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Office16・ヤキモチ
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あれから、三輪さんと一緒に地下鉄に乗って、池袋まで移動した。
駅から歩いて池袋サンシャインに着いた。この辺に来るのは久しぶり。ちょっと来ないだけで、駅前とかすぐに見慣れた景色と違ってしまう。
都会は顔を変えるのが早い。私の青春もこの都会の流れのように、あっという間に変わって、終わってしまうのかしら。
サンシャインシティは、サンシャイン60ビル、プリンスホテル、ワールドインポートマートビル、文化会館ビルと、大きなビルが立ち並んでいて、色々な施設から成り立っている。
お魚はワールドインポートマートビルの屋上にある。天空の水族館と謳われている位だから、さぞかし天空と水族館のコラボレーションが楽しめるのでしょう。
オープン当初は散々テレビでやっていた、有名な天空のペンギンが拝める屋上ガーデンは押さえたい。
ここが良いと思った理由はもう一つある。
隣のサンシャイン60ビルでは、スカイレストランたるものがある。ここには和洋中、何でも食べれるレストランが入っているから、どこか好きなお店に予約入れて貰って、サプライズバースデーケーキでハピバ(ハッピーバースデー)やって、桃香さんとの親密度を一気に上げるのよ!
おあつらえ向きのホテルが隣にあるから。プリンスホテルの良いお部屋を予約してもらって、愛を育むの!!
Bプラン、完璧だわっ。
プレゼンなら任せておいて!
仕事デキる女でしょ。ふふっ。
まあ、チラッと調べたら、プラネタリウムもあるし、色々楽しめそう。
後は本人たち次第よ。頑張って!
Bプランを反芻しながら、二人で水族館に向かった。チケットを買う為に受付の列に並んでいると、ポン、と肩を叩かれた。振り向くと、真吾君が立っていた。
「偶然ですね」
なっ、何でこんな所に真吾君がいるのよっ。
「三輪さん、和歌子さん、こんにちは。デートですか?」
見たら解かるでしょっ。イチイチ聞くなっ。
こういう事だったの。三輪さんとのデートを邪魔してやろうというクチで、私にあれこれ行先を聞いてきたのねっ。これは絶対偶然じゃない。
酔っぱらっていたから、ついうっかり行先を教えてしまったからな――と思っていると、ごめーん、お待たせ―、という声が後方から聞こえてきた。
真吾君に向かって手を振っているのは、亜麻色のストレートの髪にパッチリと目が大きく、白地に赤のリボンのついた柔らかそうな帽子をかぶり、濃紺のリボンの付いた白のブラウスとベージュのミディアム丈のスカートのいで立ちをした、綺麗な女性だった。
年齢は二十七、八歳位かしら。私より少し年上のように見える。
「真吾君、ごめんねぇ。お手洗いがちょっと混雑してたから・・・・あら? こちらの方々は、どなた?」
「あ、紹介します。俺の職場の上司お二人です。男性が三輪庄司さん、女性が久遠寺和歌子さんです」
「あら、そうなの。ふぅーん、貴女が和歌子さんなのね。・・・・どうも、私、衣笠真澄(きぬがさますみ)と申します。真吾君の――」
「真澄さん」
柔らかな笑顔を湛えたまま、真吾君が真澄さんを肘でつついた。あ、いっけない、と真澄さんは可愛く笑った。
ちょっと、何よ。
真澄さんって、真吾君のナニ?
そう考えた途端、何だかモヤモヤした。
私のコト散々好きとか何とか言っておきながら、悪魔のヤツ、ちゃっかり他にもキープがいるってコトなのぉ!?
駅から歩いて池袋サンシャインに着いた。この辺に来るのは久しぶり。ちょっと来ないだけで、駅前とかすぐに見慣れた景色と違ってしまう。
都会は顔を変えるのが早い。私の青春もこの都会の流れのように、あっという間に変わって、終わってしまうのかしら。
サンシャインシティは、サンシャイン60ビル、プリンスホテル、ワールドインポートマートビル、文化会館ビルと、大きなビルが立ち並んでいて、色々な施設から成り立っている。
お魚はワールドインポートマートビルの屋上にある。天空の水族館と謳われている位だから、さぞかし天空と水族館のコラボレーションが楽しめるのでしょう。
オープン当初は散々テレビでやっていた、有名な天空のペンギンが拝める屋上ガーデンは押さえたい。
ここが良いと思った理由はもう一つある。
隣のサンシャイン60ビルでは、スカイレストランたるものがある。ここには和洋中、何でも食べれるレストランが入っているから、どこか好きなお店に予約入れて貰って、サプライズバースデーケーキでハピバ(ハッピーバースデー)やって、桃香さんとの親密度を一気に上げるのよ!
おあつらえ向きのホテルが隣にあるから。プリンスホテルの良いお部屋を予約してもらって、愛を育むの!!
Bプラン、完璧だわっ。
プレゼンなら任せておいて!
仕事デキる女でしょ。ふふっ。
まあ、チラッと調べたら、プラネタリウムもあるし、色々楽しめそう。
後は本人たち次第よ。頑張って!
Bプランを反芻しながら、二人で水族館に向かった。チケットを買う為に受付の列に並んでいると、ポン、と肩を叩かれた。振り向くと、真吾君が立っていた。
「偶然ですね」
なっ、何でこんな所に真吾君がいるのよっ。
「三輪さん、和歌子さん、こんにちは。デートですか?」
見たら解かるでしょっ。イチイチ聞くなっ。
こういう事だったの。三輪さんとのデートを邪魔してやろうというクチで、私にあれこれ行先を聞いてきたのねっ。これは絶対偶然じゃない。
酔っぱらっていたから、ついうっかり行先を教えてしまったからな――と思っていると、ごめーん、お待たせ―、という声が後方から聞こえてきた。
真吾君に向かって手を振っているのは、亜麻色のストレートの髪にパッチリと目が大きく、白地に赤のリボンのついた柔らかそうな帽子をかぶり、濃紺のリボンの付いた白のブラウスとベージュのミディアム丈のスカートのいで立ちをした、綺麗な女性だった。
年齢は二十七、八歳位かしら。私より少し年上のように見える。
「真吾君、ごめんねぇ。お手洗いがちょっと混雑してたから・・・・あら? こちらの方々は、どなた?」
「あ、紹介します。俺の職場の上司お二人です。男性が三輪庄司さん、女性が久遠寺和歌子さんです」
「あら、そうなの。ふぅーん、貴女が和歌子さんなのね。・・・・どうも、私、衣笠真澄(きぬがさますみ)と申します。真吾君の――」
「真澄さん」
柔らかな笑顔を湛えたまま、真吾君が真澄さんを肘でつついた。あ、いっけない、と真澄さんは可愛く笑った。
ちょっと、何よ。
真澄さんって、真吾君のナニ?
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