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8. ニセ令嬢、本物の令嬢と対峙致します!

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 あれから、どのくらい時間が経ったのだろう。何だか外が騒がしくて、気が付いた。
 えーっと、もう、三日三晩くらい経ったのかな?
 ていうか、寝てた!
 暇すぎ。
 やる事ない。

 スマートフォンの灯りを付けた。画面に浮かび上がる時間・・・・えっと、閉じ込められたのが五時前だったから、今、午後八時。三時間しか経ってないじゃん!
 でもその間、ずっと寝てたんだ、私。寝過ぎか!(一人ツッコミ)

 それよりさあー、放置?
 ひどくない?
 普通、獲得した獲物がどうなったか、確認くらいするでしょーが!
 もしかして忘れ去られてる?
 ひどくない?(二回目)


 あのクソガキをどうやって懲らしめようかな――と思っていたら、ガアン、ガアン、と扉を叩く大きな音がした。
 欠伸をしていた時だったから、そのままびくーって身体が縮こまっちゃったよ!


『美緒っ、美緒っ! 中にいるのかっ! 大丈夫かっ!? 返事をしてくれ!!』


 中松さんの声だ!


 
「へっ、平気です!」

 大丈夫だよー、と間抜けな声を上げるのだけは辛うじて堪え、ドキドキしながら次の展開を待った。

『今開けてやるから! もう少しだけ待ってろっ!』

 扉が中松さんの手によって開けられた。外の灯りと共に仁王立ちになった彼のシルエットが浮かび上がる。

「美緒!!」

 私の姿を認識した中松さんが駆け寄ってくれて、ぎゅうーっと抱きしめてくれた。「無事だったんだな」

 うわーあ。ラッキー! 中松さんに本気のぎゅーってしてもらっちゃったー!
 閉じ込められて最高のご褒美が待っているなんて!
 神様ありがとう!

「は、はい。閉じ込められただけで、怪我はありません」

 ていうか、寝てたし。

 
「良かった」

 中松さん・・・・戻らない私を心配して、ずっと探してくれたんだ。
 ここを突き止めたってコトは、白雪お嬢から聞き出したんだよね。もしかして、鬼に豹変した?
 怖かっただろうなぁー。お嬢。ふふっ。ざまあみろ。

 でも、こんな事やって平然としているクソガキが赦せない。この私が直々に指導してやるんだから!

「心配かけてごめんなさい。何ともありませんから」

「でも、怖かっただろう。こんなに震えて」

 欠伸のせいで目じりに浮かんだ涙を、そっと拭ってくれる中松さんの指、尊い。
 しかも震えているように見えるのは、中松さんが扉をガンガン叩くからびっくりしただけ。
 その上、今まで寝てたって言ったら、怒るかな。


「一矢様も、美緒の家族も心配している。さあ、帰ろう」


 中松さんに肩を抱かれ、そのまま屋敷を去った。
 それにしても白雪お嬢・・・・このままじゃすまさないよっ!
 中松さんからのぎゅーは最高だったし、お嬢のおかげだからそこは感謝だけど。

 腐った根性、私が叩き直ーす!
 明日の朝、今度こそ『たのもー!』で五条の屋敷に乗り込むわよおおお――!!


 
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