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Office12・ミーティング
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しおりを挟む「で? それで? その後の後輩クンとの進展は?」
「それだけ」
「たったそれだけぇ? なーんだ。つまんないのー。慌てて真っ赤になってるから、てっきりヤったのかと・・・・」
「するかっっ」
昼間のオフィスで、しかも仮にも仕事のミーティングしようと思っているのに、なんちゅー話するんだこの女は! 飲みの席のセクハラオヤジかっ!!
絶対からかってるわ!!
「あのねえ。私で遊ぶの止めてくれる?」
「だって和歌子チャンは、可愛いんだモーン」
私はアンタの玩具かっっ。
「そうやってすぐムキになるところとか、可愛いのよねー」
グリグリと頭を撫でられた。「三輪さんの方は? 進展あったの? 同時進行だったら驚くけど、和歌子はそんな器用な女じゃないもんねー」
「進展なんか、無いわよ。お食事して、帰るだけ」
「ナニソレっ。中学生かっつーの! 今時の中学生でも、チューくらいするわ」
ブホっ、と思わず飲んでいたお茶を吹き出しそうになった。
「もうっ。三輪さんは、奥さんいるんだよ? 相談だって奥さんのコトだし、私に気があるなんてとても思えない。火遊びなんかできないし、楽しく時間を過ごしてるだけ。日曜日に最後のデートしたら、告白してフラれるつもりだし」
もう決めてあるのよ。
「ふーん。告白して上手く行ったらどーすんのさ」
「行かないわよ。三輪さん真面目だし、そんな男じゃないもん」
「三輪さんが不真面目な男だったらどうするの? 記念に一回くらいって、和歌子に手を出すかもしれないでしょ」
「ないってば。真吾君みたいな事言うのね、アヤネも」
まあ、わからなくはない。
カワイイと思っていた真吾君も本性剥き出しにしてきたし、もしかしたら三輪さんは、思った以上に肉食獣かもしれないし。
でも・・・・もしそうなったら・・・・。
ううん、できない。
私は、奥さんのいる男にちょっかいをかけたいわけじゃない。
知らなかったのよ。好きになってしまってから、奥さんがいるって気が付いたんだもん。
三輪庄司という一人の人間を、知らずに好きになってしまっただけだから。
「大丈夫よ。もしそれ以上のコトを求められたりしたら、私、多分、三輪さんのコト引っぱたいちゃうわ。それで、フラれるから。いいの! 大丈夫!!」
「なーにが大丈夫なんだか。じゃあ、三輪さんがホンキだったらどうするの? 奥さんと別れて和歌子を選んだりしたら――」
「そんなの、あるわけないわ。平凡な一般のガサツなOLと、大企業のお上品なご令嬢と、ドッチを取るの? しかも結婚前ならともかく、もう既に結婚までしているのよ? あるワケない。あっちゃいけない」
そうよ。
こんな事、何時までも続けられない。
悪友にも、後輩にまで心配かけてしまうこんな恋、もうちゃんと終わりにしなきゃ。
「大丈夫。アヤネ、心配してくれてありがとう。私は大丈夫。三輪さんに告白して、ちゃんとフラれるから。新しい恋に踏み出す為には、今は必要な過程なの。バカな事してると自分でも思う。でも、前に進みたいの。あともう少しで終わるから。見守ってて?」
「・・・・超がつくほど真面目でバカだね、和歌子は」
アヤネに苦笑された。
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