上 下
20 / 30

⑳結の過去

しおりを挟む
結の過去の話
高校二年の時
私は二年前から片思いをしていた。顔も性格も頭も普通で、何か特別なものはもっていなかった。出会いは突然に来た。
「それを持ってやるよ」
クラスメイトの北古寺だった。そう今の彼なのだ。
その時に私はこの人を好きになった。当時、この人は彼女がいた。しかも、クラスのマドンナが彼女だった。私は、諦めるしかなかった。心の中で日に日に彼のことが大きくなっていった。これが恋だと気づいたときには、卒業を迎えていた。
私は、言葉に出すことを決め、彼に告白をすることにした。大きな木が生えている桜の根元で告白すると成就すると学校のみんなは、こぞってそこで告白をした。
私は信じていなかったが願掛けのつもりで、その桜の根元で彼に告白をした。答えは思っていたこととは違った。三番目の彼女でよかったら、付き合わない。私はそれを喜んでしまった。三番目だろうと四番目だろうと彼と付き合えるのならそれでよかったのだ。
いいように使われてもよかった。だって私は彼を愛しているのだから。愛とは時に無情である。大学の時に彼が、風邪の時に見舞いに来てくれた。私なんかの為に来てくれた。
それだけで嬉しかったのだ。
でも、彼は彼女からの連絡があり帰ってしまった。私はこれほど彼が好きなんだと分かっていた。だから、ここで、その彼女に嫉妬した。
彼の愛を私が独占したい。
日に日に嫉妬の憎悪が募って行った。これはもう彼女自身でも止められなかった。
都合のいい女ではいられなくなった。
彼が望む顔がよくてスタイルもいい女に成りたかった。だから、頑張った。アルバイトだけでは賄えない金額が必要になった。
所謂、整形手術代だ。
キャバクラで働き始めて、アルバイトも掛け持ちをした。時はすでに遅かった。彼は知らない女と結婚した。
私は、この報われない現実をどうしたらいいのかが分からず泣き崩れた。今までの、頑張りが無駄になった。彼は、私を不倫相手でもいいといったが、私は嫌だった。
彼の愛を独占したいからだ。世界がまるで憎しみのはけ口にでもなったように、世界を憎んだ。その時だ、ハーメルン様と出会ったのは。ハーメルン様は私にとって神に等しいくらいに見えた。整形しなくても。いい顔でスタイルのいい女性にしてくれると。人生をやり直させてくれると。だから、手を取ったのだ。嫉妬の憎悪は、彼の奥さんに向かった。そして、殺したんだ。あれほど気持ちいい瞬間はなかった。
彼を独占していた。
奥さんを殺したのだ。
そして、私は憎悪になった。
これほど生きていてよかったと思ったことはなかった。私の世界に光が再び灯った。彼は、自分も殺されるんじゃないかと恐怖で彼を縛ることにした。
そして、彼は全力で私の為に尽くしてくれている。これが、本当の愛なのね。でも、違った。彼は別の女の所に逃げていた。私の愛を受け止められないと出て行った。
私は許なかった。
だから、見つけてその、女を殺した。彼は気づいた。
私を利用しようと。
それでもよかった。
彼の愛を私自身にだけ、向けてくれるのなら。何でもした。ホライゾンという組織を作り。私の力で闇を駆け上がった。
私の愛が彼に本当に届く日を待っていた。しかし、彼は上面な愛しか見せなかったのだ。
回想終わり
しおりを挟む

処理中です...