王様スマイル

さぶれ@6作コミカライズ配信・原作家

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スマイル9・王様の告白

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「ホンキだ。この俺様をホンキにさせた女は、今まで一度も現れなかった。お前が初めてだ、ミュー。お前が、俺の初めての『オンナ』だ」

「でも、そんな事言っておいて、どうせポイするんでしょ。アンタの事、チヤホヤしてくれるキレイな女の人ばかりだったから、私みたいな貧乏人が、今はただ珍しいだけでしょ」

「ポイなんかしない。絶対。お前を、大事にする」

「ウソよ。アンタみたいな金持ちのオトコなんか、信用できない」

 深入りせず飽きたらポイで大いに結構とでも思っておけば、信用して裏切られるよりずっといい。
 王雅の事を信用する気は、毛頭無いから。

「金持ちとかカンケーねーだろが! 俺の事何も知らねーくせに。俺のコレからを見てろよ。そしたら、お前は絶対俺に惚れるから」


 王雅の長い指が、目尻に伸びた。そっと零れそうな涙を拭ってくれて、優しく口付けされた。



 勝手に、キスなんかして!



 私は、好きな男としかしたくないのに。

 やがて唇が離されて、王雅が私を真剣な目で見つめた。
 勝手にキスしたから、睨んでやった。
 でも、王雅は端正な顔立ちをしているから、こんな真剣な顔で愛を囁かれたりしたら、普通の女はコロっと王様の手に堕ちてしまうんでしょうね。


 私は、そうはいかないわよ。


「もっかい」


 再び、少し強引にキスされた。


 また断りもなく勝手に!
 断ればいいって問題でもないんだけどっ。


 どうしようかと思っていると、彼の右手が私の胸に伸びてきて、触られた。




 ちょっ。







 ちょっと、何してくれてんのよ――――っ!!










 

「調子に乗らないでよ! ヘンタイっ!!」


 バチン、と大きな音を立てて、王様の左頬に私が放ったビンタが炸裂した。
 考えるよりも先に手が出ていた。
 あっ、しまった、と思ったけど、よく考えたら今は契約中――夜のお相手の時間――じゃないわよね。
 紙切れ(お金)の力は使わないって王雅の方から言い出したのに、断りもなく勝手に触ったんだから、ビンタしたって構うもんですか!


「イッテえ!! 何しやがる!」王雅が怒った。

「それはコッチの台詞よっ!! もうっ! アンタのお陰で泣いてる私がバカみたいっ!」

 この男のお陰で、とりあえず涙は引っ込んだ。

「失恋したなら、さっさと新しい恋に向かう為に、泣きゃいーだろ。俺の素晴らしい胸なら、何時でも貸すぞ。優しく慰めて欲しいなら、何時でも来い。ベッドの上でウンと可愛がってやる」

「いらないわよっ」

「そうカリカリすんなよ。カワイイ顔が台無しだ」

「・・・・バカ」

「来いよ。辛いときは、溜めずに泣いたらいい。ほら、もう何もしねーから」


 再び王雅に抱き寄せられた。細いから大した事無いと思っていたけれど、意外に筋肉質で身体は引き締まっていた。力強くぎゅっと抱きしめられて、胸の中に閉じ込められた。

 王雅の鼓動が、肌を通して伝わってくる。
 優しく頭を撫でてくれた。


 温かい。優しい温もり。


 王様も、こんな事できるのね。


 包まれた腕の中で、そっと目を閉じた。
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