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第17話 ~政海君と海里ちゃん~

Side・斎賀政海/その4

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 そっか。海里ちゃんに満足して欲しいのと、一緒に気持ちよくなりたいって、そう心がければいいかな。
 とにかく、焦らす! 丁寧に触る! たっぷり濡らす!(多分男性を受け入れる場所の事だよね?)
 これを頭に置けばいいかな!?

 でも、初めての体験時はやっぱり痛いのかな。うーん・・・・申し訳ないけれど、そこは海里ちゃんに堪えて貰って・・・・でも、絶対に幸せになって貰えるように、頑張るんだ!
 よーし。ヤル気出てきた!!

「ありがとう、琉斗君。これで海里を攻略できるよ」

「うん? 政海は目をウルウルさせて、海里の愛撫に応えてあげればいいよ。初めてなんだから、じっとしていればいい。海里は慣れているだろうし、リードしてくれるよ。カワイイ声出すのは忘れずにね。男は燃えるから」

 カワイイ声――あんっ、とか、だめっ、とか、そういうエッチな声ね。
 確かに、海里ちゃんのそんな声聞くと、燃えるね。流石、琉斗君だ。想像したら下半身がヤバい事になりかけたので、ぷるぷると頭を振った。

「詳しく教えてくれてありがとう。僕、頑張るね!」

「うん。頑張って。応援しているよ」

「ありがとう、琉斗君。帰ったら早速、海里を誘ってみる」

「うんっ? 政海が誘うの? 見かけに寄らず大胆だね」

「善は急げ!」

「そうだね。いい初体験ができるように、願っているよ」

「ありがとう」

 あー。今すぐ合宿打ち切って、家に帰りたい。


 その日の夜は、もんもんとした。初体験の想像ばかりして、なんかおかしくなりそうだった。
 次の日の練習は、昨日の失態を撤回すべく、しっかり頑張った。琉斗君も満足そうにしていた。身体のコンディションは最悪だったけれど、心のコンディションは最高だ。これも昨日と逆だね。

 そんなこんなで、楽しい合宿は、あっという間に終了した。
 家に帰ったら物語が始動する事は僕たちは解っているから、帰りの車ではずっと変な空気が流れていた。


 ギラギラしているというか、何かを期待しているというか、なんというか。


 僕も興奮冷めやらぬ状態だし、海里ちゃんはやたらとカワイイし。
 無事にしあわせ荘に送り届けて貰い、部屋に入った。
 一日ぶりの部屋。でも、今は全く違う。どっちの部屋でするべきなのだろう?
 ここはやはり僕の部屋――


 玄関で立ちすくみ、持って行き方を悩んでいたら、政海、と海里ちゃんの低くてカッコイイ声が耳元でした。
 きゅん、としてしまう。僕にはやっかいな事に、乙女心が存在しているから。

「少し、こうしていてもいいか?」

 海里ちゃんに後ろから抱きしめられた。本当は僕が海里ちゃんを抱きしめる筈だったのに、逆転している。これもリバースの呪いか。僕のターンなのに、攻めが海里ちゃんになってしまうの・・・・?
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