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スマイル9・王様の告白
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しおりを挟む「ホンキだ。この俺様をホンキにさせた女は、今まで一度も現れなかった。お前が初めてだ、ミュー。お前が、俺の初めての『オンナ』だ」
「でも、そんな事言っておいて、どうせポイするんでしょ。アンタの事、チヤホヤしてくれるキレイな女の人ばかりだったから、私みたいな貧乏人が、今はただ珍しいだけでしょ」
「ポイなんかしない。絶対。お前を、大事にする」
「ウソよ。アンタみたいな金持ちのオトコなんか、信用できない」
深入りせず飽きたらポイで大いに結構とでも思っておけば、信用して裏切られるよりずっといい。
王雅の事を信用する気は、毛頭無いから。
「金持ちとかカンケーねーだろが! 俺の事何も知らねーくせに。俺のコレからを見てろよ。そしたら、お前は絶対俺に惚れるから」
王雅の長い指が、目尻に伸びた。そっと零れそうな涙を拭ってくれて、優しく口付けされた。
勝手に、キスなんかして!
私は、好きな男としかしたくないのに。
やがて唇が離されて、王雅が私を真剣な目で見つめた。
勝手にキスしたから、睨んでやった。
でも、王雅は端正な顔立ちをしているから、こんな真剣な顔で愛を囁かれたりしたら、普通の女はコロっと王様の手に堕ちてしまうんでしょうね。
私は、そうはいかないわよ。
「もっかい」
再び、少し強引にキスされた。
また断りもなく勝手に!
断ればいいって問題でもないんだけどっ。
どうしようかと思っていると、彼の右手が私の胸に伸びてきて、触られた。
ちょっ。
ちょっと、何してくれてんのよ――――っ!!
「調子に乗らないでよ! ヘンタイっ!!」
バチン、と大きな音を立てて、王様の左頬に私が放ったビンタが炸裂した。
考えるよりも先に手が出ていた。
あっ、しまった、と思ったけど、よく考えたら今は契約中――夜のお相手の時間――じゃないわよね。
紙切れ(お金)の力は使わないって王雅の方から言い出したのに、断りもなく勝手に触ったんだから、ビンタしたって構うもんですか!
「イッテえ!! 何しやがる!」王雅が怒った。
「それはコッチの台詞よっ!! もうっ! アンタのお陰で泣いてる私がバカみたいっ!」
この男のお陰で、とりあえず涙は引っ込んだ。
「失恋したなら、さっさと新しい恋に向かう為に、泣きゃいーだろ。俺の素晴らしい胸なら、何時でも貸すぞ。優しく慰めて欲しいなら、何時でも来い。ベッドの上でウンと可愛がってやる」
「いらないわよっ」
「そうカリカリすんなよ。カワイイ顔が台無しだ」
「・・・・バカ」
「来いよ。辛いときは、溜めずに泣いたらいい。ほら、もう何もしねーから」
再び王雅に抱き寄せられた。細いから大した事無いと思っていたけれど、意外に筋肉質で身体は引き締まっていた。力強くぎゅっと抱きしめられて、胸の中に閉じ込められた。
王雅の鼓動が、肌を通して伝わってくる。
優しく頭を撫でてくれた。
温かい。優しい温もり。
王様も、こんな事できるのね。
包まれた腕の中で、そっと目を閉じた。
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