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おじさんがオナニーに疲れて眠りこけると、俺は風呂場に向かった。
勢いよくシャワーの水を出して、冷水などかまわずシャワーで足元を流した。
手で足の皮膚に触ると、おじさんの這った舌の感触が蘇る。
(…気持ちが悪いな)
そうぽつんと思っては、俺はシャワーで何度も足の皮膚を洗った。
お湯を長時間かけたことによって足の皮膚がふやけてきたのがわかった俺は、足を洗うのをやめた。
風呂場から上がり、足をタオルで拭いて水気を取っては、俺はペタペタと足音を鳴らしながら、リビングへ向かった。
先ほどまでおじさんと行為をしていた部屋を覗いてみる。おじさんはベッドにもたれかかったままで、俺がそばに来ても気づかないぐらい、完全に寝てしまったようだ。
(赤ちゃんみたいだな、おじさん)
すうすうと寝息を立てているおじさんをもう一度見ては、俺は気分転換でもしようと一旦家を出ることに決めた。
新しい靴下を出して履き直すと、狭い玄関でスニーカーを履いてドアノブに手をかける。少し空気でも吸って、おじさんの買ってきたお土産でも食べよう。
俺はいつものようにドアを開けた。
……のだが、なぜか目の前に冬織が現れた。どういうことだ。
予想もしなかった人物に俺は眉を顰める。冬織は制服姿でドアの前に大きなカバンを背負って、佇んでいた。まるでドアが開くのがわかっていたように、俺を見下ろした。
「冬織?なんでここに…」
沈黙の後、俺から出た第一声はそれだった。
……家の場所は今まで誰にも教えたことはなかった。それはおじさんとの約束だったのだ。
どんな人間であろうと、家の場所を教えてはいけない。
家の場所が知られないように、誰も家まで送らせない、ついてこさせない、中に入れない。
日によっては帰り道をわざと変更した日もある。
冬織が家まで送ることをやんわりと今まで拒否したのもそのせいだ。
それぐらい俺はこの約束を徹底的に守ってきた。
もし何かの弾みでバレてしまったら---…おじさんの身が危なくなるからだ。
(どうしてわかったんだ。後をつけていそうな人間はうまく撒いてきたはずだ。冬織がついてきた気配もなかったし、ここら辺は木々が茂っているから、家を見つけるには大変困難なはずなのに…)
「なんで…」
そう呟いた俺に、冬織は口を開いた。
「…スマホの位置情報、って言ったらわかる?万智の携帯に追跡アプリを入れた。万智が行った場所、全て俺のスマホからわかるんだよ」
そう言って、冬織は色がついたマップの画面を見せた。
マップには何もマークのないところに濃く緑色が付いている。それが現在地のようだ。
「俺がスマホ持って帰ったからか…」
「そうだよ。万智が家を教えてくれないことは知ってたけど……まさかこんな危険なところに住んでるなんてね」
そう言って、冬織はスマホをしまうと俺の腕を無理矢理掴んだ。
あまりにも強い力に顔が強張った。
「、痛っ。ふ、冬織っ。急になんだよ?」
「万智、いいから来て」
そう言った冬織は俺の腕をさらにきつく握ると、無理矢理引っ張って斜面を降りていく。
こんな光景ついこの前もあったな、デジャヴか。
冬織に引っ張られ、下へ下へと引きずり下ろされる。家はもう見えなくなってしまっていて、草花が乱雑に生えた地面を無理矢理歩かされる。
そのまま俺を無理矢理引っ張って、山の麓へ向かっていく冬織に、俺は次第に嫌な予感がしてきて大きく叫んだ。
「おい、冬織!急になんだよ!どこに連れていく気だ!」
「万智、暴れないで。ここは危険だ、早く離れないと」
「何が危険なんだよっ。お前何考えてるんだ!…なぁ!おい!冬織、話聞けって!」
…強引に押さえつけられるのは昔から嫌いだ。
俺は冬織が掴む腕を無理矢理振り離そうと激しく腕を振る。足を地面に無理矢理引っ掛けて、冬織が進もうとする方向へ抗い、必死に全身で抵抗する。
急に暴れ出した俺に、冬織は怖い顔をして振り返った。
「万智っ!これ以上は暴れないで!!大人しくついてこれないならっ…」
冬織が突然バックに刺さったポケットから包丁を取り出した。
「刺し殺しちゃうかもしれないから」
包丁の鋭利な刃先が俺の腹の方へ向いていた。
*********
結局俺はそのまま山から引きずり下ろされた。
それでも人気のない場所だ。狭い山の麓の道路はおじさんのトラックぐらいしか走らない。
二人きりで道路沿いを歩いていく。
包丁を持った冬織は俺の後ろへまわり、未だに俺の方へ刃物を向けながら前に進む。
俺はその刃を厄介に感じつつも、抵抗せずひたすら歩いた。
「…万智。どうして外に出ようとしたの」
ぽつり、と冬織がそう聞いてきた。
俺は腹部に向けられた刃物を睨みながら、淡々と答える。
「散歩をしようと思っただけ」
「ふうん…」
冬織は俺の返事を聞いてそう返事すると押し黙る。
木の葉がガサガサと揺れる音だけが響く。
そして、しばらくの沈黙の後。
彼はまた一つ、質問を問いかけてくる。
「家には誰かいるの」
「…おじさんがいる」
「万智は1時間前に帰ったんだよね。なにしてたの」
「だらだらテレビ見てたよ。おじさんは今日仕事明けで帰ってきたらしくて、疲れて部屋でずっと寝てる」
「………」
急に、また押し黙った冬織に不快感を感じる。
一体なんなんだ。こんな脅すような真似をして、冬織は何を聞きたいんだ。
包丁まで持ち出して、冬織の考えていることが読めなかった。
(……あの、包丁をどうにかできればいいのに)
冬織の手の中にある包丁。きっとあれは料理に用いる刃渡り17センチのものだろう。
どうにかして冬織から包丁を捨てさせられないか。
そう思って思案するが、ピリついた空気感に思考がうまく働かない。
俺が考えていると、突然冬織の足音が急に止まった。
「……嘘、だね」
「は?なにが」
呟かれた言葉に冬織の方を振り返る。
冬織は相変わらず俺に包丁を向けて、もう一度呟くのだ。
「嘘だ、万智は俺に隠してる」
やけに断定した言い方だった。
今の冬織は、普段の穏やかな冬織とは思えないほど冷たくて強張った顔をしている。
ヒヤリと背筋をあの包丁で撫でられたような感覚がする。それに俺は誤魔化すように小さく笑うしかなかった。
「はは、何を冬織に隠すの?」
「…万智、俺は本気だよ。万智が正直に答えないなら、ここで刺す」
冬織はグッと包丁を握り直した。
(冬織、本気なのか?)
俺は信じられず、冬織の顔をじっと見ることしかできない。
あの真面目な冬織がこんな脅すような真似をするのか。どうしてそんなことをするんだ。
そう思っても、冬織には俺の考えていることが伝わるわけはなく、刃先をより付き出すだけだった。
「万智、本当のことを言って。俺にだけは嘘をつかないで。これは万智のためでもあるんだよ」
冬織が包丁を持って近づいてくる。
刃先がどんどん近づいてきて、呼吸が早くなっていく。
「冬織…」
「ねえ、万智。……おじさんと何をしてたの?」
反応するように俺の右足がピクピクと痙攣した。
おじさんがオナニーに疲れて眠りこけると、俺は風呂場に向かった。
勢いよくシャワーの水を出して、冷水などかまわずシャワーで足元を流した。
手で足の皮膚に触ると、おじさんの這った舌の感触が蘇る。
(…気持ちが悪いな)
そうぽつんと思っては、俺はシャワーで何度も足の皮膚を洗った。
お湯を長時間かけたことによって足の皮膚がふやけてきたのがわかった俺は、足を洗うのをやめた。
風呂場から上がり、足をタオルで拭いて水気を取っては、俺はペタペタと足音を鳴らしながら、リビングへ向かった。
先ほどまでおじさんと行為をしていた部屋を覗いてみる。おじさんはベッドにもたれかかったままで、俺がそばに来ても気づかないぐらい、完全に寝てしまったようだ。
(赤ちゃんみたいだな、おじさん)
すうすうと寝息を立てているおじさんをもう一度見ては、俺は気分転換でもしようと一旦家を出ることに決めた。
新しい靴下を出して履き直すと、狭い玄関でスニーカーを履いてドアノブに手をかける。少し空気でも吸って、おじさんの買ってきたお土産でも食べよう。
俺はいつものようにドアを開けた。
……のだが、なぜか目の前に冬織が現れた。どういうことだ。
予想もしなかった人物に俺は眉を顰める。冬織は制服姿でドアの前に大きなカバンを背負って、佇んでいた。まるでドアが開くのがわかっていたように、俺を見下ろした。
「冬織?なんでここに…」
沈黙の後、俺から出た第一声はそれだった。
……家の場所は今まで誰にも教えたことはなかった。それはおじさんとの約束だったのだ。
どんな人間であろうと、家の場所を教えてはいけない。
家の場所が知られないように、誰も家まで送らせない、ついてこさせない、中に入れない。
日によっては帰り道をわざと変更した日もある。
冬織が家まで送ることをやんわりと今まで拒否したのもそのせいだ。
それぐらい俺はこの約束を徹底的に守ってきた。
もし何かの弾みでバレてしまったら---…おじさんの身が危なくなるからだ。
(どうしてわかったんだ。後をつけていそうな人間はうまく撒いてきたはずだ。冬織がついてきた気配もなかったし、ここら辺は木々が茂っているから、家を見つけるには大変困難なはずなのに…)
「なんで…」
そう呟いた俺に、冬織は口を開いた。
「…スマホの位置情報、って言ったらわかる?万智の携帯に追跡アプリを入れた。万智が行った場所、全て俺のスマホからわかるんだよ」
そう言って、冬織は色がついたマップの画面を見せた。
マップには何もマークのないところに濃く緑色が付いている。それが現在地のようだ。
「俺がスマホ持って帰ったからか…」
「そうだよ。万智が家を教えてくれないことは知ってたけど……まさかこんな危険なところに住んでるなんてね」
そう言って、冬織はスマホをしまうと俺の腕を無理矢理掴んだ。
あまりにも強い力に顔が強張った。
「、痛っ。ふ、冬織っ。急になんだよ?」
「万智、いいから来て」
そう言った冬織は俺の腕をさらにきつく握ると、無理矢理引っ張って斜面を降りていく。
こんな光景ついこの前もあったな、デジャヴか。
冬織に引っ張られ、下へ下へと引きずり下ろされる。家はもう見えなくなってしまっていて、草花が乱雑に生えた地面を無理矢理歩かされる。
そのまま俺を無理矢理引っ張って、山の麓へ向かっていく冬織に、俺は次第に嫌な予感がしてきて大きく叫んだ。
「おい、冬織!急になんだよ!どこに連れていく気だ!」
「万智、暴れないで。ここは危険だ、早く離れないと」
「何が危険なんだよっ。お前何考えてるんだ!…なぁ!おい!冬織、話聞けって!」
…強引に押さえつけられるのは昔から嫌いだ。
俺は冬織が掴む腕を無理矢理振り離そうと激しく腕を振る。足を地面に無理矢理引っ掛けて、冬織が進もうとする方向へ抗い、必死に全身で抵抗する。
急に暴れ出した俺に、冬織は怖い顔をして振り返った。
「万智っ!これ以上は暴れないで!!大人しくついてこれないならっ…」
冬織が突然バックに刺さったポケットから包丁を取り出した。
「刺し殺しちゃうかもしれないから」
包丁の鋭利な刃先が俺の腹の方へ向いていた。
*********
結局俺はそのまま山から引きずり下ろされた。
それでも人気のない場所だ。狭い山の麓の道路はおじさんのトラックぐらいしか走らない。
二人きりで道路沿いを歩いていく。
包丁を持った冬織は俺の後ろへまわり、未だに俺の方へ刃物を向けながら前に進む。
俺はその刃を厄介に感じつつも、抵抗せずひたすら歩いた。
「…万智。どうして外に出ようとしたの」
ぽつり、と冬織がそう聞いてきた。
俺は腹部に向けられた刃物を睨みながら、淡々と答える。
「散歩をしようと思っただけ」
「ふうん…」
冬織は俺の返事を聞いてそう返事すると押し黙る。
木の葉がガサガサと揺れる音だけが響く。
そして、しばらくの沈黙の後。
彼はまた一つ、質問を問いかけてくる。
「家には誰かいるの」
「…おじさんがいる」
「万智は1時間前に帰ったんだよね。なにしてたの」
「だらだらテレビ見てたよ。おじさんは今日仕事明けで帰ってきたらしくて、疲れて部屋でずっと寝てる」
「………」
急に、また押し黙った冬織に不快感を感じる。
一体なんなんだ。こんな脅すような真似をして、冬織は何を聞きたいんだ。
包丁まで持ち出して、冬織の考えていることが読めなかった。
(……あの、包丁をどうにかできればいいのに)
冬織の手の中にある包丁。きっとあれは料理に用いる刃渡り17センチのものだろう。
どうにかして冬織から包丁を捨てさせられないか。
そう思って思案するが、ピリついた空気感に思考がうまく働かない。
俺が考えていると、突然冬織の足音が急に止まった。
「……嘘、だね」
「は?なにが」
呟かれた言葉に冬織の方を振り返る。
冬織は相変わらず俺に包丁を向けて、もう一度呟くのだ。
「嘘だ、万智は俺に隠してる」
やけに断定した言い方だった。
今の冬織は、普段の穏やかな冬織とは思えないほど冷たくて強張った顔をしている。
ヒヤリと背筋をあの包丁で撫でられたような感覚がする。それに俺は誤魔化すように小さく笑うしかなかった。
「はは、何を冬織に隠すの?」
「…万智、俺は本気だよ。万智が正直に答えないなら、ここで刺す」
冬織はグッと包丁を握り直した。
(冬織、本気なのか?)
俺は信じられず、冬織の顔をじっと見ることしかできない。
あの真面目な冬織がこんな脅すような真似をするのか。どうしてそんなことをするんだ。
そう思っても、冬織には俺の考えていることが伝わるわけはなく、刃先をより付き出すだけだった。
「万智、本当のことを言って。俺にだけは嘘をつかないで。これは万智のためでもあるんだよ」
冬織が包丁を持って近づいてくる。
刃先がどんどん近づいてきて、呼吸が早くなっていく。
「冬織…」
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