聖女追放は仕組まれたものだった(私達最初から知っていたのよ編)

転定妙用

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陣頭指揮

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「みんなー。私の加護は殿下の力で倍増しているわ。ベゼルブブ王国を撃退できるわよ!みんなで勝つのよ!」
とガブリエルの訓示の後に彼の横に立って、聖女ミカエラは叫んだ。
 それは、ガブリエルとミカエルが入城した、要の要塞であるレヴィ要塞の全将兵だけでなく、ベゼルブブ王国の国境線にある全要塞、野戦陣地、さらには後方に控える騎兵隊(歩兵、砲兵も含む)の全将兵の耳にも届いていた。必死の突貫工事で進めたものの、まだ不足していると思われたものが、予想外に易々と進み、誰もが信じられないくらいに強固に完成していた。自分の持つ武器が、もちろん手入れを怠らず、兵器工場で昼夜兼行で製造して送られてきたのだが、粗製品が全くない、それ以上にないものだと感じていた。さらに、自分達も馬さえも、完璧な、今までになく充実していると感じられた。聖女ミカエラの加護、王太子ガブリエルによりそれが強まっている。聖女とともにあるルシファ王国を守るために、自分達は聖女ミカエラとともに、王太子ガブリエルの陣頭指揮の下戦い、勝つのだと士気は否応なく高まっていた。

 そして、その数日後ベゼルブブ王国軍の侵攻が始まった。陸の強国として、最強の陸軍を誇る、ベゼルブブ王国軍、その総力を総動員しての20万の大軍が現れた。16万人が国境線の要塞群を落とし、4万人の軍、騎兵を主体とした軍が、それを迂回して、山岳地帯を抜けて侵攻する。聖女ミカエルの加護に対抗して、聖女、魔導士をもそう動員、さらに聖女ミカエラの奪還のための部隊を特に編制していた。魔法鉱石が豊富な国情を利用しての装備もあり、国王ウリエル以下絶対の自信を持っていた。
 所詮は加護に守られた軟弱な民も将兵と加護の恩恵にどっぷりつかって怠惰で愚かなのは上は国王から下は農民にいたるまで同様であると、ベゼルブブ王国は、やはり上は国王ウリエルから下は農奴まで信じていたのである。聖女ミカエラが放った加護はまだ健在であり、無理やり誘拐され、軟禁されている聖女ミカエラが本気で加護をルシファ王国に与えるはずはない。ウリエル国王を愛し、ウリエルとベゼルブブ王国のすばらしさを知った聖女が自分達に味方しないはずはない、王妃を取り戻せと士気は高かった。そのことを、ウリエル自身も同様に感じていた。聖女ミカエラの婚約破棄、追放が自分達が仕組んだものであることを半ば以上忘れているかのように。

 十分な事前偵察、スパイによる情報、外交ルート等から入る一般情報の分析を十分していた。その上で正攻法での要塞、陣地突破を図った。城塞攻撃には、守備側の3倍の兵力が必要である。だが、防御側はより広い地点に兵力を配置する必要がある。ルシファ王国が国境線に配備した兵力は、8万人強だったが、ベゼルブブ王国軍は3倍以上の兵力で各要塞を攻撃することができたのは、そのためだった。
 大砲による要塞、陣地への砲撃、その支援の下での歩兵隊の突撃、工兵による妨害物の排除、突撃路の確保、要塞要部への爆薬の設置等が行われる。特に、要のレビィ要塞への攻撃は激烈を極めた。半日で要塞の城壁が破壊されるのではないかと思えるほどだった。が、レビィ要塞はとても半日では陥落しようとはしなかった。
「王妃聖女ミカエラの救出を命ずる。」
 囚われている聖女ミカエラが、レビィ要塞に繋がれている(情報収集の段階でそのような認識になってしまっているのである)との情報を得たウリエルは、大量に雇い入れた黒戦闘メイド達に命じた。
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