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スマイル37・王様のプロポーズ
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「美羽ねーちゃん。あのさ、王雅の事だけど」
突然、真秀君が真剣な顔で私を見つめた。
「王雅がどうしたの?」
さっきの話を蒸し返すつもりなのかしら。
だとしたら、止めて欲しいんだけど。
「王雅のキモチ、まだ疑っているの? 王雅の美羽ねーちゃんに対するキモチは、偽物だと思ってる?」
「それ・・・・真秀君に答えなきゃいけない?」
彼の言葉を突っ撥ねようとする私を、違うよ、そうじゃない、と真秀君は窘(たしな)めた。
「あのさ。美羽ねーちゃんが花井に指一本触れられず、今日まで無事でやってこれたのは、本当にただの偶然だと思ってる? 花井がただ約束を律儀に守っただけだって、思っているなら違うよ」
「・・・・どういう意味?」
「それは、美羽ねーちゃんを守る為に、王雅が方々手を尽くしていたってコトだよ。知らなかっただろ? 誰にも言うなって、王雅は固く全員に口止めしていたからな。恭さんや、横山さん、まりなちゃんに、商店街の人たち――・・・・みんな、美羽ねーちゃんを守ってくれていたんだよ」
その言葉に、思わず息を呑んだ。
だからだったんだ。
王雅がアメリカへ出発してから、毎日まりなちゃんが朝と夕方に施設に顔を出してくれた事や、横山さんや恭ちゃんに菫ちゃんが、まるでローテーションを組んでいるかのようにしょっちゅう施設に来てくれて、子供たちと遊んでくれたりしたのね。
時々、平岡さんや町田さんに片山さん・・・・一人だったら大変だろうって、御用聞きだって、わざわざ施設に来てくれて・・・・。
それはただ私を助けてくれていたからだけじゃなくて、花井から私を守ってくれていたのね。
人目があったら、花井は手を出さない。私だって花井から逃れられるものね。
「そうだよ。王雅の計らいで、代わる代わる施設に誰かを派遣させていたんだ。出来ない時は、俺が花井の動きをチェックして見張ってた。王雅に逐一報告入れてたのも、俺だよ。横山さんや恭さんも手伝ってくれていたんだ。王雅がアメリカへ発つ前、みんなに必死に頼み込んで行ったんだ。俺もだよ。土下座されて頼まれた。ここまでして、美羽ねーちゃんを異国の地から守ってくれたのは、まぎれもなく王雅なんだ」
そうだったの。王雅、貴方が私を――・・・・ずっと守っていてくれたのね。
それを聞いただけで、嬉しくて泣きそうになった。
「王雅、何て言ってると思う? ようやく両想いになっても、美羽は俺に裏切られると思い込んでるから、全然コッチ側に踏み込んで貰えないって。ポイ捨てなんかしないのに、全然信用してくれないから参ってる、って言ってるんだ。なあ、美羽ねーちゃん。本当に王雅が、美羽ねーちゃんや施設のみんなを捨てたりすると思う?」
「・・・・私に、どうしろって言うのよ。こんな貧乏女、どう考えても御曹司のアソビじゃない」
「王雅みたいな男だったら、アソビの女くらい、お金で幾らでも買えるよ。でも、美羽ねーちゃんは違うだろ。アソビかホンキかどうかくらい、わかってやってよ」
「ホンキになられても困るわ。だったら、アソビの方がマシよ。遊んで捨てられたなら、笑い話に出来るでしょ」
「だからどうして、捨てられる事になるのさ」
真秀君もほとほと困った顔になっている。きっと王雅の話をすれば、私が彼の事をもっともっと信用するとでも思っていたんでしょう。
でもね、甘いわよ。
突然、真秀君が真剣な顔で私を見つめた。
「王雅がどうしたの?」
さっきの話を蒸し返すつもりなのかしら。
だとしたら、止めて欲しいんだけど。
「王雅のキモチ、まだ疑っているの? 王雅の美羽ねーちゃんに対するキモチは、偽物だと思ってる?」
「それ・・・・真秀君に答えなきゃいけない?」
彼の言葉を突っ撥ねようとする私を、違うよ、そうじゃない、と真秀君は窘(たしな)めた。
「あのさ。美羽ねーちゃんが花井に指一本触れられず、今日まで無事でやってこれたのは、本当にただの偶然だと思ってる? 花井がただ約束を律儀に守っただけだって、思っているなら違うよ」
「・・・・どういう意味?」
「それは、美羽ねーちゃんを守る為に、王雅が方々手を尽くしていたってコトだよ。知らなかっただろ? 誰にも言うなって、王雅は固く全員に口止めしていたからな。恭さんや、横山さん、まりなちゃんに、商店街の人たち――・・・・みんな、美羽ねーちゃんを守ってくれていたんだよ」
その言葉に、思わず息を呑んだ。
だからだったんだ。
王雅がアメリカへ出発してから、毎日まりなちゃんが朝と夕方に施設に顔を出してくれた事や、横山さんや恭ちゃんに菫ちゃんが、まるでローテーションを組んでいるかのようにしょっちゅう施設に来てくれて、子供たちと遊んでくれたりしたのね。
時々、平岡さんや町田さんに片山さん・・・・一人だったら大変だろうって、御用聞きだって、わざわざ施設に来てくれて・・・・。
それはただ私を助けてくれていたからだけじゃなくて、花井から私を守ってくれていたのね。
人目があったら、花井は手を出さない。私だって花井から逃れられるものね。
「そうだよ。王雅の計らいで、代わる代わる施設に誰かを派遣させていたんだ。出来ない時は、俺が花井の動きをチェックして見張ってた。王雅に逐一報告入れてたのも、俺だよ。横山さんや恭さんも手伝ってくれていたんだ。王雅がアメリカへ発つ前、みんなに必死に頼み込んで行ったんだ。俺もだよ。土下座されて頼まれた。ここまでして、美羽ねーちゃんを異国の地から守ってくれたのは、まぎれもなく王雅なんだ」
そうだったの。王雅、貴方が私を――・・・・ずっと守っていてくれたのね。
それを聞いただけで、嬉しくて泣きそうになった。
「王雅、何て言ってると思う? ようやく両想いになっても、美羽は俺に裏切られると思い込んでるから、全然コッチ側に踏み込んで貰えないって。ポイ捨てなんかしないのに、全然信用してくれないから参ってる、って言ってるんだ。なあ、美羽ねーちゃん。本当に王雅が、美羽ねーちゃんや施設のみんなを捨てたりすると思う?」
「・・・・私に、どうしろって言うのよ。こんな貧乏女、どう考えても御曹司のアソビじゃない」
「王雅みたいな男だったら、アソビの女くらい、お金で幾らでも買えるよ。でも、美羽ねーちゃんは違うだろ。アソビかホンキかどうかくらい、わかってやってよ」
「ホンキになられても困るわ。だったら、アソビの方がマシよ。遊んで捨てられたなら、笑い話に出来るでしょ」
「だからどうして、捨てられる事になるのさ」
真秀君もほとほと困った顔になっている。きっと王雅の話をすれば、私が彼の事をもっともっと信用するとでも思っていたんでしょう。
でもね、甘いわよ。
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