2 / 32
第二話 兄と私
しおりを挟む
そして、可愛らしいお姫様の夢が壊れたのはそれだけではなかった。
小耳にはさんだ、というよりも、兄との口喧嘩の際に兄がウッカリ漏らしたのだ。
「本当にアリシアは可愛げがない!
お前が可愛げがないのは性格だけだったら良かったのにな。
知らないだろう?
お前の婚約者のカンタベルの王太子は、お前よりも背が低いんだ。
性格も、身長すらも可愛げがないなんて、お前は本当に女か?」
さすが、兄。
私の痛いところを的確についてくる。
いつもなら十倍増しに反論する私も、その発言には咄嗟に言い返せなかった。
黙ってしまった私に気が付いた兄が、気まずそうな顔したのも余計に私の傷口を抉る。
だから、これはきっと事実だろう。
彼は、私より背が低いらしい。
うん、仕方ない。
私より2つほど年上、兄である第一王子フィリップス兄様は、私と同じくらい、か、少し高いくらいで、有体に言ってしまえば、ほぼ同じ身長である。
父は、私よりも少し大きいくらい、なのだ。
私は、女だてらに背が高いのだ。
多分、王族でなかったら貴族諸侯に馬鹿にされるくらいには、高い。
良かった、私この国の王女で。
下の身分だったら何て言われていたことやら。
勿論、私の身長の事を陰でなんやかんやと言われてるのも、知っている。
なにせ、私は子供の頃から抜きんでて背が高かったから。
同じ年の女の事一緒に遊ぼうとしても、頭一つ以上出てしまう。
同じように可愛らしい恰好をしているはず、なのに、何かがみんなと違う。
皆と同じように遊びたいのに、同じように可愛い恰好をしたいのに。
皆仲良くしてくれている、はずなのに、なぜか感じる疎外感。
それは、王女だから、とかそんな理由ではなくて。
子供は正直だから。
こっそりと隣の子に囁いても、所詮、子供は子供。
声のト-ンを少し小さくするくらいじゃ、聞こえる位には声が漏れる。
「男の子みたい」
「私の兄様よりも大きいよ」
「すっごく大きいよね」
「女の子なんだよね?」
「大きくて、怖い…」
地獄耳でもある私には、しっかりと聞こえてるのだ。
「兄様、私、男の子みたいだって…大きくて怖いんだって」
「そんな事ないよ、アリシアは可愛いよ。
何て言ったって、僕の可愛い、可愛い妹だから」
涙目でフィリップス兄様に訴えると、兄は優しく私の頭を撫でながら慰めてくれる。
私は、その時間が大好きだった。
だから、何か悲しい事があるといつも兄様の元に逃げ込んでは、甘やかされていた。
…えぇ、今考えれば、穴があったら入りたい。
こんな恥ずかしい会話を、よく兄様としたものだわ。
だって仕方ないじゃないの。
私だって、幼い頃はそんなことを言われて悲しく、嘆いたりもしたもの。
そうよ、傷つきやすい可愛らしい女の子だったんだから。
今なら分かるけどね、彼らが怯えていた理由も全て。
大きい分、傍に来られたら迫力があって怖かったんだろうって。
でも、その時は純粋にただ、悲しかった。
そして慰めてくれた優しいフィリップス兄様は、私がニョキニョキと育ち、兄様と身長が同じになるにつれ、優しくないフィリップス兄様に変わっていった。
優しくないというのは、正しくないかもしれない。
うん、どちらかというと、妹扱いから、弟扱いに変わっていった気がする。
兄の従者達と走り回り、侍女の顔を青ざめさせ、マナ-の教師からお小言をくらうのが当たり前の生活に。
兄から女扱いは、ほぼされなかった気がする。
でも、一応私も王女。
やる時はやります。
そんな事でこの淑女の仮面を被れば淑女らしく、王女らしい振る舞いはお手の物、普段は兄達と遊びまくる、見事に要領の良い王女様になりましたとさ、って私の事だけど。
小耳にはさんだ、というよりも、兄との口喧嘩の際に兄がウッカリ漏らしたのだ。
「本当にアリシアは可愛げがない!
お前が可愛げがないのは性格だけだったら良かったのにな。
知らないだろう?
お前の婚約者のカンタベルの王太子は、お前よりも背が低いんだ。
性格も、身長すらも可愛げがないなんて、お前は本当に女か?」
さすが、兄。
私の痛いところを的確についてくる。
いつもなら十倍増しに反論する私も、その発言には咄嗟に言い返せなかった。
黙ってしまった私に気が付いた兄が、気まずそうな顔したのも余計に私の傷口を抉る。
だから、これはきっと事実だろう。
彼は、私より背が低いらしい。
うん、仕方ない。
私より2つほど年上、兄である第一王子フィリップス兄様は、私と同じくらい、か、少し高いくらいで、有体に言ってしまえば、ほぼ同じ身長である。
父は、私よりも少し大きいくらい、なのだ。
私は、女だてらに背が高いのだ。
多分、王族でなかったら貴族諸侯に馬鹿にされるくらいには、高い。
良かった、私この国の王女で。
下の身分だったら何て言われていたことやら。
勿論、私の身長の事を陰でなんやかんやと言われてるのも、知っている。
なにせ、私は子供の頃から抜きんでて背が高かったから。
同じ年の女の事一緒に遊ぼうとしても、頭一つ以上出てしまう。
同じように可愛らしい恰好をしているはず、なのに、何かがみんなと違う。
皆と同じように遊びたいのに、同じように可愛い恰好をしたいのに。
皆仲良くしてくれている、はずなのに、なぜか感じる疎外感。
それは、王女だから、とかそんな理由ではなくて。
子供は正直だから。
こっそりと隣の子に囁いても、所詮、子供は子供。
声のト-ンを少し小さくするくらいじゃ、聞こえる位には声が漏れる。
「男の子みたい」
「私の兄様よりも大きいよ」
「すっごく大きいよね」
「女の子なんだよね?」
「大きくて、怖い…」
地獄耳でもある私には、しっかりと聞こえてるのだ。
「兄様、私、男の子みたいだって…大きくて怖いんだって」
「そんな事ないよ、アリシアは可愛いよ。
何て言ったって、僕の可愛い、可愛い妹だから」
涙目でフィリップス兄様に訴えると、兄は優しく私の頭を撫でながら慰めてくれる。
私は、その時間が大好きだった。
だから、何か悲しい事があるといつも兄様の元に逃げ込んでは、甘やかされていた。
…えぇ、今考えれば、穴があったら入りたい。
こんな恥ずかしい会話を、よく兄様としたものだわ。
だって仕方ないじゃないの。
私だって、幼い頃はそんなことを言われて悲しく、嘆いたりもしたもの。
そうよ、傷つきやすい可愛らしい女の子だったんだから。
今なら分かるけどね、彼らが怯えていた理由も全て。
大きい分、傍に来られたら迫力があって怖かったんだろうって。
でも、その時は純粋にただ、悲しかった。
そして慰めてくれた優しいフィリップス兄様は、私がニョキニョキと育ち、兄様と身長が同じになるにつれ、優しくないフィリップス兄様に変わっていった。
優しくないというのは、正しくないかもしれない。
うん、どちらかというと、妹扱いから、弟扱いに変わっていった気がする。
兄の従者達と走り回り、侍女の顔を青ざめさせ、マナ-の教師からお小言をくらうのが当たり前の生活に。
兄から女扱いは、ほぼされなかった気がする。
でも、一応私も王女。
やる時はやります。
そんな事でこの淑女の仮面を被れば淑女らしく、王女らしい振る舞いはお手の物、普段は兄達と遊びまくる、見事に要領の良い王女様になりましたとさ、って私の事だけど。
0
あなたにおすすめの小説
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす
小木楓
恋愛
完結しました✨
タグ&あらすじ変更しました。
略奪された皇后を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。
「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」
「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」
大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。
しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。
強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。
夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。
恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……?
「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」
逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。
それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。
「一生、私の腕の中で溺れていろ」
守るために壊し、愛するために縛る。
冷酷な仮面の下に隠された、
一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。
★最後は極上のハッピーエンドです。
※AI画像を使用しています。
女性が少ない世界に転生した控えめ伯爵令嬢、なぜか五人の婚約候補に選ばれて少しずつ恋を知っていきます
ノッポ
恋愛
女性が極端に少ない異世界に転生した私は、気づけば伯爵令嬢になっていた。
前世は日本で普通に生きていたせいか、貴族令嬢らしい強気な振る舞いがどうしても苦手。
社交界デビューを迎えても、「どうして私が選ばれるの?」と戸惑うばかりだった。
けれど今年デビューする高位令嬢はわずか三人。
家同士の思惑も重なり、騎士団長家の息子、宰相子息、魔術師団長の息子、幼なじみの侯爵子息、そして英雄騎士――
五人の若きエリートとのお見合いが次々と始まってしまう。
遠慮がちで控えめな性格は、この世界では珍しく、気づけば少しずつ距離を縮めていく彼ら。
異世界での恋愛に戸惑う日々。けれど出会いを重ねるたびに、私は少しずつ変わっていく――。
女性希少世界の社交界で、自分の幸せを選べるようになるまでの
ほのぼの甘い逆ハーレム恋愛ファンタジー。
冷遇妃ライフを満喫するはずが、皇帝陛下の溺愛ルートに捕まりました!?
由香
恋愛
冷遇妃として後宮の片隅で静かに暮らすはずだった翠鈴。
皇帝に呼ばれない日々は、むしろ自由で快適——そう思っていたのに。
ある夜、突然現れた皇帝に顎を掴まれ、深く口づけられる。
「誰が、お前を愛していないと言った」
守るための“冷遇”だったと明かされ、逃げ道を塞がれ、甘く囲われ、何度も唇を奪われて——。
これは冷遇妃のはずだった少女が、気づけば皇帝の唯一へと捕獲されてしまう甘く濃密な溺愛物語。
あの、初夜の延期はできますか?
木嶋うめ香
恋愛
「申し訳ないが、延期をお願いできないだろうか。その、いつまでとは今はいえないのだが」
私シュテフイーナ・バウワーは今日ギュスターヴ・エリンケスと結婚し、シュテフイーナ・エリンケスになった。
結婚祝の宴を終え、侍女とメイド達に準備された私は、ベッドの端に座り緊張しつつ夫のギュスターヴが来るのを待っていた。
けれど、夜も更け体が冷え切っても夫は寝室には姿を見せず、明け方朝告げ鶏が鳴く頃に漸く現れたと思ったら、私の前に跪き、彼は泣きそうな顔でそう言ったのだ。
「私と夫婦になるつもりが無いから永久に延期するということですか? それとも何か理由があり延期するだけでしょうか?」
なぜこの人私に求婚したのだろう。
困惑と悲しみを隠し尋ねる。
婚約期間は三ヶ月と短かったが、それでも頻繁に会っていたし、会えない時は手紙や花束が送られてきた。
関係は良好だと感じていたのは、私だけだったのだろうか。
ボツネタ供養の短編です。
十話程度で終わります。
【完結】で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
天然だと思ったギルド仲間が、実は策士で独占欲強めでした
星乃和花
恋愛
⭐︎完結済ー本編8話+後日談7話⭐︎
ギルドで働くおっとり回復役リィナは、
自分と似た雰囲気の“天然仲間”カイと出会い、ほっとする。
……が、彼は実は 天然を演じる策士だった!?
「転ばないで」
「可愛いって言うのは僕の役目」
「固定回復役だから。僕の」
優しいのに過保護。
仲間のはずなのに距離が近い。
しかも噂はいつの間にか——「軍師(彼)が恋してる説」に。
鈍感で頑張り屋なリィナと、
策を捨てるほど恋に負けていくカイの、
コメディ強めの甘々ギルド恋愛、開幕!
「遅いままでいい――置いていかないから。」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる