【R18】幼馴染の専業ニセ嫁始めましたが、どうやらニセ夫の溺愛は本物のようです

さぶれ@6作コミカライズ配信・原作家

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14.旦那様(本物に昇格!)の溺愛はどう見ても本物で、全く止まる気配がございません!

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「だったら、接待受けなきゃ実家帰るって言った方がいい?」

「別にいい。俺が何とかする。ようやく一矢様もお前を手に入れたんだ。手放したくなくて、一緒にいたくてしょうがないんだろ。可愛いじゃないか」

 一矢を想う優しい中松の顔を見た。彼がそばに居たら、一矢は大丈夫ね。安心だわ。

「あの・・・・それより、美緒とはどうなっているの?」

「守秘義務というものを知らないのか? お前に応える義務は無い」

「これでも一応、姉なんだけど」

「そんなに気になるなら」顔を覗き込まれた。「本人に聞け」

「はやああー!」

 パニックになり焦って変な声を出してしまった。

「何を騒いでいる」

 すっかりきちんと着替えた一矢が、むすっとした顔で現れた。「中松、食事の用意はどうなっているのだ」

「もう出来上がっておりますが」

「・・・・フン」

 なにそれ、『フン』って拗ねちゃって可愛い!

「伊織、何を笑っているのだ。行くぞ」

「はぁい、旦那様(本物)」

 腕を組んで歩き出したら、一矢が嬉しそうにはにかみ、私の腕をしっかり掴んだ。



 ※



 それから朝食を終えて支度を整え、お見送りの時間。

「行ってらっしゃい、旦那様(本物)!」

 今までは『ニセ』って付いていたけれど、正式に婚約もしたし夫婦の・・・・キャーもしちゃったし『本物』って謳えるのが嬉しいわ!

「ああ、仕事が終わったらすぐに帰るから。いい子にして待っているのだぞ」

「今日はグリーンバンブーで遅番の仕事があるよ」

「休め」

 不機嫌な顔で言われた。社会人としての発言とは思えない。

「えーっ、今日は無理だよぉ。ギンさんがいないんだもん」

「伊織の代わりに、中松を行かせればいいだろう」

 そんな無茶な。でも中松だったらテキパキやりそうだけど。

「中松になんでもやらせすぎよ。ダメ。仕事は仕事。私、グリーンバンブーの料理人になるのがもうひとつの私の夢だって言ったでしょ。ひとつめの夢は叶ったから、ふたつめの夢を実現すべく、頑張っている所なの。応援してよ」

「しかし家に帰ってお前がいないと、淋しいではないか」

 ふぁあー! 何その可愛い理由!!
 旦那様(本物)が愛しすぎるっ!

「解った。休めないなら私がお前に会いに行く。グリーンバンブーへ食事に行く」

「特別扱いはしないからね。忙しいし、ちゃんと行列に並んでくれる?」

「構わん。我が妻(本物)の姿を見に行くのだから、苦にはならん。中松も付き添わせる」

 どこまで中松を連れて歩くのよー!
 でも、中松も一緒にグリーンバンブーに来てくれたら、美緒が喜ぶかも!

「解った。じゃあ、待っているね、旦那様(本物)」

 やああーん。やっぱり本物って堂々と言えるのが嬉しいー!
 婚約している身だけれど、できれば早く正式に結婚したいー。
 来週には式を挙げて入籍もするの。いよいよ『緑竹伊織』から、『三成伊織』になるのよ。
 前日からホテルも予約してあるし、エステも予約して貰っている。最高のコンディションで、一矢の本当のお嫁さんになれるなんて、夢みたいだ。

「伊織。行ってらっしゃいのキスを忘れているぞ」

「中松が見ているわよ」

「気にするな。見せつけてやればいい」

 強引に腕を取られ、しっかり唇を重ねた後、それで行ってくる、と一矢がキリッとしたかっこいい顔で微笑み、手を振った。



 ああっ。私の旦那様(本物)は、世界一カッコイイ!




 
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