き、わかっていますという顔であったが、心なしかぶいっと視線をずらしたようにも見えた。
"聖女に嫉妬しているか?こいつでも・・・可愛いな。"と思ってしまい、思わず抱き寄せてしまった。
「へ、陛下・・・。このような・・・聖女に誤解されてしま・・・。」
だが、すぐに彼女は抵抗ができなくなっていた。
0
あなたにおすすめの小説
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる