聖女追放は仕組まれたものだった(私達最初から知っていたのよ編)

転定妙用

文字の大きさ
5 / 19

婚約破棄と追放

しおりを挟む
「全く殿下にも困ったものですな、せっかち過ぎると言うか。前線のことは将軍達に委任していることですから、聖女様のご誕生日の祝宴のために、多少出発を遅らせてもいいものを・・・。どうも、ご幼少のころから、他人の気持ちとか民の気持ちとか、周囲への配慮に欠けるところが多い方でしたが・・・最近は直すように努力していると思いましたのに、私が甘かったようです。申し訳ありません。」
と大宰相ラファエルは聖女ミカエラの誕生日の祝宴だった。多くの人が、彼女に誕生日の祝いを述べながら、彼女の気持ちを配慮して、婚約者であるガブリエル王太子の不在について触れなかったが、大宰相ラファエルだけが、執拗にガブリエルを非難するような言葉を口にした。
「殿下は、ご出発の際は、私の誕生日を共に祝えないことを気にかけ、詫びておられましたわ。そのご態度だけで私は満足ですわ。」
とミカエラは健気にも笑っていたが、"もうすぐそのようなことは言っていられなくなるがな。おお、遂に幕が上がるか。"と大宰相ラファエルは心の奥底で笑いをこみ上げていた。
 会場がざわついた。王太子ガブリエルが姿を現したのである。ミカエラは、一瞬目を輝かせて、彼に歩みかけたが、歩みを止めた。彼が、他の女の腰を抱いて寄り添わせていたからだった。

「ガブリエル殿下。そ、その女は誰です?」
と震えて問う聖女。
「彼女のことか?彼女は私が愛する女性だ。愛する女性を見つけた今、お前との婚約は破棄する。そして偽聖女ミカエラ、お前をこの国から追放する。」
と見下すような、卑劣漢そのものの笑いを浮べて、彼は怒鳴った。
「ど、どういうことですか?これは何かの冗談ですか?」
と混乱しながらも、信じられないという顔の聖女は王太子のもとに歩みよったが、振り払われて床に倒れた。その彼女に彼は足蹴した。
「おまえは臭くてしかたがなかったんだ。もう我慢できないんだよ」
"わしの出番だな。"
「殿下。聖女さまに、数々の心無い振る舞い。これ以上の聖女様へのご無礼、見過ごすことは出来ませんぞ!」
と颯爽と、聖女と王太子の間に大宰相ラファエルだった。さらには、王太子はラファエルも足蹴にしようとしたが、それを何とか堪えて、
「いまいましい爺が・・・。」
と悪態をつきながら、
「この偽王女に手助けも、聖女の貨物を渡すのも、宿を提供することも許さん。それから、今日のことは私の耳には入れるな。」
というと、小柄な金髪の、黒を基調としたドレスを着た女を連れて、会場の後にした。会場の全員が唖然として動けなかった。"ここでまずはわしが。"
「聖女様。大丈夫ですか?」
「お嬢様しっかりして下さい。」
「お嬢様、怪我はありませんか?」
 ラファエルより早く、彼女のもとにかけつけてきた3人の男女がいた。聖女教会修道女、彼女の侍女、使用人達であった。
「お前達は・・・。」
と引き離そうとしたが、聖女は彼女らの手ら握り、離れようとしなかった。
"しかたがない。予定とは異なるが、とりあえず、この3人もまとめて面倒をみるか。"

「まずは、聖女様をお休みになれるところへお連れしろ。」
 そして、確保してあった個室に招き入れ、
「このような時ではありますが。」
と言って、甲斐甲斐しく軽食や茶、甘い少量のワインを勧めた。
 彼女、聖女ミカエラは、完全に傷心状態であり、彼女に付き添う3人も、事態が把握できずに混乱して、主を、聖女を慰めることしかできないでいた。ラファエルは、この状況に一応満足していたが、やはり3人を引き離した方がいいと考え直した。
「殿下の命令は、絶対です。聖女様を追放せざるを得ません。しかしながら、聖女様の持ち物をできるのだけ持ち、隣国ベゼルブブ王国へ安全にお送り申し上げます。ベゼルブブ王国に聖女様の安全と生活の保障を交渉いたします、我が身に代えても。」
とラファエルは、聖女の前にひざまずいて約束した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!

七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

処理中です...