115 / 307
第2章
*
しおりを挟む女の子たちのことなんて気にせず、いつも通りにイサゾーのところへ行っていれば良かったんだ。
今更後悔したって遅いのに。
「………さ、ぞー……」
誰のものかも判らない掌に吸い込まれた小さな叫び。
呆気ないほど瞬間的に消え去ってしまったそれは、未だあたしの中に存在していた希望に固執する気持ちに似ていた。
――――筈、だったんだけれど
『ウイッ!!!!』
突如として鼓膜を大仰にも揺るがした声音。それは、閉じかけていた瞳を持ち上げる切っ掛けとしては充分過ぎるもので。
あたしの願望が成した妄想なんじゃないかって疑った。
だって、イサゾーには「駅で合流」ってメッセを送った筈だったから。
『おいコラ!!逃げんのかテメェッ!!!』
「………ッ! ゲホッ、ゴホゴホッ」
『ウイ大丈夫!?』
イサゾーが一本向こうの通りから憤怒の形相で現れたその刹那。
一瞬覆われた手のひらに力が込められたと思ったら、次の瞬間にはあたしは解放されたらしく。
今まで吸えなかった酸素を取り込もうと、無意識の内に身体は躍起になって呼吸を繰り返す。
だけれど、そんなあたしの様子を目の当たりにしたイサゾーの反応は意外なものだった。
『ウイちょっと待って、そんなに荒く呼吸したら……!』
「はっ、はっ、」
『過呼吸になっちゃ――』
不意に、意識が遠のくのを感じた。
必死に何かを叫ぶイサゾーの声も耳に届かなくなってくる。
何がなんなのか全く解らない状況のまま、あたしは完全に意識を手放したらしかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる