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⑭掌

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三日後の遊園地にて
どうしてこうなったのか。
今、私は遊園地にいて桐ケ谷翔とデートしている。
そのなぜかをまずは、説明しよう。


回想
三日前の晩に電話が鳴った。
知らない番号の人だったからスルーしようかと考えたが、電話に出てしまった。
「三日後、デートしませんか」
電話口の声は桐ケ谷だった。
直接過ぎる言葉で光に動揺を与えた。しかし、言い寄られるのは毎度のことですぐに普通に戻った。
「何で」
「何でって言われても。たまたま、遊園地のチケットが二枚貰ったんですよ」
その言葉の裏に隠された願いを不覚にも聞いてしまった。
回想終わり


そして、今、桐ケ谷と一緒に遊園地にいる
遊園地っていうかUSDじゃん。
「そうですよ」
「関西の遊園地といえば、USDです。右に出るものはありません」
「じゃ、行こうか」
少しテンションが上がっている、光だった。
「何から乗る」
桐ケ谷からの最初の質問である。
「そうね。絶叫系いかない」
光は自分の好きな乗り物が乗りたいという欲求が強すぎて。かわいらしい彼女を演じるべきだったが、演じきれずに最初から、ざ、光って感じである。
「やっぱり」
翔は、これは織り込み済みだと言わんばかりの言葉が宙を飛んだ。
「そういうタイプだと思った」
「怖いと思ったことないタイプだね」
桐ケ谷はそこが可愛いと思えるくらいの変わった性格なのか将又、策略なのかそこが命運の分かれ道である。
「そうね、怖いものないかも」
光は凄く素直である。相手に合わせることをせず相手が自分に合わせなさいといった、考えである。当然、桐ケ谷は、光に合わせている。
「並ぶよね」
「じゃ、並ばずに行こうか」
意味が光には分からない。並ぶのが本当に嫌な光は桐ケ谷の言っていることを信じる。
「行けば、分かるさ」
自分の顔がまるで、間抜けずらだったのか、ポカーンとした顔をしている。と思う。だから、エスコートしてくれているんだ。
USDの絶叫系の並ぶ列があり、九十分待ちと出ている。
「魔法のチケット」
懐から二枚のチケットを取り出す。
「やるじゃん」
列の横を涼しい顔で通っている二人。
悠々と絶叫系の先頭に乗る。
この男前さが光にはいい男だと感じさせた。
ただ、彼氏にはまだ、遠く及ばない。所謂、周りにいる男友達と同程度だ。
絶叫系が終わり。
二人が言葉を交わす。
「楽しい」
二人ともUSDを楽しんでいる。
「次はさ、どこ行く」
光のテンションも上々である。やっぱり楽しい、これが今の二人の感覚である。
「ここに行かない」
「いいね」
「その次はここ行こ」
久々の遊園地に童心に帰ったみたいに二人で楽しもうとしている。
「後ね、ファストパスが四枚あるんだ」
「絶叫系三連ちゃん」

三連ちゃんが終わり
「闇のファイトの方がまだまし」
と光がぐったりしている。
近くの木の木陰になっている場所に光を座らせて言葉を出す。
「飲み物買ってくる」
桐ケ谷が言葉を出す。
「ありがとう」
光は少し顔を空に向けてぐったりしている。
「はい。飲み物」
冷たくていい感じ、乾ききった喉をうるおすのに丁度いい感じだ。
「お金は」
「いいよ」
「じゃ、甘えさせて貰います」
ペットボトルの蓋を開ける。
「でさ、目的は何」
一口飲み顔つきが変わり話を始める。
「目的、ただのデートのお誘い」
動揺をしながら話している。明らかな嘘をついている態度である。
「じゃあさ、何で」
「ホライゾンのエンブレムの首飾りしてるの」
光の核心を突く問いに何も話せないでいる桐ケ谷は考えている。
「分からないと思ったの」
「全部話すよ」
桐ケ谷はこの出来事の本末を答えることにする。
「魔封結解改」
後ろから大声での言葉である。
「させねぇよ」
真島貴志が仲間を引き連れて来ている。
「お前に抜けられるとこっちが困るんだ」
「いいのか妹さん」
その言葉で光はなんとなくこの状況が理解できる。
「死んじゃうよ」
「お姉さん、ホライゾンから手を引いてくれませんかね」
手をパチパチとしながら言葉を出している。
「こっちには百人の武器を持った手下と三人の憎悪がいるんでね」
「なぜ人間が」
光は驚いている様子だが本当に驚くことはすでに起こっている。
「知らないの」
「このエンブレムを付ければ人間でも大丈夫なんだぜ」
そこまで、進化している事実が存在した。しかし、光はそのことよりも桐ケ谷の心配をしている。
「たった一人で倒せるつもりですか」
私達の罠にはまりピンチに陥っている。愚かな愚民は誰かな。と言いたげな真島は言葉を発している。
「いや、一人じゃない」
その言葉に秘められた事の真実はどういった真実かを読み解く前に前に出ている。
「今日はありがとう」
笑顔で言葉を発している。
「先にお礼言っとくね」
この言葉を出すのに躊躇いがなかったわけではない、しかし、礼儀を重んじる光は自然に言葉が出る。
「ごめん、俺は妹が一番大事なんだ」
俯き加減で目を見て言葉が出せない。
「ごめん」
心からのごめんだよな。
「謝らなくてもいい」
「だってあなたの思いは分かるもの」
光は今回のことは想定済みである。
「月菜ちゃんが相談屋に来たの」
「えっ」
桐ケ谷は今回のここまでのことは光の手のひらだとは分かっていなかった。すでに、光は月菜ちゃんたちの情報を得て動いている。だから、手のひらである。しかし、この後のことは光の想定内で済むのかどうかが分からない。しかし、未来に希望を持つほうが、光はいいと感じている。
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