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⑫4人の矜持
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桜見がうずくまっている所に、また、幻聴なようなものが聞こえてくる。そう、ハーメルンの声だ。
「僕と取引をしないか。そして、四人を殺せばいいよ」
「そうだ、あいつらを殺そう」
塁はこの言葉で世界を放り投げた。要するに逃げたのだ。安易な方法へ。
「はい、憎悪頂きました」
ハーメルンが耳でささやくのを止める。
(花園の時は上手くいかなかったが桜美はちょろいな。あんなにも、花園は、耐えていたのに)
(友達のためか。信念のある奴は厄介だ)とハーメルンは思う。
「わーーーーー」
桜見は、奇声を上げて、頭を押さえながら膝を地面につき体を丸くしていく。体の上半身から黒い憎悪の根源という、大きな目の一つ目の憎悪が出てくる。
真っ赤な目である。
「やあ、僕のかわいい憎悪ちゃん」
ハーメルンは、見た目は小学生くらいの身長で、ピエロっぽい帽子を被り、笛を吹きながら現れる。
「じゃあ、相方は、何処かな、何処かな」
手で双眼鏡のようにしてあたりを見ている。
手で双眼鏡を覗くと半径百㎞ほど先が見える。
「あっいた」
と言い。上半身の憎悪を蹴り飛ばし。今まさに、器になる男に、憎悪を入れこまれた。その男性は不敵な笑みを上げていた。これから、悲惨な惨劇がくりひろがれるということは、ハーメルン以外はまだ、知る人はいなかった。
場面は切り替わり夕方のゲームセンターにて
ゲームセンターでグンダムの格闘ゲームを二対二の対戦のゲームをしている。対戦の組は喰沼と折神は同じチーム、日比谷と海崎は同じチームで勝負をしている。
「やりすぎたかな、今回の」
海崎は、おもむろにゲームをしながら不安そうに言い始める。グンダムのゲームで、優位性を保っている海崎は、ゲームを操作しながら問いかける。
「えっ」
三人はゲームをしながら驚いている。
「何、あいつらに同情してるの」
喰沼は馬鹿にするように言い放つ。これは、決して馬鹿にしたのではなく。自分の中に同情心も悪いことをした自覚がある。だから、自分自身がそういう風に保っていないと自分が自分でなくなってしまうからである。
「マジで」
折神は言葉をただ、相槌のように言い放つだけだった。
「何、びびってるんだ」
折神は、おちょくるように言葉を発している。
「違う」
「びびってない」
「ただ、同情しているんだ。血を吐いてたじゃん、あいつら」
海崎は二人に対して同情をしていた。出た言葉と裏腹なのは、折神におちょくられたことが起因しているためだ。
「そうだね」
喰沼はただ無意識に海崎の話を肯定してしまった。しかし、自分の中で二人にしたことはどうでもいいことで、酸素を吸っているのと同じように、いじめている。喰沼は、いじめられるほうが悪いという風な思想で凝り固まっている。
「最初の奴は黙って殴られてたけど。もう一人はひどかったね」
喰沼は少し後悔しているのではなく、面白いか面白くないかで、自分の考えを推し進めるところがある。
「後から考えるとさ、やりすぎだったって考えてしまってさ」
海崎は肯定してくれる喰沼に対して言葉を投げかけた。
「いいじゃん、これくらい」
日比谷は簡単にその場の空気を変える、一言を言い放った。この言葉は絶大な言葉である。
はたから見ている分はどうでもいいという感じも醸し出すくらいの他人事である。
「そうだよ」
「向こうはそのために生まれてきたんだから」
喰沼は日比谷の味方であるということをはっきりと意見する。
だからこそ、肯定したのだ。
いじめられるほうが悪いと。
「何その人生論」
折神が茶々を入れた。
「超うける」
少し不機嫌になる喰沼であった。
「いやさ」
「あの時を思い出さない」
この言葉を言い始める前に喰沼と折神のチームの勝ちが決まった。納得がいかない日比谷は、もう一回戦ということをコインを入れる態度で示す。それにつられて、海崎もコインを入れる。
「なにそれ」
日比谷はゲームで機体を選びながら無意識に言い放つ。
「あったじゃん」
なぜ、日比谷がピンとこないかが不思議であるかのように話している。
「何が」
日比谷はまだ分からずにいる。
「ああ、あのちびの時ね」
海崎は思いついたように話し出した。
「ああ、あった」
日比谷は、ようやく思い出せたようで三人はほっとする。
これをほっとするようなことではないのだけれど。
この四人の関係が崩れてしまうなら日比谷のせいだと言わんばかりに喰沼と折神は顔を見た感じを覚える。ついでに、海崎にも顔を見た感じで、良かったねと言いたいくらいだ。
「他の奴、見捨てて逃げて」
「次の日、ぼこぼこにした」
三人にはイメージが共有できるくらいに鮮明に映っているが、日比谷には鮮明にそこまで、映っているのだろうかと不安さえ覚えるほどである。
「あいつね」
「泣きながら金渡してきたよな」
三人が日比谷の言葉に安堵した。ようやく思い出したか。
「そいつは、大学生の兄貴呼んでさ、四対二十ってあったよな」
今までの武勇伝のごとく話しているが。本当に武勇伝であるために無視は出来ないでいる。
「あった、あの時、超びびった」
折神がゲームで負けているが、ゲームよりその話を話したがっている風に見える。
「日比谷がいなかったら死んでたな」
海崎は日比谷を見ながら言う。
「あのちび、自分じゃ何もできないくせに威張ってさ」
「うざかったよね」
日比谷はゲームでまた、負けて今度はリトライせずに少し不貞腐れて話の続きを話す。この負けの時に、あのちびのうざさを思い出せるくらいに鮮明な記憶が蘇ってきた。
「うざかった」
海崎はようやくゲームにリトライせずに済んで喰沼と折神側に行ってゲームをしている喰沼と折神の画面を見ながら話している。
「その兄貴たちも、調子に乗って仲間の前で俺らをしめるって言いだしてさ」
喰沼は笑い話のように話しているが、決して笑い話ではない。そこが少しずれている。
しかし、そんなことはお構いなしと話を続ける。
「数の利が自分たちにあるって調子に乗ってさ」
「あった。あった。あれはひどかった」
海崎が相槌を打つ。
「でも、勝ったよね」
折神は。決め顔で言い放つ。周りの奴が何を言おうとここだけは決め顔で言うとでも決めているのだろうか。
「それは本当に日比谷のおかげだよな」
海崎は日比谷の肩に手を乗せてゲームを見ている。
「お前って、守るべき者がいて強さを発揮するよな」
喰沼は普段、ちゃらちゃらしているが、人のことは良く見えている。特技と言っていいくらいのことだ。
この前も喰沼は、折神の計算能力の高さがあるとわかっていた。いつでも、カツアゲをするのではなく、折神がある程度作戦を立てている。なぜ、作戦を立てるようになったかというと、 話に出ているように、ちびの件があったからだ。
作戦を立てるのは折神がいいと推薦したのも喰沼だった。
こういうことにかけては折神が適任であると前から分かっていた。
喰沼はそういったこの四人での会話が好きだ。
「そうそう」
海崎は言い放つ。
「この中で一番弱い、海崎はすぐへばったけどさ」
「笑い話だよな、こんなこと」
海崎は馬鹿にされているがいつものことだと少し怒り気味で言うかと思うと、それをネタにし始めている。
そういう所は海崎のいい所であり、おおらかである。
この四人の中で一番しっかりとしている。
「言い分を言いますと、弱いわけではなく、体を使うより頭を使う仕事の方が、自分に合ってるんです」
海崎は。弁明にはならないが、言わないよりましだと思って言葉を選びつつ話している。
「それを弱いっていうんじゃない」
折神はネタにしてきた。ゲームは終了する。
「それを守るお前はもっと凄かった」
「男ながら惚れ直すぐらいのことだぜ」
喰沼の勝算の匙である。
日比谷は「お前ら男にそんなこと言われて誰が嬉しんだよ。自分の身くらい自分で守れよ」
日比谷は仲間内の会話がどうしても俺の評価を上げようとしているのに少し照れを覚える。
そういうタイプではない。だからこそ持ち上げると面白いのではないかという仲間内でのことである。
案外こういうことは本気にするタイプであるために、何かあったら真っ先に殴りかかる。先日の小桜とのいざこざについても、一番に自分から飛び込むタイプだ。
「嬉しい癖に、照屋さん」
海崎がからかっている。
「あぁあん」
少しその言葉には違和感を覚えて小ばかにしているから少し脅すように声を出す。
「ごめんごめん」
「きれるなって」
怒っている日比谷を見て焦っている。
「お前らだから助けたんだ」
怒っているのは冗談だと言わんばかりに、真に訴えるような仲間思いの言葉を発する。
「でも、凄いよな」
海崎は話を続ける。
「大学生の奴らお前見てびびっていたもんな」
「また、ああゆうバトルあったら」
「今度は自分で倒してやる」
少しお調子者の海崎は決意を固める。
しかし、実力差では、圧倒的に弱い。だからこそ強い日比谷に憧れを持っている。
この三人の中で日比谷に対してだけは本音を言っている節がある。
それこそが信頼関係である。その信頼関係は、不幸なのか分からないが保ったままでいる。
「いい意気込みだ」
喰沼は歩きながら話している。
「俺はパス」
日比谷は本当に空気を読むことをしない。自分の考えが正しいと思っている。
多少は悪いことをしている。これは、自分の中でのジャッジである。
だから、法に触れることでも自分の中の法が良ければそれでいいという、少しわがままな考え方を持っている人物である。
「あんな人殴るだけの戦いに何が意味あるんだよ」
日比谷は基本的には温厚タイプであるが。仲間の為になると人が変わる節がある。
「俺も」
折神も日比谷側の考え方である。つまり、穏健派である。
「何言っているんだ、一番強いお前が」
喰沼は単純に人を殴ることに対して他の人よりは抵抗がない、なぜなら、幼少期に虐待を受けて、父親が逮捕された。そんな過去がある。
母親と二人暮らしである。そのため、金には正直困っている。だからこそ、ATM達を作り、遊ぶ金欲しさにカツアゲをしている。
「俺は、好きで人を殴ってるわけじゃないんだぞ。お前らを守るときしか、この拳は使わないんだ」
この言葉で分かるように日比谷はイケメンである。
この仲間思いを、桜美にも見してやりたい。でも、桜美には桜美のいい所がある。全部を否定するのではなく自分の長所をもっと磨いた方がいいと思う人も存在する。
自分は自分、人は人、その中でも忘れてはいけないことは倫理観である。
「おう、痺れるね」
「そのセリフ」
折神は考えずに言葉がでた。日比谷の言葉に反射するように。
「ははははっははあああああ」
全員が笑っている。そうこうしている間に、いきつけのワクドナルドに着いた。
「それよりさ、あのおばさんうざくねえ」
話をしながらワクドナルドの列に並んだ。海崎は席取りに行っている。
「イラつくね、ああいう奴」
折神は、ばばあに対して怒っているが、内心ビビッていた。それを悟られたくなくて、言葉を発している。
「そうだな」
「それによ、なんで俺を止めたんだ」
日比谷は、おばさんの強さの秘密が知りたいと考えるようになった。
「でも、俺の直感が逃げろって、言ってたからな」
この喰沼の直感は皆が知っているように鋭い。
分析能力に秀でているというべきか、それとも、神のご加護が付いているというか。
よくは分からないが。
皆は喰沼の直感を信じている。
「お前の直感は信じるに値するから、許すけど。ああゆう状態だったら」
「戦うか」
折神は無謀の戦いであると客観的に感じている。無謀にも戦いをして、返り討ちになるなんてざらだ、俺達よりも強い奴はいっぱいいる。無謀と勇気ははき違えたらダメだと感じている。
「いや、逃げた方がいい」
日比谷も実力不足なのを分かっている。これは冷静な状況であるために分かりえた答えなのである。
怒っている最中は、こんな冷静な答えは出せないでいる。
ワクドナルドで注文をし。会計は桜見からカツアゲした金を使う。ワクドナルドのセットを四人分頼んだ。
「頭に血が上って考えれなかった」
素直に日比谷が謝辞を入れる。
「お前らありがとう」
少しむずかゆい気持ちである。
「まあ、お前の強さを見くびっているわけではない」
喰沼は話している。
「ただ、あのばばあの強さの方が上だよ」
折神が言葉を添える。
「何かの達人か」
海崎は言葉を発する。
「いや、警察じゃね」
折神は冷静に言葉を発する。
「俺ら捕まるの」
不安そうに問いかける、海崎がいる。
「さあ」
ワクドナルドのポテトを食べながら話している。
「そうなったらそこまでじゃん」
喰沼は割り切った様子で話している。
「僕と取引をしないか。そして、四人を殺せばいいよ」
「そうだ、あいつらを殺そう」
塁はこの言葉で世界を放り投げた。要するに逃げたのだ。安易な方法へ。
「はい、憎悪頂きました」
ハーメルンが耳でささやくのを止める。
(花園の時は上手くいかなかったが桜美はちょろいな。あんなにも、花園は、耐えていたのに)
(友達のためか。信念のある奴は厄介だ)とハーメルンは思う。
「わーーーーー」
桜見は、奇声を上げて、頭を押さえながら膝を地面につき体を丸くしていく。体の上半身から黒い憎悪の根源という、大きな目の一つ目の憎悪が出てくる。
真っ赤な目である。
「やあ、僕のかわいい憎悪ちゃん」
ハーメルンは、見た目は小学生くらいの身長で、ピエロっぽい帽子を被り、笛を吹きながら現れる。
「じゃあ、相方は、何処かな、何処かな」
手で双眼鏡のようにしてあたりを見ている。
手で双眼鏡を覗くと半径百㎞ほど先が見える。
「あっいた」
と言い。上半身の憎悪を蹴り飛ばし。今まさに、器になる男に、憎悪を入れこまれた。その男性は不敵な笑みを上げていた。これから、悲惨な惨劇がくりひろがれるということは、ハーメルン以外はまだ、知る人はいなかった。
場面は切り替わり夕方のゲームセンターにて
ゲームセンターでグンダムの格闘ゲームを二対二の対戦のゲームをしている。対戦の組は喰沼と折神は同じチーム、日比谷と海崎は同じチームで勝負をしている。
「やりすぎたかな、今回の」
海崎は、おもむろにゲームをしながら不安そうに言い始める。グンダムのゲームで、優位性を保っている海崎は、ゲームを操作しながら問いかける。
「えっ」
三人はゲームをしながら驚いている。
「何、あいつらに同情してるの」
喰沼は馬鹿にするように言い放つ。これは、決して馬鹿にしたのではなく。自分の中に同情心も悪いことをした自覚がある。だから、自分自身がそういう風に保っていないと自分が自分でなくなってしまうからである。
「マジで」
折神は言葉をただ、相槌のように言い放つだけだった。
「何、びびってるんだ」
折神は、おちょくるように言葉を発している。
「違う」
「びびってない」
「ただ、同情しているんだ。血を吐いてたじゃん、あいつら」
海崎は二人に対して同情をしていた。出た言葉と裏腹なのは、折神におちょくられたことが起因しているためだ。
「そうだね」
喰沼はただ無意識に海崎の話を肯定してしまった。しかし、自分の中で二人にしたことはどうでもいいことで、酸素を吸っているのと同じように、いじめている。喰沼は、いじめられるほうが悪いという風な思想で凝り固まっている。
「最初の奴は黙って殴られてたけど。もう一人はひどかったね」
喰沼は少し後悔しているのではなく、面白いか面白くないかで、自分の考えを推し進めるところがある。
「後から考えるとさ、やりすぎだったって考えてしまってさ」
海崎は肯定してくれる喰沼に対して言葉を投げかけた。
「いいじゃん、これくらい」
日比谷は簡単にその場の空気を変える、一言を言い放った。この言葉は絶大な言葉である。
はたから見ている分はどうでもいいという感じも醸し出すくらいの他人事である。
「そうだよ」
「向こうはそのために生まれてきたんだから」
喰沼は日比谷の味方であるということをはっきりと意見する。
だからこそ、肯定したのだ。
いじめられるほうが悪いと。
「何その人生論」
折神が茶々を入れた。
「超うける」
少し不機嫌になる喰沼であった。
「いやさ」
「あの時を思い出さない」
この言葉を言い始める前に喰沼と折神のチームの勝ちが決まった。納得がいかない日比谷は、もう一回戦ということをコインを入れる態度で示す。それにつられて、海崎もコインを入れる。
「なにそれ」
日比谷はゲームで機体を選びながら無意識に言い放つ。
「あったじゃん」
なぜ、日比谷がピンとこないかが不思議であるかのように話している。
「何が」
日比谷はまだ分からずにいる。
「ああ、あのちびの時ね」
海崎は思いついたように話し出した。
「ああ、あった」
日比谷は、ようやく思い出せたようで三人はほっとする。
これをほっとするようなことではないのだけれど。
この四人の関係が崩れてしまうなら日比谷のせいだと言わんばかりに喰沼と折神は顔を見た感じを覚える。ついでに、海崎にも顔を見た感じで、良かったねと言いたいくらいだ。
「他の奴、見捨てて逃げて」
「次の日、ぼこぼこにした」
三人にはイメージが共有できるくらいに鮮明に映っているが、日比谷には鮮明にそこまで、映っているのだろうかと不安さえ覚えるほどである。
「あいつね」
「泣きながら金渡してきたよな」
三人が日比谷の言葉に安堵した。ようやく思い出したか。
「そいつは、大学生の兄貴呼んでさ、四対二十ってあったよな」
今までの武勇伝のごとく話しているが。本当に武勇伝であるために無視は出来ないでいる。
「あった、あの時、超びびった」
折神がゲームで負けているが、ゲームよりその話を話したがっている風に見える。
「日比谷がいなかったら死んでたな」
海崎は日比谷を見ながら言う。
「あのちび、自分じゃ何もできないくせに威張ってさ」
「うざかったよね」
日比谷はゲームでまた、負けて今度はリトライせずに少し不貞腐れて話の続きを話す。この負けの時に、あのちびのうざさを思い出せるくらいに鮮明な記憶が蘇ってきた。
「うざかった」
海崎はようやくゲームにリトライせずに済んで喰沼と折神側に行ってゲームをしている喰沼と折神の画面を見ながら話している。
「その兄貴たちも、調子に乗って仲間の前で俺らをしめるって言いだしてさ」
喰沼は笑い話のように話しているが、決して笑い話ではない。そこが少しずれている。
しかし、そんなことはお構いなしと話を続ける。
「数の利が自分たちにあるって調子に乗ってさ」
「あった。あった。あれはひどかった」
海崎が相槌を打つ。
「でも、勝ったよね」
折神は。決め顔で言い放つ。周りの奴が何を言おうとここだけは決め顔で言うとでも決めているのだろうか。
「それは本当に日比谷のおかげだよな」
海崎は日比谷の肩に手を乗せてゲームを見ている。
「お前って、守るべき者がいて強さを発揮するよな」
喰沼は普段、ちゃらちゃらしているが、人のことは良く見えている。特技と言っていいくらいのことだ。
この前も喰沼は、折神の計算能力の高さがあるとわかっていた。いつでも、カツアゲをするのではなく、折神がある程度作戦を立てている。なぜ、作戦を立てるようになったかというと、 話に出ているように、ちびの件があったからだ。
作戦を立てるのは折神がいいと推薦したのも喰沼だった。
こういうことにかけては折神が適任であると前から分かっていた。
喰沼はそういったこの四人での会話が好きだ。
「そうそう」
海崎は言い放つ。
「この中で一番弱い、海崎はすぐへばったけどさ」
「笑い話だよな、こんなこと」
海崎は馬鹿にされているがいつものことだと少し怒り気味で言うかと思うと、それをネタにし始めている。
そういう所は海崎のいい所であり、おおらかである。
この四人の中で一番しっかりとしている。
「言い分を言いますと、弱いわけではなく、体を使うより頭を使う仕事の方が、自分に合ってるんです」
海崎は。弁明にはならないが、言わないよりましだと思って言葉を選びつつ話している。
「それを弱いっていうんじゃない」
折神はネタにしてきた。ゲームは終了する。
「それを守るお前はもっと凄かった」
「男ながら惚れ直すぐらいのことだぜ」
喰沼の勝算の匙である。
日比谷は「お前ら男にそんなこと言われて誰が嬉しんだよ。自分の身くらい自分で守れよ」
日比谷は仲間内の会話がどうしても俺の評価を上げようとしているのに少し照れを覚える。
そういうタイプではない。だからこそ持ち上げると面白いのではないかという仲間内でのことである。
案外こういうことは本気にするタイプであるために、何かあったら真っ先に殴りかかる。先日の小桜とのいざこざについても、一番に自分から飛び込むタイプだ。
「嬉しい癖に、照屋さん」
海崎がからかっている。
「あぁあん」
少しその言葉には違和感を覚えて小ばかにしているから少し脅すように声を出す。
「ごめんごめん」
「きれるなって」
怒っている日比谷を見て焦っている。
「お前らだから助けたんだ」
怒っているのは冗談だと言わんばかりに、真に訴えるような仲間思いの言葉を発する。
「でも、凄いよな」
海崎は話を続ける。
「大学生の奴らお前見てびびっていたもんな」
「また、ああゆうバトルあったら」
「今度は自分で倒してやる」
少しお調子者の海崎は決意を固める。
しかし、実力差では、圧倒的に弱い。だからこそ強い日比谷に憧れを持っている。
この三人の中で日比谷に対してだけは本音を言っている節がある。
それこそが信頼関係である。その信頼関係は、不幸なのか分からないが保ったままでいる。
「いい意気込みだ」
喰沼は歩きながら話している。
「俺はパス」
日比谷は本当に空気を読むことをしない。自分の考えが正しいと思っている。
多少は悪いことをしている。これは、自分の中でのジャッジである。
だから、法に触れることでも自分の中の法が良ければそれでいいという、少しわがままな考え方を持っている人物である。
「あんな人殴るだけの戦いに何が意味あるんだよ」
日比谷は基本的には温厚タイプであるが。仲間の為になると人が変わる節がある。
「俺も」
折神も日比谷側の考え方である。つまり、穏健派である。
「何言っているんだ、一番強いお前が」
喰沼は単純に人を殴ることに対して他の人よりは抵抗がない、なぜなら、幼少期に虐待を受けて、父親が逮捕された。そんな過去がある。
母親と二人暮らしである。そのため、金には正直困っている。だからこそ、ATM達を作り、遊ぶ金欲しさにカツアゲをしている。
「俺は、好きで人を殴ってるわけじゃないんだぞ。お前らを守るときしか、この拳は使わないんだ」
この言葉で分かるように日比谷はイケメンである。
この仲間思いを、桜美にも見してやりたい。でも、桜美には桜美のいい所がある。全部を否定するのではなく自分の長所をもっと磨いた方がいいと思う人も存在する。
自分は自分、人は人、その中でも忘れてはいけないことは倫理観である。
「おう、痺れるね」
「そのセリフ」
折神は考えずに言葉がでた。日比谷の言葉に反射するように。
「ははははっははあああああ」
全員が笑っている。そうこうしている間に、いきつけのワクドナルドに着いた。
「それよりさ、あのおばさんうざくねえ」
話をしながらワクドナルドの列に並んだ。海崎は席取りに行っている。
「イラつくね、ああいう奴」
折神は、ばばあに対して怒っているが、内心ビビッていた。それを悟られたくなくて、言葉を発している。
「そうだな」
「それによ、なんで俺を止めたんだ」
日比谷は、おばさんの強さの秘密が知りたいと考えるようになった。
「でも、俺の直感が逃げろって、言ってたからな」
この喰沼の直感は皆が知っているように鋭い。
分析能力に秀でているというべきか、それとも、神のご加護が付いているというか。
よくは分からないが。
皆は喰沼の直感を信じている。
「お前の直感は信じるに値するから、許すけど。ああゆう状態だったら」
「戦うか」
折神は無謀の戦いであると客観的に感じている。無謀にも戦いをして、返り討ちになるなんてざらだ、俺達よりも強い奴はいっぱいいる。無謀と勇気ははき違えたらダメだと感じている。
「いや、逃げた方がいい」
日比谷も実力不足なのを分かっている。これは冷静な状況であるために分かりえた答えなのである。
怒っている最中は、こんな冷静な答えは出せないでいる。
ワクドナルドで注文をし。会計は桜見からカツアゲした金を使う。ワクドナルドのセットを四人分頼んだ。
「頭に血が上って考えれなかった」
素直に日比谷が謝辞を入れる。
「お前らありがとう」
少しむずかゆい気持ちである。
「まあ、お前の強さを見くびっているわけではない」
喰沼は話している。
「ただ、あのばばあの強さの方が上だよ」
折神が言葉を添える。
「何かの達人か」
海崎は言葉を発する。
「いや、警察じゃね」
折神は冷静に言葉を発する。
「俺ら捕まるの」
不安そうに問いかける、海崎がいる。
「さあ」
ワクドナルドのポテトを食べながら話している。
「そうなったらそこまでじゃん」
喰沼は割り切った様子で話している。
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