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数日後、作戦は決行された。
目的の場所に到着し、二手に分かれる。
「気をつけて」
教授は烏と燕を心配そうに見る。
「ええ。そちらも」
「行ってきます!」
その返事に、教授はなんとか笑みを作って2人を見送った。
選ばれた少数精鋭の隊員達は、気付かれないように注意を払いながら、入り口を取り囲む。
燕と烏は、洞窟近くの木々に身を隠す。
武器を構えながら息を潜ませ、合図を待つ。
緊張で硬くなった燕の肩に烏は手を置いて、微笑み勇気付けた。
燕の表情が和らいで何回か深呼吸をした後、ライトが洞窟の中を照らす。
作戦開始の銃声が鳴り響き、弾丸が洞窟に放たれた。
直後、けたたましく鳴きながら、鳥の大群が飛び出してきて、あらかじめ張っておいた網に次々とかかっていく。
それが落ち着いた後、突撃を知らせる2発目の銃声を合図に、2人は洞窟に突入した。
燕は混乱し飛び回っている敵を一閃、また一閃と次々と切り倒していき、烏は取りこぼした分を追撃しながら後を追う。
しばらく進んだ先に、明かりが見えた。
暗闇だと予想されていた洞窟は、左右にカンテラが等間隔で置かれていて明るい。
その異常さに燕を呼び止めようとするが、全速力で駆け抜けていった少年との距離は、既に姿が見えないほど離れていた。
燕は立ちはだかる敵を切り裂きながら、駆けていく。
視界が開けた。
そこは一層明るく、中心にリーダーらしき、他より一回り大きい鳥の姿を見つけた。
燕は更に加速すると、急所を狙って敵の懐に飛び込もうとしたが、その体は地面に叩き伏せられる。
おかしい。
まだ敵の間合いにも入っていないのに、どうして。
見ると、敵の体は本来の大きさの何倍にも膨らみ、体は鱗のようなもので覆われ、太く伸びた手足には鋭い爪が生えていた。
その怪物は、痛む体でなんとか態勢を整えようとしていた燕を踏み潰そうと、足を上げた。
と、そこに弾丸が打ち込まれる。
追いついた烏の撃った銃弾が、敵の足に命中したのだ。
だがそれは硬い皮膚に少し傷をつけただけで、敵の動きを止めることはできない。
烏は追撃をしながら燕の元に向かうが、間に合わない。
耳障りな鳴き声を上げながら、怪物の足が振り下ろされる。
ヒュンッと風を切る音がして、何かが烏の側を横切った。
次の瞬間、敵の頭部が爆発し、呻きよろめいた。
そこにまた風が吹き荒れ、何かが敵目掛けて突進する。
向かって行ったのは、人間の女だった。
異形は叫び口を開け、迫る女に食らいつこうとする。
鋭い牙が並ぶその口目掛け、女は拳を突っ込んで、すぐに離れた。
直後、敵の顔が爆ぜる。
爆弾を口の中に入れたのだろう。
肉片が飛び散り、煙が立ち上る。
そして声を出すこともなく、敵は倒れた。
煙が晴れた後に残っていたのは、ただの鳥の死骸だった。
「あ、ありがとうございます」
立ち上がって、女の顔を見た燕は悲鳴を上げた。
ギロリと視線を返したのは、あの日自分達を襲ってきた鷹だった。
「何のつもりだ」
烏は銃を鷹に向ける。
「見りゃわかるでしょ?助けてやったのよ。お礼くらい言ったらどう?」
「・・・理由は?」
「そんなこともわからないの?少しは自分の頭で考えなさいよ」
眉を寄せて、烏は考えを巡らせる。
ふいに嫌な考えが頭をよぎった。
こいつはどこから入ってきた。
自分達と同じ入り口から。
そこには教授達がいるのに、一体どうやって・・・。
そこまで考えて、全身から血の気が引いた。
何か言っている鷹を無視して踵を返し、烏は出口に向かって駆け出した。
目的の場所に到着し、二手に分かれる。
「気をつけて」
教授は烏と燕を心配そうに見る。
「ええ。そちらも」
「行ってきます!」
その返事に、教授はなんとか笑みを作って2人を見送った。
選ばれた少数精鋭の隊員達は、気付かれないように注意を払いながら、入り口を取り囲む。
燕と烏は、洞窟近くの木々に身を隠す。
武器を構えながら息を潜ませ、合図を待つ。
緊張で硬くなった燕の肩に烏は手を置いて、微笑み勇気付けた。
燕の表情が和らいで何回か深呼吸をした後、ライトが洞窟の中を照らす。
作戦開始の銃声が鳴り響き、弾丸が洞窟に放たれた。
直後、けたたましく鳴きながら、鳥の大群が飛び出してきて、あらかじめ張っておいた網に次々とかかっていく。
それが落ち着いた後、突撃を知らせる2発目の銃声を合図に、2人は洞窟に突入した。
燕は混乱し飛び回っている敵を一閃、また一閃と次々と切り倒していき、烏は取りこぼした分を追撃しながら後を追う。
しばらく進んだ先に、明かりが見えた。
暗闇だと予想されていた洞窟は、左右にカンテラが等間隔で置かれていて明るい。
その異常さに燕を呼び止めようとするが、全速力で駆け抜けていった少年との距離は、既に姿が見えないほど離れていた。
燕は立ちはだかる敵を切り裂きながら、駆けていく。
視界が開けた。
そこは一層明るく、中心にリーダーらしき、他より一回り大きい鳥の姿を見つけた。
燕は更に加速すると、急所を狙って敵の懐に飛び込もうとしたが、その体は地面に叩き伏せられる。
おかしい。
まだ敵の間合いにも入っていないのに、どうして。
見ると、敵の体は本来の大きさの何倍にも膨らみ、体は鱗のようなもので覆われ、太く伸びた手足には鋭い爪が生えていた。
その怪物は、痛む体でなんとか態勢を整えようとしていた燕を踏み潰そうと、足を上げた。
と、そこに弾丸が打ち込まれる。
追いついた烏の撃った銃弾が、敵の足に命中したのだ。
だがそれは硬い皮膚に少し傷をつけただけで、敵の動きを止めることはできない。
烏は追撃をしながら燕の元に向かうが、間に合わない。
耳障りな鳴き声を上げながら、怪物の足が振り下ろされる。
ヒュンッと風を切る音がして、何かが烏の側を横切った。
次の瞬間、敵の頭部が爆発し、呻きよろめいた。
そこにまた風が吹き荒れ、何かが敵目掛けて突進する。
向かって行ったのは、人間の女だった。
異形は叫び口を開け、迫る女に食らいつこうとする。
鋭い牙が並ぶその口目掛け、女は拳を突っ込んで、すぐに離れた。
直後、敵の顔が爆ぜる。
爆弾を口の中に入れたのだろう。
肉片が飛び散り、煙が立ち上る。
そして声を出すこともなく、敵は倒れた。
煙が晴れた後に残っていたのは、ただの鳥の死骸だった。
「あ、ありがとうございます」
立ち上がって、女の顔を見た燕は悲鳴を上げた。
ギロリと視線を返したのは、あの日自分達を襲ってきた鷹だった。
「何のつもりだ」
烏は銃を鷹に向ける。
「見りゃわかるでしょ?助けてやったのよ。お礼くらい言ったらどう?」
「・・・理由は?」
「そんなこともわからないの?少しは自分の頭で考えなさいよ」
眉を寄せて、烏は考えを巡らせる。
ふいに嫌な考えが頭をよぎった。
こいつはどこから入ってきた。
自分達と同じ入り口から。
そこには教授達がいるのに、一体どうやって・・・。
そこまで考えて、全身から血の気が引いた。
何か言っている鷹を無視して踵を返し、烏は出口に向かって駆け出した。
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