101 / 113
14.旦那様(本物に昇格!)の溺愛はどう見ても本物で、全く止まる気配がございません!
1
しおりを挟む
あれから暫く。グリーンバンブー(実家)を出て、旦那様(本物)とお屋敷に住むことになったのだけれど、毎夜毎夜毎夜毎夜、愛されて困っています。
贅沢な悩みらしいですが、身体が持ちません。毎日ヨロヨロです。はい。
結婚式がちゃんと終わって新婚旅行にも行ったら、実家のみんながお屋敷に泊りを兼ねて遊びに来る予定になっている。結婚式はもうすぐだ。
そして今は、そんな結婚式を間近に控えた平日の朝。キングサイズのベット内で目を覚まし、ぎゅうぎゅう抱きしめられている旦那様(本物)の所から、起きようとしている所だけれど、離してもらえなくて困っている。これも毎朝の日課になってしまった。
「一矢、そろそろ起きなきゃ」
「私を置いて行くのか」
「いや、だから・・・・仕事に行く時間だから、起きなきゃいけないでしょ? 置いて行くんじゃないって。大体私の方が出勤時間遅いし、見送るのは私じゃない」
「そういう問題ではない。今、寝室を出る話をしている」
めんどくせーなぁ、もう。拗らせ眼鏡男子だよ、うちの旦那様(本物)は。
「時に伊織。もう仕事はしなくとも、私は今まで十分稼いだぞ。遊んでいても、しっかり暮らしていける故、後は中松に任せておけばいいのではないか」
毎日これだ。仕事へ行きたくないと言い張って、ベッドから起きようとしない。
「そういう訳にはいかないでしょ! スピーチで『全責任を負う』って他の会社に明言したでしょ! 有言実行しなきゃ、示しつかないわよ!」
「そうだ、スピーチで思い出したぞ。父が本家に帰って来いと再三うるさくてな。ほとほと困っているのだ。あ、あの二人は無事に追い出したから、伊織が本家に行きたいというなら考えてやってもいいが」
「絶対行きたくない」
ここより広いお屋敷なんて、とんでもない。家で迷子になるわ、きっと。
「だろうな。だから私も行かないのだ。中松に断らせている」
「嫌な事は、全部中松にさせるのね」
「それがあの男の仕事だ」一矢は不敵に笑った。「中松は私の事が大好きだからな」
「ひどい雇い主だこと」
「で? その中松と美緒はどうなったのだ」
「知らない。美緒に聞いても教えてくれないもん。中松に休みあげるようにイチ君に言っておいて、って美緒が怒ってたよ」
「そんな事をいう位だから、あの二人も上手く行っているのではないか?」一矢は嬉しそうだ。「いっそ美緒もここへ越して来たらどうだ。部屋は沢山ある。なんなら二人の為に家を建ててやってもいいぞ。伊織もグリーンバンブーは辞めて、ずっと屋敷にいればいい。欲しいものは何でも買ってやるし、仕事は他の者にやらせておけばいいだろう」
「なにそのダメ男発言。最低。私の旦那様はそんな無責任な男だったんだ。ショック」
悲しそうな顔を見せると、途端に一矢が焦りだした。
贅沢な悩みらしいですが、身体が持ちません。毎日ヨロヨロです。はい。
結婚式がちゃんと終わって新婚旅行にも行ったら、実家のみんながお屋敷に泊りを兼ねて遊びに来る予定になっている。結婚式はもうすぐだ。
そして今は、そんな結婚式を間近に控えた平日の朝。キングサイズのベット内で目を覚まし、ぎゅうぎゅう抱きしめられている旦那様(本物)の所から、起きようとしている所だけれど、離してもらえなくて困っている。これも毎朝の日課になってしまった。
「一矢、そろそろ起きなきゃ」
「私を置いて行くのか」
「いや、だから・・・・仕事に行く時間だから、起きなきゃいけないでしょ? 置いて行くんじゃないって。大体私の方が出勤時間遅いし、見送るのは私じゃない」
「そういう問題ではない。今、寝室を出る話をしている」
めんどくせーなぁ、もう。拗らせ眼鏡男子だよ、うちの旦那様(本物)は。
「時に伊織。もう仕事はしなくとも、私は今まで十分稼いだぞ。遊んでいても、しっかり暮らしていける故、後は中松に任せておけばいいのではないか」
毎日これだ。仕事へ行きたくないと言い張って、ベッドから起きようとしない。
「そういう訳にはいかないでしょ! スピーチで『全責任を負う』って他の会社に明言したでしょ! 有言実行しなきゃ、示しつかないわよ!」
「そうだ、スピーチで思い出したぞ。父が本家に帰って来いと再三うるさくてな。ほとほと困っているのだ。あ、あの二人は無事に追い出したから、伊織が本家に行きたいというなら考えてやってもいいが」
「絶対行きたくない」
ここより広いお屋敷なんて、とんでもない。家で迷子になるわ、きっと。
「だろうな。だから私も行かないのだ。中松に断らせている」
「嫌な事は、全部中松にさせるのね」
「それがあの男の仕事だ」一矢は不敵に笑った。「中松は私の事が大好きだからな」
「ひどい雇い主だこと」
「で? その中松と美緒はどうなったのだ」
「知らない。美緒に聞いても教えてくれないもん。中松に休みあげるようにイチ君に言っておいて、って美緒が怒ってたよ」
「そんな事をいう位だから、あの二人も上手く行っているのではないか?」一矢は嬉しそうだ。「いっそ美緒もここへ越して来たらどうだ。部屋は沢山ある。なんなら二人の為に家を建ててやってもいいぞ。伊織もグリーンバンブーは辞めて、ずっと屋敷にいればいい。欲しいものは何でも買ってやるし、仕事は他の者にやらせておけばいいだろう」
「なにそのダメ男発言。最低。私の旦那様はそんな無責任な男だったんだ。ショック」
悲しそうな顔を見せると、途端に一矢が焦りだした。
0
あなたにおすすめの小説
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
隠れドS上司の過剰な溺愛には逆らえません
如月 そら
恋愛
旧題:隠れドS上司はTL作家を所望する!
【書籍化】
2023/5/17 『隠れドS上司の過剰な溺愛には逆らえません』としてエタニティブックス様より書籍化❤️
たくさんの応援のお陰です❣️✨感謝です(⁎ᴗ͈ˬᴗ͈⁎)
🍀WEB小説作家の小島陽菜乃はいわゆるTL作家だ。
けれど、最近はある理由から評価が低迷していた。それは未経験ゆえのリアリティのなさ。
さまざまな資料を駆使し執筆してきたものの、評価が辛いのは否定できない。
そんな時、陽菜乃は会社の倉庫で上司が同僚といたしているのを見てしまう。
「隠れて覗き見なんてしてたら、興奮しないか?」
真面目そうな上司だと思っていたのに︎!!
……でもちょっと待って。 こんなに慣れているのなら教えてもらえばいいんじゃないの!?
けれど上司の森野英は慣れているなんてもんじゃなくて……!?
※普段より、ややえちえち多めです。苦手な方は避けてくださいね。(えちえち多めなんですけど、可愛くてきゅんなえちを目指しました✨)
※くれぐれも!くれぐれもフィクションです‼️( •̀ω•́ )✧
※感想欄がネタバレありとなっておりますので注意⚠️です。感想は大歓迎です❣️ありがとうございます(*ᴗˬᴗ)💕
苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」
母に紹介され、なにかの間違いだと思った。
だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。
それだけでもかなりな不安案件なのに。
私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。
「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」
なーんて義父になる人が言い出して。
結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。
前途多難な同居生活。
相変わらず専務はなに考えているかわからない。
……かと思えば。
「兄妹ならするだろ、これくらい」
当たり前のように落とされる、額へのキス。
いったい、どうなってんのー!?
三ツ森涼夏
24歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務
背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。
小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。
たまにその頑張りが空回りすることも?
恋愛、苦手というより、嫌い。
淋しい、をちゃんと言えずにきた人。
×
八雲仁
30歳
大手菓子メーカー『おろち製菓』専務
背が高く、眼鏡のイケメン。
ただし、いつも無表情。
集中すると周りが見えなくなる。
そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。
小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。
ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!?
*****
千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』
*****
表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101
社長の×××
恩田璃星
恋愛
真田葵26歳。
ある日突然異動が命じられた。
異動先である秘書課の課長天澤唯人が社長の愛人という噂は、社内では公然の秘密。
不倫が原因で辛い過去を持つ葵は、二人のただならぬ関係を確信し、課長に不倫を止めるよう説得する。
そんな葵に課長は
「社長との関係を止めさせたいなら、俺を誘惑してみて?」
と持ちかける。
決して結ばれることのない、同居人に想いを寄せる葵は、男の人を誘惑するどころかまともに付き合ったこともない。
果たして課長の不倫を止めることができるのか!?
*他サイト掲載作品を、若干修正、公開しております*
初色に囲われた秘書は、蜜色の秘処を暴かれる
ささゆき細雪
恋愛
樹理にはかつてひとまわり年上の婚約者がいた。けれど樹理は彼ではなく彼についてくる母親違いの弟の方に恋をしていた。
だが、高校一年生のときにとつぜん幼い頃からの婚約を破棄され、兄弟と逢うこともなくなってしまう。
あれから十年、中小企業の社長をしている父親の秘書として結婚から逃げるように働いていた樹理のもとにあらわれたのは……
幼馴染で初恋の彼が新社長になって、専属秘書にご指名ですか!?
これは、両片想いでゆるふわオフィスラブなひしょひしょばなし。
※ムーンライトノベルズで開催された「昼と夜の勝負服企画」参加作品です。他サイトにも掲載中。
「Grand Duo * グラン・デュオ ―シューベルトは初恋花嫁を諦めない―」で当て馬だった紡の弟が今回のヒーローです(未読でもぜんぜん問題ないです)。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
オオカミ課長は、部下のウサギちゃんを溺愛したくてたまらない
若松だんご
恋愛
――俺には、将来を誓った相手がいるんです。
お昼休み。通りがかった一階ロビーで繰り広げられてた修羅場。あ~課長だあ~、大変だな~、女性の方、とっても美人だな~、ぐらいで通り過ぎようと思ってたのに。
――この人です! この人と結婚を前提につき合ってるんです。
ほげええっ!?
ちょっ、ちょっと待ってください、課長!
あたしと課長って、ただの上司と部下ですよねっ!? いつから本人の了承もなく、そういう関係になったんですかっ!? あたし、おっそろしいオオカミ課長とそんな未来は予定しておりませんがっ!?
課長が、専務の令嬢とのおつき合いを断るネタにされてしまったあたし。それだけでも大変なのに、あたしの住むアパートの部屋が、上の住人の失態で水浸しになって引っ越しを余儀なくされて。
――俺のところに来い。
オオカミ課長に、強引に同居させられた。
――この方が、恋人らしいだろ。
うん。そうなんだけど。そうなんですけど。
気分は、オオカミの巣穴に連れ込まれたウサギ。
イケメンだけどおっかないオオカミ課長と、どんくさくって天然の部下ウサギ。
(仮)の恋人なのに、どうやらオオカミ課長は、ウサギをかまいたくてしかたないようで――???
すれ違いと勘違いと溺愛がすぎる二人の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる