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第4話 ~琴里ちゃんと政海ちゃん~
Side・新庄海里/その11
しおりを挟む「貴方が政海さんね。そしてそちらの背が高い方が、琴里さん。政海さんは聖青大の学生で、琴里さんは・・・・」
美乃梨の手前、同じ大学に通っているとは言えなかったので、琴里(わたし)は――・・・・って、そういえば海里との関係設定も含めて、何も決めていなかった!
私はとりあえずフリーターという設定を考えた。そして壮大な琴里の設定をぱっぱっぱと考えた結果、こうなった。
厳しい祖父母に預けられて、決められた婚約者の為に花嫁修行をさせられていたが、自由になりたくて家出。上京し、今フリーター。海里は兄として捕獲しないといけないため、見つかるわけにはいかない――いいんじゃね?
これで、海里(私)に内緒にしておいてくれっていう言い訳が立つ。
アイドルっていうのも捨てがたかったんだけどな。でも、こんなツンツンしたクールな容姿で、アイドル目指してまぁーす(はーと)とかKM(キモ)いし私には向いていないから、即座に却下した。自由奔放に生きる女ってのがいいな。うん。よし。婚約者の設定はまた今度考えよう。
好きな男がいるから、祖父母から逃げたっていうのもアリだな。うん。漫画みたいでいい。我が道を行くのは私らしくて何よりいい。
「素敵なお二人だから、早速今日から働いてもらいたいのだけれど、今日の予定は大丈夫?」
「はい、問題ありません」
「同じく」
私はクールなキャラを貫く事にした。でも、男と区別をつける為に、ちょっと高めの声を出すように気を付けなきゃいけないのがしんどい。
「失礼しまーす」
そこへ、別のスタッフに案内された美乃梨がやって来た。昨日と同じ可愛らしい雰囲気で、なかなかの美少女だ。彼女もモテそうだが、天然だから男の扱いはどうなんだろうか。政海といい勝負な気がする。
「本日面接の予約をさせて頂いておりました、田辺美乃梨と申します。よろしくお願いします」
元気ハツラツの、はきはきといい声で挨拶をして美乃梨が室内に入ってきた。
これで三人揃った訳だが、勿論美乃梨が落ちる事はなく、全員面接に合格して、早速今から働く事になった。
美乃梨と自己紹介を交わし(変な気分だ)、メイド服に着替えた。まだ設定は伝えていない。政海にはこっそり琴里の設定を伝えておいたから、美乃梨にフォロー入れて貰うとしよう。
美乃梨は着替えながら手早く彼らに連絡をしていた。予め琉斗と卓には場所を伝えていたらしく、すぐに来るらしい返事があった。
はー。それにしても憂鬱。どんな顔でアイツらに接客すりゃーいいんだよ、マジで。
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