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スマイル23
オトコの事情・2
しおりを挟む「プリンターの調子が悪いのよ。もう、随分使っているから、時間かかっちゃった。ごめんね」
カメラと一緒だな。それも今度施設に来るまでに、俺が買っておいてやるから。
黙っておいて、驚かせてやろう。
喜んでくれるに違いない。
「いい写真、撮れたわよ。ホラ」
美羽が見せてくれたのは、お菓子の家をバックに、ガキ共に囲まれて、満面の笑みで笑いあっている俺達の姿が収められた写真だった。
最後に撮った写真だ。
俺、こんな風に笑ってたんだ。
自分がこんなに笑ってる姿、初めて見た。
「王雅、貼ってよ。そこに」
丁度写真を見終わったところで、今から新しい写真を貼ろうと思っている最後のページを開いていたから、美羽が俺に写真を渡してきた。
「えっ、いいのか?」
「モチロンよ。透明のフィルムめくって、のりがくっついている面に、写真を優しく置いて、もう一回透明のフィルムを元に戻すのよ。空気が入らないように、気を付けてね」
「何か、難しそうだな。俺がやったら上手くできなくて、汚くなると思う。やっぱ、美羽がやってくれよ」
「じゃあ、一緒にやりましょ」
美羽が俺の横に座って来た。狭いソファーだから、二人座ったらもういっぱいで、密着するんだ。
おい、イカンて、それ。
手、出ちゃうぞ?
手だけじゃなくて、エロくて危ないヤツも、俺の中から出て来るぞ?
いーのか?
お前、俺を施設出禁にしたいのか!?
ダメだダメだ、堪えろ、櫻井王雅!
俺は世界一の男になるんだろっ!!
美羽の同意が取れるまでは、手を出さないって決めたじゃないか!
悪夢を再現する気か!?
美羽が横に座って来たっつーだけで、あたふたしてどーするんだ!
いや、待ってくれ。いくら世界一の男でも、この状態じゃオオカミになるって。
密室に二人きりで、しかも密着横並びなんて、ゴーモンじゃねーかぁっ!!
だってな、俺はもう、ずっと日照り続きで渇いてるんだ。
潤いを求めてんだ。現状、砂漠を水も飲まずに歩いてる、旅人のようなモンだ。
わかるだろ?
オアシスで水を見つけたら、欲しくなるだろ?
ガブガブ、心ゆくまで飲んじゃうだろ!?
そんな状態だ。
それでおあずけっつーのは、キツイだろ。
俺に水をくれ、水を。
「ほら、こっちの手、貸して」
美羽に手を伸ばそうとしたら、逆に手を取られた。
透明のフィルムに手が当てられ、ここからめくるのよ、と教えてもらったのでそれをめくった。
美羽の手が俺の手に添えられているから、ドキドキする。
でも俺はフィルムじゃなくて、お前の服をめくりたい。
「開いているところに写真を置くの。それを軽く押さえて・・・・あっ、そうそう、イイ感じ! 上手よ、王雅。うん、そう・・・・優しく・・・・あっ、ダメっ、そんなに乱暴にしちゃ・・・・」
おいっ!!
美羽っ! お前、後半、エロすぎ!!
上手よ、王雅、優しくって・・・・ダメっ、乱暴にしちゃって、ナニしてんだよっ!?
言い方も何か、色っぽくてエロいし。
っつーか、俺は上手いぞ?
乱暴にはしねー代わりに、ここではとても言えないような、エロくてスゲーのやっちゃうぞ。お前、耐えれんのかよ。
言っとくけど、俺を焦らせた罪は重いからな。泣いて謝っても、赦してやんねーぞ?
ま、そういう意味では、乱暴かもしんない――じゃなくて!
写真貼ってんだろ!
イケナイコトしてるみたいなセリフ、言うなよっ。勘違いしちまうだろっ!
あぁ、もう――っ!!
俺は、お前に施設を締め出されたくねーんだぁっ!!
出禁喰らいたくねーんだぁっ!!
解ってくれよっ、このオトコの事情!!
泣きたい。マジで辛いぜ。
そうだ。妄想しよう。できるだけ、この火照りを覚ませられるような、ソフトなヤツだ。それで堪えよう。
――――・・・・
――お前、俺を誘ってんのか? そんなヤラシーセリフで。
――何言ってるの、違うわっ・・・・きゃあっ! ちょっと、ドコ触ってんのよっ!
――もう、我慢できねー! お前が悪いんだからな。俺様をこんなにしやがって、責任取れ!
――王雅っ、あっ、ダメっ――・・・・
スト――――ップ!
だめだ、だめだ、だめだ――――っ!!
これはただの、そーなりたいっていう、俺の希望じゃねーかっ。
それ以上ヤッちゃったら、マジでもう、現実の方が止まんなくなっちまう!
欲求不満すぎて、ソフトなヤツ、なんっっっっにも出てこねー。
かなりヤバい。過激なヤツしか今の俺には、引き出しがねーぞっ。
何とか・・・・何とかしなければ。
マジ出禁になるっっ。
「はい、できたっ」
美羽が俺の手に重ねていた手を取って、にっこり笑った。
「一緒にやったら、ちゃんとできたでしょ?」
「ああ、うん」
いや、俺は今、それどころじゃねーんだ。
写真が上手く貼れたとか、透明フィルムがちゃんと元に戻せたかどうかとか、もう、どーでもいーんだ。
今も震えてる。心臓も驚く程ドキドキしてる。早く手、離してくんねーかな。
お前に触れたくて、しょうがなくて、ヤバいんだ。プルプルしてんのを、必死に堪えてんだ。察してくれ。
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