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Office07・一触即発
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はい。車内でございまーす。
空気、悪っ!!
真吾君、事ある毎に三輪さん睨んでるしっっ。
ちょ、バレるでしょーがっ! 睨んでるコト!
真吾君が運転席、助手席に私、後部座席に三輪さんという、何とも言えぬこの配置・・・・。
運転席の真吾君は、バックミラーで三輪さんをチェックして、こっそり睨んでいる。
いやそれ、バレてるでしょ、絶対・・・・。
そりゃあね、真吾君と二人きりになりたくないから、誰かついてきてくれないかなーって思ったけどさ。
思ったけど!
でも、こんな事を望んだワケじゃないっ!!
むしろ、状況悪化してるっ。これならまだ悪魔と二人きりの方が、遥かにマシよっっ。
地獄じゃー!
誰か助けて――っ!!
今の状況を説明すると、ミリオンドラッグに行くためにプレゼンの資料用意して、在庫を真吾君と手分けして積んだら、他の仕事を終えた三輪さんが、先方に挨拶するから僕も一緒に行くよ、と、後部座席に乗り込んで来たところです。ハイ。
真吾君の雰囲気がっ・・・・悪魔モード全開で怖いよーっっ。
「上山、さっきから僕をチラチラ見てるけど、何か言いたい事でもあるのか?」
ホラっ。バレてるし。
「・・・・そうでしたか? 後方を気にしているだけで、別に三輪さんに用事はありませんけど?」
ひえええーっ。
一触即発だよぉ!
恐ろしい・・・・。帰りたい・・・・。
「そうか。相談事があるなら、遠慮なく言ってくれ」
「・・・・相談事、ですか」真吾君は目だけで私をチラリと見て、ハンドルを切りながら言った。「俺、好きな女性がいるんですけど、その人今、既婚の上司にちょっかいかけられてて困ってるんですよ。何とかなりませんかね? 三輪さん、良い知恵があれば、是非教えて頂きたいんですけど」
ひえええ――――っ!
真吾君、怖い――――っ!!
顔はにこやかにしてるのに、目、全く笑ってないし!
絶対、私の事言ってるって、三輪さんにバレてるよぉぉぉー。
気になってバックミラー越しに三輪さんを見ると、別に狼狽した様子も見せなかった。
「上山、それは困ったな。でも、僕はアドバイス出来る事は何も無いよ。残念だけど」
と、彼は真吾君に笑顔を返していた。
・・・・今の、自分の事言われてるって、三輪さん解ってんのかなぁ?
やっぱ、私以上に鈍感なのかも。三輪さんって。
そりゃそうよね! 私は多分、メチャクチャ解り易いって、自分でも思うもん!
それなのに、こんな私のキモチに気が付かない三輪さんは私以上に鈍いのよ、きっと。
「あっ、あのっ、車内暑くないですか?」
二人というより真吾君がどんな事を言ってくるか全然わかんないから、話題を変える事にした。振り向いて、車内が暑くないか聞いた。
「暑くないよ。ありがとう」
三輪さんが私に笑顔を返してくれた。
「ミリオンドラッグに着いたら、僕は責任者の水口さんの所へ挨拶に行くから、君たちは予定通り納品とプレゼンを頼む」
「はい。解りました。今日は私は補佐に回って、真吾君にプレゼンをお願いしようと思っています。彼も、もう一人前ですから。きっと成功させてくれるって信じています」
「うん、久遠寺君の判断は良いと思う。上山、しっかり頑張ってくれ」
「勿論です。和歌子さんが俺についてくれているんですから、絶対、成功させますよ」
「頼もしいな」
三輪さんは、トゲトゲしい真吾君にも爽やかな笑顔を返している。やっぱりオトナだわっ。カッコイイ。素敵!
三輪さんを盗み見ていると、右隣から視線を感じた。真吾君が目だけをこちらへ向け、私をじっと睨むように見つめている。
――俺の目の前で、三輪さんを見つめてカッコイイとか思うなんて、後でおしおきが必要ですね。
うわっ!! 真吾君の目が、私にそう言ってるのが伝わってくる。
ヤツじゃないけど、思考が解るっ!!
うろたえていると、真吾君の唇の端がくいっと上がった。右側だけ口角が上がっている。
出たっ! 悪魔の笑顔っ!!
――別にいいでしょっ。私の勝手じゃないっ!
私も目だけで真吾君を睨んだ。ヤツにはきっと伝わってるわ。
――ふうん。俺にそんな事言うんだ。覚えておいてくださいね?
恐ろしいアイコンタクトが返ってきた。
怖っ!!
何か暫く訳の分からないやり取りを交わしつつ、ミリオンドラッグへの道中を進んだ。
空気、悪っ!!
真吾君、事ある毎に三輪さん睨んでるしっっ。
ちょ、バレるでしょーがっ! 睨んでるコト!
真吾君が運転席、助手席に私、後部座席に三輪さんという、何とも言えぬこの配置・・・・。
運転席の真吾君は、バックミラーで三輪さんをチェックして、こっそり睨んでいる。
いやそれ、バレてるでしょ、絶対・・・・。
そりゃあね、真吾君と二人きりになりたくないから、誰かついてきてくれないかなーって思ったけどさ。
思ったけど!
でも、こんな事を望んだワケじゃないっ!!
むしろ、状況悪化してるっ。これならまだ悪魔と二人きりの方が、遥かにマシよっっ。
地獄じゃー!
誰か助けて――っ!!
今の状況を説明すると、ミリオンドラッグに行くためにプレゼンの資料用意して、在庫を真吾君と手分けして積んだら、他の仕事を終えた三輪さんが、先方に挨拶するから僕も一緒に行くよ、と、後部座席に乗り込んで来たところです。ハイ。
真吾君の雰囲気がっ・・・・悪魔モード全開で怖いよーっっ。
「上山、さっきから僕をチラチラ見てるけど、何か言いたい事でもあるのか?」
ホラっ。バレてるし。
「・・・・そうでしたか? 後方を気にしているだけで、別に三輪さんに用事はありませんけど?」
ひえええーっ。
一触即発だよぉ!
恐ろしい・・・・。帰りたい・・・・。
「そうか。相談事があるなら、遠慮なく言ってくれ」
「・・・・相談事、ですか」真吾君は目だけで私をチラリと見て、ハンドルを切りながら言った。「俺、好きな女性がいるんですけど、その人今、既婚の上司にちょっかいかけられてて困ってるんですよ。何とかなりませんかね? 三輪さん、良い知恵があれば、是非教えて頂きたいんですけど」
ひえええ――――っ!
真吾君、怖い――――っ!!
顔はにこやかにしてるのに、目、全く笑ってないし!
絶対、私の事言ってるって、三輪さんにバレてるよぉぉぉー。
気になってバックミラー越しに三輪さんを見ると、別に狼狽した様子も見せなかった。
「上山、それは困ったな。でも、僕はアドバイス出来る事は何も無いよ。残念だけど」
と、彼は真吾君に笑顔を返していた。
・・・・今の、自分の事言われてるって、三輪さん解ってんのかなぁ?
やっぱ、私以上に鈍感なのかも。三輪さんって。
そりゃそうよね! 私は多分、メチャクチャ解り易いって、自分でも思うもん!
それなのに、こんな私のキモチに気が付かない三輪さんは私以上に鈍いのよ、きっと。
「あっ、あのっ、車内暑くないですか?」
二人というより真吾君がどんな事を言ってくるか全然わかんないから、話題を変える事にした。振り向いて、車内が暑くないか聞いた。
「暑くないよ。ありがとう」
三輪さんが私に笑顔を返してくれた。
「ミリオンドラッグに着いたら、僕は責任者の水口さんの所へ挨拶に行くから、君たちは予定通り納品とプレゼンを頼む」
「はい。解りました。今日は私は補佐に回って、真吾君にプレゼンをお願いしようと思っています。彼も、もう一人前ですから。きっと成功させてくれるって信じています」
「うん、久遠寺君の判断は良いと思う。上山、しっかり頑張ってくれ」
「勿論です。和歌子さんが俺についてくれているんですから、絶対、成功させますよ」
「頼もしいな」
三輪さんは、トゲトゲしい真吾君にも爽やかな笑顔を返している。やっぱりオトナだわっ。カッコイイ。素敵!
三輪さんを盗み見ていると、右隣から視線を感じた。真吾君が目だけをこちらへ向け、私をじっと睨むように見つめている。
――俺の目の前で、三輪さんを見つめてカッコイイとか思うなんて、後でおしおきが必要ですね。
うわっ!! 真吾君の目が、私にそう言ってるのが伝わってくる。
ヤツじゃないけど、思考が解るっ!!
うろたえていると、真吾君の唇の端がくいっと上がった。右側だけ口角が上がっている。
出たっ! 悪魔の笑顔っ!!
――別にいいでしょっ。私の勝手じゃないっ!
私も目だけで真吾君を睨んだ。ヤツにはきっと伝わってるわ。
――ふうん。俺にそんな事言うんだ。覚えておいてくださいね?
恐ろしいアイコンタクトが返ってきた。
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何か暫く訳の分からないやり取りを交わしつつ、ミリオンドラッグへの道中を進んだ。
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