OLの花道

Office18・三輪さんの告白

４

　真吾悪魔のバカ。
　貴方のカワイイ笑顔も、意地悪な顔も、全力で私を好きだって言ってくれるその姿、その全てに――私、知らずに心奪われて、堕ちていたのよ。

　本当に、どうしてくれようか。
　絶対に、責任取らせてやるんだから！


　ガタン、とゴンドラ内が揺れた。もうすぐ、地上に到着する。


「三輪さん、貴方を好きになれて、本当に良かったです。貴方に好きになって貰えて、本当に嬉しかったです。でも、ごめんなさい。私が貴方を想ったせいで、桃香さんとの事を迷わせてしまって････。今なら、まだ間に合います。三輪さん、私のせいで今、大切な人を見失っているだけですよ。昨日一緒に考えたプラン、絶対に実行させてくださいね。奥様、絶対に待っています。三輪さんから寄り添ってあげて下さい。ありがとうございました。････さようなら」

「和歌ちゃん････僕の方こそ、ありがとう。本当に残念だけど、仕方ない。僕が独身だったら、絶対に諦めないんだけどな。出直したら････考えてくれるかい？」
　
　
「その時は、その時です」私は笑った。「ここを出たら、このまま行きます。もう、振り向きません。三輪さん、ありがとうございました。本当に････ありがとう････」


　溢れる涙を押さえられず、泣き笑いになってしまった。
　三輪さんは私を優しく抱きしめてくれて、さようなら、と囁いてくれた。


　その時、丁度地上に到着した。係員が入り口を開けるために待機している。
　三輪さんから離れて、私は先に観覧車を降りた。


　私の長かった恋は、ようやくこれで終わりなのね。三輪さん――貴方とはもう、さよなら。


　ありがとう。三輪さん。本当に、本当に、好きでした。




　心から、ありがとう。




　私は、振り向かずに歩きだした。