婚約破棄された悪役令嬢に辺境大公(私の婚約者)を寝取られました

転定妙用

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見捨てれないわよね?

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 うち萎れて、本当に消えゆくように思えるようなゼハンプリュを見たら、私は思わず抱きしめちゃったわ。惨めな思いを共有しながら、競争心、嫉妬心も抱きながら、乳房を押し付けあった、下半身を擦りつけあった、抱きしめあった、あの記憶は、感触は脳裏にも、心にも、体にもしっかり残っているんだもの、今の私達は本当はそのことを体験もしていないことだけど。彼女に同情せざるを得ないでしょ?

 彼女には、その記憶はないでしょうけど、泣きながら、赦しをこいながら、抱きしめ返してきたわ。その感触が、なんか痛々しくて、それでいて、甘美だったわ。

 サムロは、そうした私達二人を優しく抱きしめてくれた、くれたけど…彼女とのベットの上での組んずほぐれつを思いだしていないでしょうね?

 私達二人は、当然彼女の助命を嘆願したわ。それは、彼女の領地の農民達からもあがったわ。古いタイプの領主でも、彼女はそういう領主でもあったのだ。
 王妃ガマリアからも、助命の嘆願弾丸が国王陛下にあがったわ。大体、自分達のせいでこうなったのだから、彼女を反逆者として処刑なんかしたら後味が悪すぎるものね。自分の人気も考えてのことだとは思うけど、やはり彼女にはそういう優しさもあると思うのよね。
 そんなこんなで、ゼハンプリュは助命されたわ。カーキ公爵家は大幅に財産が没収された上で、彼女の弟が受け継いで、彼女にはその上で、領地などが与えられたわ、小さいけれど、彼女が優雅に暮らせるだろうだけの収入のある。

 その彼女と私達二人は、世間から変な噂をされる3人での同居生活をするようになっていたわ。それには、訳があるのよね。

 あれは、アイオン様が、彼の軍師にして、宰相であった男の死を見て、しばらくして亡くなられたという知らせがあった日のことだったわ。私達二人は、彼女を住まわせていた屋敷に、それはまだ、彼女に正式な赦免と領地と屋敷が与えられる前、コリアンダー公爵家の別邸で保護されていた時期だった。アイオン様の死を知り、彼女を慰めよう、私も彼女と語りあって、彼女の悲しみを和らげたいと思ったからだった。実際はそうしながら、私自身の悲しみを慰めたかったのかもしれない・・・なんて言い訳じみたことするなんて私らしくもないわね。語り合うことで、私自身を慰めたかったし、彼女に慰めてもらいたかったのよ。私のアイオン様への物心ついた時からの想いを、彼女に理解してもらいたかった。え?女同士で乳房を押し付け合った、唇を重ねた間柄だからですって?ま、まあ、その感触が一方的に私にだけはあるけど・・・それはあるかもしれないわね、少なくとも否定はできない・・・。

 彼女の仮の住まいは、ピール公爵家の別邸でもよかったのだけど、その方が実のところ、私には都合がよかったのだけど、彼は彼女を妻にして、くんずほぐれつの日々を送った記憶、思い出、感触を忘れないでいるから、少し、かなり心配、信じてはいるわよ、でも・・・、サムロの部下達が彼女を救い出したこと、外国兵、特に傭兵たち、なんとアイオン様の軍の敗残兵が彼女を襲い、駆けつけた彼らが奮闘して守ったという経緯があったそうだわ、と彼女がサムロなら信頼するといったということでの結果なのよね。
 考えてみると、かわいい婚約者、成り上がりの血筋だとして虐められかねないガマリアを守りたい一心とはいえ、サムロはゼハンプリュとしばしば会い、彼女の推薦する人材を部下として採用したというように、私よりはずっと、あの時以前から、彼女は彼とは、ある意味で関係が深かったのよね。そして、あの日の、あの時の一瞬、2人は時間を共有、いえ思いを共有していたわ、自分の愛する婚約者を失おうとしているという思いでダンスのパートナーを組んだのだ。そして、彼女はその時の選択で、その後を決めてしまった、彼と袂を分かってしまったという後悔にも似た念があるのよね。もし、他の選択をしたら、サムロの手を離さなかったら、握っていたら・・・どうなったろうかと。実際、その選択もありえたし、あった?のよね。だから、なおさら心配だけど、仕方がないのよね・・・。
 ちなみに、アイオン様の名誉にかけて言えば、彼女の元からの家臣、使用人だけでなく、アイオン様が彼女につけた護衛や侍女達も彼女を必死に守ったそうだわ。彼女らは、ゼハンプリュがコリアンダー公爵・ピール公爵家軍に保護され、それが彼女の意志であり、無事であることが分かると、とめる彼女に、もちろん絶対あなたがたの安全と今後は保証すると彼女も私達も約束したけれど、総退却するアイオン様の後を追ったわ。その後の彼らの消息はわからないけど。ゼハンプリュは、何とかして見つけようと捜してはいたけれど。

 それが…。
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