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Office04・口止め料
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それに、真吾君が近づくと、とてもいい匂いがする。
彼の愛用している、男性用の香水――ジョーマローンの香り。
「あのっ・・・・でも、約束してるから・・・・もう、行かないと・・・・」
何故か焦った声になった。浮気に行く男の気分になってしまうのは、どーしてだろう。
別に何も悪い事なんて、してないのに。しかも私、悲しい程にフリーなのに。真吾君とつきあっているワケでも無いのに。
「向こうは遊びですよ。妻が居るクセに、独身の――しかも、自分に好意を寄せている女とデートして、一体、ナニしようっていうんですか? 火遊びされて、終わりですよ。男なら、誰でもそうします。貴女のキモチ、絶対向こうも解ってますよ。和歌子さん、ホントに解りやすいから。だから三輪さんが調子に乗ってデートに誘ってくるんだ。行っても、和歌子さんが傷つくだけです。だから、行っちゃダメ」
「みっ・・・・三輪さんは、そんな人じゃないわ。私とどうこうなろうなんて、考えてないもん。それに、ちょっと彼の相談に乗ってるだけだし、デートだって浮かれてるのは、片思いしている私だけよ」
「三輪さんがそんな人じゃないなんて、どうして解るんですか? 俺のように、彼の心でも読めるんですか? 貴女ニブいから、男の考えてる事なんて、何も解らないでしょう。俺のキモチでさえ、今まで気が付かなかった人なんだ。それに、妻持ちの男が、独身の女性に一体なんの相談があるっていうんです? そんなの、どうせ火遊びの相談に決まってる」
ニブっ・・・・。そうだけど、ホントにハッキリ言うなぁ、この男。
まあ、本音隠しておべんちゃら言われるより、ずっといいけどね。それにしてもさっきから火遊び火遊びって・・・・三輪さんの事、そんなに酷く言わなくてもいいじゃない。
「真吾君に何が解るのよ」思わず声が尖った。「三輪さんが、どんなに優しくて素敵な男性か、知らないでしょ?」
私は、三輪さんがどんなに素敵な男性か、真吾君に語ることにした。
三輪さんは、私が入社して新人の時、とっても優しく仕事教えてくれて、私のミスまで庇ってくれるような、すっごくすっごく優しい人なんだからって。
だから惚れちゃったんだもん。
三輪さんに会えるのが嬉しくて、ドキドキして、オフィスに来るのが毎日楽しみになって、何時かキモチを打ち明けられたらいいなって・・・・そんな風に思って過ごしていたら、後から知ったの。三輪さんが、結婚してたって――
指輪してなかったから、結婚はしてないと思って、安心してたんだもん。でも、それだけじゃ解らないわよね。プライベートなことまで突っ込んで、オフィス内でそんな話なんかしないし、結婚してますか、なんてフツーは聞かないし。せいぜいお付き合いしている人は居ますか、程度でしょ。
そこまで聞くことが出来なかったの。怖くて、聞けなかったのよ。
彼が結婚してるって、後から他の社員が話しているのを偶然聞いて、知って、ショックだった。
諦めなきゃいけないのは解っているのに、でも、目が、心が、彼を追ってしまう。
私はこんな毎日を、随分長く続けている。彼氏ができないのも、そのせい。
だから、今回はすごく私にとってチャンスなの。きっぱりフラれて、次の恋に進みたいのよ。それを邪魔しないで欲しい――私は胸の内を、真吾君に洗いざらい喋った。
「三輪さんが素敵だっていう事は、よく解りました。でも、男なんです。男を侮っちゃいけませんよ、和歌子さん。いつ、三輪さんが俺のように牙を剥くか、ニブい貴女には、わからないでしょう? それとも、解るんですか? 火遊びされたら、どうするんです?」
「うるさいっ! ニブいニブい言うなっ。三輪さんはそんな事しないもん!」
「ニブくていいじゃないですか。そんな和歌子さんが、俺は好きなんです。妻持ちの男なんて、頑張ってもムダですから、早く諦めてください。三輪さんはそんな事しないって言いますけど、絶対の保証、あるんですか? もし万が一でも三輪さんに迫られたりしたら、貴女断れますか? できなくて傷つくでしょう?」
ぐうの音も出なかった。反撃できるような回答は、何一つできなかった。
だから、行かないで、と真吾君に耳元で囁かれたかと思うと、そのまま首筋に口づけされた。彼の熱い唇が私の首筋を辿り、何故か私はドキドキしてしまって、固まって動けなかった。
それをいいことに、ヤツは私のスーツのブラウスの第一ボタンを素早く外して、露になった首筋を強く吸い上げ、そこにくっきり赤い跡をつけた。あっという間の早業だった。
「ちょっ・・・・! ナニしてくれてんのよっ!!」
首筋にキスマーク、つけやがった! この男、本っっっ当ありえないっ!!
彼の愛用している、男性用の香水――ジョーマローンの香り。
「あのっ・・・・でも、約束してるから・・・・もう、行かないと・・・・」
何故か焦った声になった。浮気に行く男の気分になってしまうのは、どーしてだろう。
別に何も悪い事なんて、してないのに。しかも私、悲しい程にフリーなのに。真吾君とつきあっているワケでも無いのに。
「向こうは遊びですよ。妻が居るクセに、独身の――しかも、自分に好意を寄せている女とデートして、一体、ナニしようっていうんですか? 火遊びされて、終わりですよ。男なら、誰でもそうします。貴女のキモチ、絶対向こうも解ってますよ。和歌子さん、ホントに解りやすいから。だから三輪さんが調子に乗ってデートに誘ってくるんだ。行っても、和歌子さんが傷つくだけです。だから、行っちゃダメ」
「みっ・・・・三輪さんは、そんな人じゃないわ。私とどうこうなろうなんて、考えてないもん。それに、ちょっと彼の相談に乗ってるだけだし、デートだって浮かれてるのは、片思いしている私だけよ」
「三輪さんがそんな人じゃないなんて、どうして解るんですか? 俺のように、彼の心でも読めるんですか? 貴女ニブいから、男の考えてる事なんて、何も解らないでしょう。俺のキモチでさえ、今まで気が付かなかった人なんだ。それに、妻持ちの男が、独身の女性に一体なんの相談があるっていうんです? そんなの、どうせ火遊びの相談に決まってる」
ニブっ・・・・。そうだけど、ホントにハッキリ言うなぁ、この男。
まあ、本音隠しておべんちゃら言われるより、ずっといいけどね。それにしてもさっきから火遊び火遊びって・・・・三輪さんの事、そんなに酷く言わなくてもいいじゃない。
「真吾君に何が解るのよ」思わず声が尖った。「三輪さんが、どんなに優しくて素敵な男性か、知らないでしょ?」
私は、三輪さんがどんなに素敵な男性か、真吾君に語ることにした。
三輪さんは、私が入社して新人の時、とっても優しく仕事教えてくれて、私のミスまで庇ってくれるような、すっごくすっごく優しい人なんだからって。
だから惚れちゃったんだもん。
三輪さんに会えるのが嬉しくて、ドキドキして、オフィスに来るのが毎日楽しみになって、何時かキモチを打ち明けられたらいいなって・・・・そんな風に思って過ごしていたら、後から知ったの。三輪さんが、結婚してたって――
指輪してなかったから、結婚はしてないと思って、安心してたんだもん。でも、それだけじゃ解らないわよね。プライベートなことまで突っ込んで、オフィス内でそんな話なんかしないし、結婚してますか、なんてフツーは聞かないし。せいぜいお付き合いしている人は居ますか、程度でしょ。
そこまで聞くことが出来なかったの。怖くて、聞けなかったのよ。
彼が結婚してるって、後から他の社員が話しているのを偶然聞いて、知って、ショックだった。
諦めなきゃいけないのは解っているのに、でも、目が、心が、彼を追ってしまう。
私はこんな毎日を、随分長く続けている。彼氏ができないのも、そのせい。
だから、今回はすごく私にとってチャンスなの。きっぱりフラれて、次の恋に進みたいのよ。それを邪魔しないで欲しい――私は胸の内を、真吾君に洗いざらい喋った。
「三輪さんが素敵だっていう事は、よく解りました。でも、男なんです。男を侮っちゃいけませんよ、和歌子さん。いつ、三輪さんが俺のように牙を剥くか、ニブい貴女には、わからないでしょう? それとも、解るんですか? 火遊びされたら、どうするんです?」
「うるさいっ! ニブいニブい言うなっ。三輪さんはそんな事しないもん!」
「ニブくていいじゃないですか。そんな和歌子さんが、俺は好きなんです。妻持ちの男なんて、頑張ってもムダですから、早く諦めてください。三輪さんはそんな事しないって言いますけど、絶対の保証、あるんですか? もし万が一でも三輪さんに迫られたりしたら、貴女断れますか? できなくて傷つくでしょう?」
ぐうの音も出なかった。反撃できるような回答は、何一つできなかった。
だから、行かないで、と真吾君に耳元で囁かれたかと思うと、そのまま首筋に口づけされた。彼の熱い唇が私の首筋を辿り、何故か私はドキドキしてしまって、固まって動けなかった。
それをいいことに、ヤツは私のスーツのブラウスの第一ボタンを素早く外して、露になった首筋を強く吸い上げ、そこにくっきり赤い跡をつけた。あっという間の早業だった。
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