[JUNKING HERO]

パンの耳たぶ

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prologue

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「助けて!!助けてえええ!!」
燃え盛る建物の中、幼い少年の声が響き渡っている。長い時間叫んだのか、声はかすれている。
「おい!まだここに取り残されてる人がいるぞ!!このままだと削除デリート」されてしまう!早く救出を!」
数人の男達が背中に「C-CARD」と書いてある紺色の防火服を纏い、燃え盛る扉を蹴破り少年の声が聞こえる部屋まで入ってきた。
「はぁはぁ...私は後でいいわ...この子達を早く」
既に意識を失いそうな女性が懸命に男達に訴えかけた。
「すぐに他の部隊も向かわせます。行くぞ君たち」
少年たちにこれ以上煙を吸わせないようマスクを無理やり装着させ、抱き上げ部屋を後にした。先程まで叫んでいた少年は疲労からか気を失っていた。
「おい!!サイバーパンクが起きる!早くこのサーバーからログアウトしろ!!今すぐにだあ!」
別の隊員の声が無線から聞こえてきた。あまりにも大きな声で頭がクラついたが、それだけ早急に大爆発が起きることが容易に想像できた。
「ママ...嫌だよ...ママあああああ!!!」
まだ幼い少年の弟が母親と離れたくない一心で隊員の腕から落ち、深い深い溝へと落ちて行った。
「畜生がああ!!」
走っていた隊員が立ち止まり、君だけでも生き残るんだと言い残し少年1人を強制ログアウト地点からログアウトさせた。そして隊員は溝に落ちた弟と母親を救出に向かうために振り返った。その瞬間だった。大爆発が起き、一瞬で目の前が明るくなり。暗転した。

「うわあああああ!!!....はぁ...はぁ」
布団を蹴りあげて目覚めた。時計の針は朝5:00を指していた。冬が始まったこの国は朝5:00ではまだ外は真っ暗で星すらも綺麗に見えた。自分の肌から噴き出た汗を確認して、またあの夢を見てしまったという後悔の念に駆られた。頭を抱えた少年は、母と弟の遺影を一瞥し、あれから何度朝が来ても帰ってこない者のことを思い出し、再び布団にくるまった。
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