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第三章 偽聖女なのに神殿とか
12.まつりのあと
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初めて神託を直々に聞かされた人々はただ恍惚として空を仰いでいた。
その興奮が落ち着くのを待って、国王と新しい大司教による演説があった。
そうして共に今後聖女という存在を擁さないことを宣言した。
教会のあり方は改められ、困った人を助け、受け入れる本来の役目に戻っていった。
政治的な介入は厳罰に処されることを改めて周知した。
大司教が裏でしていることを何となく知っていた神官たちは、恐れる必要もなくなり晴れやかな顔になった。
ミレーネは晴れて故郷へと帰ることとなった。
◇
東屋でリヒャルトとお茶をすることになり席につくと、スイニーがお盆を手にやってきた。
「私、うまくできてましたかね?」
「ええ、さすがよ。神々しかったわ」
その言葉に満足したのか、スイニーはにこにこと私の前にカップを置いた。
「素晴らしいフォローだったでしょう。神様らしかったでしょう。あれで私が神だと信じました?」
「人間が作った偶像の姿を借りてたようだがな」
リヒャルトはカップを手に取り、口をつけた。
「私が本当の姿を現したところで、『誰?』ってなるでしょう。あの姿がこの国で一番神として認知されやすいですから。大事なのは説得力と結果ですよ」
この神様は本当に人間くさい。
人の世界に長らくいたせいだと言うが、元来の性格なのではと思ってしまうくらいに違和感がない。
「合理的だな。ユリシアと考え方がよく似ている」
「え?! そう?」
リヒャルトの言葉に驚いてまじまじとスイニーを見ると、神はにやりと口元を笑ませた。
「そう思います。ですから私のいい手足になってくれると思ったのですよ。私の目に狂いはありませんでしたね。おかげでしばらくは退屈しなさそうです」
こんなことを言う神に似ていると言われても複雑だ。
「それでは私は再び旅に出ますので、今度こそユリシア様に侍女をつけてあげてくださいね。あの女官長もいなくなったことですし。あ、でもユリシア様もこれでお役目は終えたんですよね? ユリシア様も私と一緒に旅に出ます? それともあの村にお送りしましょうか」
矢継ぎ早に言われて、私は押し黙ってしまった。
スイニーはそんな私を笑って眺めると「それじゃ」と言って姿を消した。
最初から何もいなかったかのように。
私はずっと考えていた。
リヒャルトと離れたくない。
けれど農民であり、ただの偽聖女である私は王太子妃にはふさわしくない。
離れるべきだ。わかっている。
けれど、いつまでも「それじゃあ帰るね」と言い出せないでいた。
同じように黙り込んで何事かを考えていたリヒャルトが、先に口を開いた。
「ユリシア。話がある」
どきりとした。
いよいよ、別れの時が来たのだと、胃がきゅうっとなった。
その興奮が落ち着くのを待って、国王と新しい大司教による演説があった。
そうして共に今後聖女という存在を擁さないことを宣言した。
教会のあり方は改められ、困った人を助け、受け入れる本来の役目に戻っていった。
政治的な介入は厳罰に処されることを改めて周知した。
大司教が裏でしていることを何となく知っていた神官たちは、恐れる必要もなくなり晴れやかな顔になった。
ミレーネは晴れて故郷へと帰ることとなった。
◇
東屋でリヒャルトとお茶をすることになり席につくと、スイニーがお盆を手にやってきた。
「私、うまくできてましたかね?」
「ええ、さすがよ。神々しかったわ」
その言葉に満足したのか、スイニーはにこにこと私の前にカップを置いた。
「素晴らしいフォローだったでしょう。神様らしかったでしょう。あれで私が神だと信じました?」
「人間が作った偶像の姿を借りてたようだがな」
リヒャルトはカップを手に取り、口をつけた。
「私が本当の姿を現したところで、『誰?』ってなるでしょう。あの姿がこの国で一番神として認知されやすいですから。大事なのは説得力と結果ですよ」
この神様は本当に人間くさい。
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「合理的だな。ユリシアと考え方がよく似ている」
「え?! そう?」
リヒャルトの言葉に驚いてまじまじとスイニーを見ると、神はにやりと口元を笑ませた。
「そう思います。ですから私のいい手足になってくれると思ったのですよ。私の目に狂いはありませんでしたね。おかげでしばらくは退屈しなさそうです」
こんなことを言う神に似ていると言われても複雑だ。
「それでは私は再び旅に出ますので、今度こそユリシア様に侍女をつけてあげてくださいね。あの女官長もいなくなったことですし。あ、でもユリシア様もこれでお役目は終えたんですよね? ユリシア様も私と一緒に旅に出ます? それともあの村にお送りしましょうか」
矢継ぎ早に言われて、私は押し黙ってしまった。
スイニーはそんな私を笑って眺めると「それじゃ」と言って姿を消した。
最初から何もいなかったかのように。
私はずっと考えていた。
リヒャルトと離れたくない。
けれど農民であり、ただの偽聖女である私は王太子妃にはふさわしくない。
離れるべきだ。わかっている。
けれど、いつまでも「それじゃあ帰るね」と言い出せないでいた。
同じように黙り込んで何事かを考えていたリヒャルトが、先に口を開いた。
「ユリシア。話がある」
どきりとした。
いよいよ、別れの時が来たのだと、胃がきゅうっとなった。
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