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Office08・次期社長候補登場
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その後、ナイトワンのプレゼンは問題なく終了した。
流石悪魔――真吾君のプレゼンは完璧の上、セクハラオヤジの和田さんが必要以上にナイトワンを褒めちぎったおかげで、ミリオンドラッグに販売予定数以上の納品が決まった。
「お疲れ様。真吾君、頑張ったね」
「当然です。さ、まだやらなきゃいけない事、残ってますよ。和歌子さん、行きましょう」
「えっ、ドコ行くの?」
「ドコって、和田さんのセクハラを証言するんですよ。和歌子さんに触ってタダですむとでも思っているんですか?」
「でも、真吾君さっき和田さんに・・・・」
「俺、言わないなんて、一言も言ってませんよ? 考えておきます、とは言いましたけどね。プレゼンが終わるまでは、事を荒立てるわけにはいきませんから」
真吾君は笑った。あの、悪魔の顔の方で――・・・・
この男を敵に回したら、どんな人でも破滅に追い込まれそうな気がする。
ヤバイ。三輪さんを破滅させたりできない。絶対に。
真吾君から、三輪さんを私が守らなきゃ!
「先ほど、水口さんに責任者を呼ぶようにお願いしました。事が事だけに、櫻井グループの取締役責任者がこちらにいらっしゃるようです。さ、行きましょう」
「あ、ちょっと・・・・」
「責任者は、すぐ来るそうですよ。あ、水口さん、先ほどお伝えした件、早急にご対応頂きありがとうございます」
責任者って・・・・水口さんだって十分責任者じゃない。事が事だけって・・・・肩ちょっと撫で回されたくらいでこんな・・・・。
「和歌子ちゃん、ウチの和田が大変ご迷惑をかけたみたいで・・・・本当に申し訳ない!」
水口さんに深々と頭を下げられた。
彼は私がビューティードリームを売り込みに入った時、最初に話を聞いてくれた、比較的若い年齢の責任者だ。たしか三十五歳って言ってたような気がする。あ、そうだわ。私の丁度十歳上だから、間違いない。
スポーツ刈りの短い黒髪に、ちょっとがっしり目のスポーツ選手のような厚めの胸板が魅力。サッカーが好きで、愛妻家。現在、五歳の息子さんと親子でサッカーチームに加入して、活躍中なんだとか。
結構仲良くさせてもらってる水口さんに、頭下げられちゃったよ。どうしよう。
こんなオオゴトにしちゃって・・・・真吾君、一体何を考えてるの?
私は和田さんをブン殴ったから、不愉快な思いをしたことについてはチャラになったし、もう構わないんだけどなぁ。
それより三輪さんに報告もせずに、勝手に相手先の会社の責任者を出せって・・・・大丈夫なのか心配。
「あのっ、水口さん。私全然気にしてませんから、本当にもう、頭上げて下さい」
「本当にすまない。和歌子ちゃん、とりあえず櫻井取締役が来るまで、事務所の応接の方で待っていてもらえないか?」
「あの、もう本当に・・・・」
「和歌子さん、水口さんがこの様におっしゃっているのです。取締役の方がいらっしゃるまで、待たせて頂きましょう」
真吾君はにこやかに言い放つと、さあ、と私を促した。
それにしても三輪さん、取引先との打ち合わせがあるからって、さっき電話に行ったっきり戻ってこないし。
せめて三輪さんの指示を仰いでから、水口さんに話すべきだったと思う。もう、どーすんのよ、こんなことになっちゃって・・・・。
仕方なく後をついて行った。さっきの事務室まで戻って来て、広く取ってある応接の方に案内され、黒の革張りの高級ソファーに座って待つように言われた。
流石悪魔――真吾君のプレゼンは完璧の上、セクハラオヤジの和田さんが必要以上にナイトワンを褒めちぎったおかげで、ミリオンドラッグに販売予定数以上の納品が決まった。
「お疲れ様。真吾君、頑張ったね」
「当然です。さ、まだやらなきゃいけない事、残ってますよ。和歌子さん、行きましょう」
「えっ、ドコ行くの?」
「ドコって、和田さんのセクハラを証言するんですよ。和歌子さんに触ってタダですむとでも思っているんですか?」
「でも、真吾君さっき和田さんに・・・・」
「俺、言わないなんて、一言も言ってませんよ? 考えておきます、とは言いましたけどね。プレゼンが終わるまでは、事を荒立てるわけにはいきませんから」
真吾君は笑った。あの、悪魔の顔の方で――・・・・
この男を敵に回したら、どんな人でも破滅に追い込まれそうな気がする。
ヤバイ。三輪さんを破滅させたりできない。絶対に。
真吾君から、三輪さんを私が守らなきゃ!
「先ほど、水口さんに責任者を呼ぶようにお願いしました。事が事だけに、櫻井グループの取締役責任者がこちらにいらっしゃるようです。さ、行きましょう」
「あ、ちょっと・・・・」
「責任者は、すぐ来るそうですよ。あ、水口さん、先ほどお伝えした件、早急にご対応頂きありがとうございます」
責任者って・・・・水口さんだって十分責任者じゃない。事が事だけって・・・・肩ちょっと撫で回されたくらいでこんな・・・・。
「和歌子ちゃん、ウチの和田が大変ご迷惑をかけたみたいで・・・・本当に申し訳ない!」
水口さんに深々と頭を下げられた。
彼は私がビューティードリームを売り込みに入った時、最初に話を聞いてくれた、比較的若い年齢の責任者だ。たしか三十五歳って言ってたような気がする。あ、そうだわ。私の丁度十歳上だから、間違いない。
スポーツ刈りの短い黒髪に、ちょっとがっしり目のスポーツ選手のような厚めの胸板が魅力。サッカーが好きで、愛妻家。現在、五歳の息子さんと親子でサッカーチームに加入して、活躍中なんだとか。
結構仲良くさせてもらってる水口さんに、頭下げられちゃったよ。どうしよう。
こんなオオゴトにしちゃって・・・・真吾君、一体何を考えてるの?
私は和田さんをブン殴ったから、不愉快な思いをしたことについてはチャラになったし、もう構わないんだけどなぁ。
それより三輪さんに報告もせずに、勝手に相手先の会社の責任者を出せって・・・・大丈夫なのか心配。
「あのっ、水口さん。私全然気にしてませんから、本当にもう、頭上げて下さい」
「本当にすまない。和歌子ちゃん、とりあえず櫻井取締役が来るまで、事務所の応接の方で待っていてもらえないか?」
「あの、もう本当に・・・・」
「和歌子さん、水口さんがこの様におっしゃっているのです。取締役の方がいらっしゃるまで、待たせて頂きましょう」
真吾君はにこやかに言い放つと、さあ、と私を促した。
それにしても三輪さん、取引先との打ち合わせがあるからって、さっき電話に行ったっきり戻ってこないし。
せめて三輪さんの指示を仰いでから、水口さんに話すべきだったと思う。もう、どーすんのよ、こんなことになっちゃって・・・・。
仕方なく後をついて行った。さっきの事務室まで戻って来て、広く取ってある応接の方に案内され、黒の革張りの高級ソファーに座って待つように言われた。
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