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7.自分の気持ちを再確認(今更どうにもできない)
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しおりを挟む「わ・・・・私が潔癖なので、結婚するまでは操を固く守ると、そうお伝えしてりました。キスも前回、神原さんと交わしたものが初めてです。古風な女だと馬鹿になさるでしょうが、これが私です。なので、こういった男女事も、結婚までお待ち頂けますか。もう少し心づもりを・・・・整えておきますので」
その場しのぎの言い逃れだった。今日この男と関係を持たなくても、どのみち嫁げば嫌でも関係を強いられるだろう。跡継ぎを産めと、それだけの為に囲われるのだろう。
この先の私を待っている未来は、好きでもない男と結婚をし、跡継ぎをもうける為に愛の無いセックスを交わす。ここにいる間は感情をひたすら殺し、ただの道具になったと思えばいい。
でも、我ながら咄嗟によく言い訳できたと思う。そして、言い訳して良かったと思う。
せめて福士社長の下を去るまでは、綺麗でいたい。神原に汚された姿で、彼の前に立ちたくないから。
未だにカタカタと小刻みに震えている私を見て、言っている事が本当だと判断したのだろう。神原は、手荒な事をして申し訳なかった、と謝ってくれた。更に、怯える女性を抱く趣味は無い、と。
心底安堵したら、腰が抜けそうになった。
我ながら情けない。こんな調子じゃ、この先やっていけない。もっとしっかりしなきゃ!
とりあえず落ち着くためにも、離れて座って貰った。淹れて貰ったお茶には申し訳ないが口を付ける気になれず、そのまま侘びて帰る事にした。別に長居しなくてもいいだろう。私も辛い。
「不快な思いをさせてしまい、大変申し訳ございませんでした。こういった行為につきましては、これから慣れますので、ご安心下さい。今日はその・・・・突然の事で驚いてしまっただけです」
「白くてまっさらな貴女は、素敵ですよ。福士の手付ではないなんて、最高じゃないですか」
私が新品(処女)だという事が、相当嬉しいのだろう。
どうせ踏み散らす癖に。思わず睨みたくなったが、ここで嫌な態度をとって約束を反故にされても困るので、耐えた。
「神原社長。どうか、私とのお約束、お守り下さいね」
「はい。杉浦さんも、私との約束守って下さいよ」
はいって言ったけれど、本当かしら。今日も録音しておいたけれど、こんな音声データが果たして証拠になるのかどうか。
「心得ております。それでは、失礼致します」
斜め四十五度にきっちり頭を下げ、丁寧なお辞儀をして彼の城を出た。
マンションを出るまで生きた心地がしなかったが、ガラス張りのマンションの外へ出たら、緊張の糸がほぐれたのか、足元から崩れた。よろよろと傍のコンクリートの段に座り込み、汚れた唇をハンカチで拭った。
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