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10.ニセ嫁、披露パーティーで何やらひと悶着ありそうな予感がいたします。
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しおりを挟む「だから、一矢をどうやってその貧相な身体でたらしこんだの、って聞いているのよ」
貧相・・・・。中松だけでなく、三成家の人間は私を心のある人間として扱ってはくれないのだろうか。
「たらしこむもなにも、一矢とは関係を持っておりません。純粋に、彼も私を好いて下さっています。私も彼が――」
そこまで言った途端、杏香さんは高笑いを始めた。「あーっはっは、おかしいわぁー」
何がおかしいのよ。失礼しちゃうわ!
「まさか男女関係もまだなんて・・・・。という事は伊織さん、貴女、処女?」
「・・・・いけませんか」
思わず正直に答えてしまったら、更に笑われた。「いけなくないわよぉー。寧ろオーケー!」
腹立つわあ。
「だったら尚更、プレゼントは大切ね。さあ、奥へ進んで」
「あ、いえ、やはりプレゼントなんて、結構です」
杏香さんの雰囲気が怖くなってきたので、逃げようと思った。密室で襲われたりしたら、洒落にならない。やっぱり中松に声を掛けるべきだった。あれほど気を付けろと言われていたのに。
「そういう訳にはいかないわよぉ。貴女は、大事な義弟のお嫁さんになる女性なのよ?」
ジリジリと杏香さんに迫られる。どうしよう――後ずさりをしたところで、ぐいっと誰かに引っ張られ、身体の自由を奪われた。見ると、身なりは上品そうな三十代前半くらいの男が二人、私を羽交い絞めにしていた。二人ともオールバックで、秘書か弁護士でもやっていそうな、聡明そうな男性だが、雰囲気が怖かった。男の雰囲気がぷんぷんしている。
「な・・・・何をっ・・・・」
「あのねえ、伊織さん。三成家には無血統の女の血なんて、まーったく不要なの。格下げもいい所。ご自分の立場、弁(わきま)えて下さらない? 婚約パーティー中に他の男と乱交パーティーなんて、処女の貴女にすればちょっと抵抗あるかもしれないけれど、すぐに良くしてあげるから、大丈夫よ。この様子はきちんと撮影して、後から一矢との婚約パーティー中に放映してあげるわ」
血の気が引いた。あまりに恐ろしい事を笑いながら言ってのける目の前のこの人が、悪魔に見えた。
震えが止まらない。涙が滲んだ。
考えろ、伊織。この状況を打破する為の策を。
こんな女に、一矢のパーティーを台無しにさせる訳にはいかない!
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