51 / 117
6.ピンチはチャンスと言うが、それは絶対に嘘だ(笑顔で乗り切れない!)
3
しおりを挟む「あと・・・・もうひとつ報告があります。この様な時に何ですが、今、私と社長がお付き合いをしているという偽装の噂のせいで、女性社員の殆どが私の事を良く思っていないと噂を耳に致しました。早々にあくまでもこれは偽装だったと、皆にお伝えするべきではありませんか?」
「そんなことをしたら、すぐに嘘だとその噂は広まって、また見合いを組まれるぞ。しかもウソをついたと、浅岡専務や藤並社長からの心証が最悪になる。今は噂を訂正する時ではないだろう」
「まあ・・・・そうですね」
確かに社長の言う通りだ。今訂正しても、何もいい事はない。ウソをつきとす方が、まだマシだという事か。
「紗那、色々嫌な思いをさせてすまない。だが、今暫く堪えてくれないか」
「はい。私は構いません。しかし、フクシのマイナスになる事だけは避けたいと考えております」
「なに、問題はない。この企画を成功させれば、誰も紗那に文句は言わなくなるだろう。正念場だと思って、もう少し頑張ってくれ」
「はい。かしこまりました」
「うん、頼もしいな。よろしく頼む」
社長が笑ってくれた。ドキン――私の心臓は、音を立てて彼の笑顔に反応する。
「わ、私はこれで失礼致します」
ペースを乱されてはいけない。キッチリお辞儀をして、私は社長室を後にした。
少し声が上ずってしまった。私も修業が足りない。まだまだ、完璧に冷静な秘書になりきれていない。
きゅっと唇を噛み締め、前を見据えた。
誰にも文句を言わせないためには、この企画を成功させるしかない。結果を出すしかないのだ。
一家が路頭に迷いかけていた一年前、フクシがスギウラを子会社化してくれたおかげで工場は持ち直し、私の家族は笑顔を取り戻した。それまでは、苦しい金策に走り、方々に頭を下げ、満足な食事もできず身の回りの物は売れるものは売り尽くし、本当に最悪な経験をした。誰も笑わなくなって、談笑が絶えなかった家なのに、みんな暗い顔をしていて悲惨だった。
しかしフクシのお陰で一家離散になったりせず、父が借金の為に首をくくらなくても良くなった。
離職した職人も、仕事に困っていたからみんながスギウラが持ち直した事に感謝してくれた。
私は社長秘書という新しい仕事に就くことになり、全く経験のない仕事だったので、慣れない業務を必死に勉強して、煙たがられているのは解っているが、フクシの為にと私は一年間努力したつもりだ。
でも、まだ足りない。
頑張ろう。今こそ、本当の恩返しの時だ。
苦しいスギウラを救ってくれたフクシのピンチは、私が救いたい。
何としても、あの時受けた恩を返したい。
それに、この・・・・素敵な靴と出会えた時と同じような胸の感覚、高鳴りをもう少し知ってみたい。
その先に何があるのか。
彼――福士成彰の事を、もう少し理解したいと思う。
自分の気持ちを、知ってみたい。
どうして、社長にドキドキしてしまうのか、という事を――
1
あなたにおすすめの小説
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
【完結】好きって言ってないのに、なぜか学園中にバレてる件。
東野あさひ
恋愛
「好きって言ってないのに、なんでバレてるんだよ!?」
──平凡な男子高校生・真嶋蒼汰の一言から、すべての誤解が始まった。
購買で「好きなパンは?」と聞かれ、「好きです!」と答えただけ。
それなのにStarChat(学園SNS)では“告白事件”として炎上、
いつの間にか“七瀬ひよりと両想い”扱いに!?
否定しても、弁解しても、誤解はどんどん拡散。
気づけば――“誤解”が、少しずつ“恋”に変わっていく。
ツンデレ男子×天然ヒロインが織りなす、SNS時代の爆笑すれ違いラブコメ!
最後は笑って、ちょっと泣ける。
#誤解が本当の恋になる瞬間、あなたもきっとトレンド入り。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
腹黒上司が実は激甘だった件について。
あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。
彼はヤバいです。
サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。
まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。
本当に厳しいんだから。
ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。
マジで?
意味不明なんだけど。
めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。
素直に甘えたいとさえ思った。
だけど、私はその想いに応えられないよ。
どうしたらいいかわからない…。
**********
この作品は、他のサイトにも掲載しています。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
◆エブリスタ様にも掲載。人気沸騰中です!
https://estar.jp/novels/26513389
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる