①三人の天秤~二人だけの友達~

落雷リョウ

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⑰願いと現実

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日比谷薫が変わった小学校の過去の回想


 そうだ、いつからだろう、あの時だ。

 子供のころいじめられている人がいてヒーローになりたかった僕は、いじめられている人を助けた。
 でも、今度は、僕がいじめられるようになった。

 腕っぷしは昔から強かった。

 だから、怖くて直接は何もしてこなかったが、無視を教室全体でされた。俺は当時、シングルマザーで金がなかった。

 向こうは、どこかの市の議員の息子でいつも周りには、人がいた。珍しいものを持って来ては、見せびらかせていた。

 いつだろう、そういった類の連中は。学校に珍しい高価なものを持ってきて取られたと嘘をいい、貧乏なお前のせいだと決めつけた。しかし、先生は学級会を開き誰がそのものを取ったか議題に上げた。案の定、盗まれてはいなかった。

 そいつらの嘘だった。周りの奴もそいつらを嘘つきという風な目で見ていた。

 それが、彼らに火をつけた。今度は、誰かの者を盗み、僕の鞄に入れた。僕は神に誓ってやってないと宣言した。

 しかし、物的証拠があり、犯人扱いをされた、別に無視するような奴らに信じてもらわなくても結構だが、親が学校に呼ばれた。

 それが、許せなかった。

 犯人はあいつらだと分かっていた。
 だから、次の日、学校であいつらをぼこぼこにした。二度と歯向かわないように。しかし、これもまた親を呼ばれた。悔しかった。

 今考えるとこの時にすでに、自分の中の価値基準が変わってきたのかもしれない。

 自分の正義ではなく。誰かのため、それは、善や悪といった類の考えではない。

 そして、保健室登校になった。だが、ほとんど学校には行ってない気がする。

 中学は、先生の計らいでそいつらと別の中学へ行った。そこで、自分の人生を変える出会いがあった。
 それが、喰沼貴志や折神啓太や海崎千太といった仲間の出会いだった。それは突然だった。
 目つきが悪いということで、校舎裏に呼び出されて、五対一で喧嘩をした。俺は負けなかった。勝ってしまったのだ。
 これも、一つの才能だと後で、折神に言われた。

 俺に才能がある。
 欲しくもない才能だ。

 でも、これで、守れるものもあるということは事実であり喜ばしいことでもある。
 それを見ていた折神が俺の強さを絶賛してくれた。
 ここから、俺は完全に正義という言葉を失くした。
 こいつらは正義を持ち合わせていない。しかし、仲間という概念は持っている。
 俺の悪評を聞きつけて色んな奴らと戦った。

 その傍らには喰沼と折神がいた。三人ですべてを蹴散らしてきた。三人でいると心が落ち着く。これが、人といるときに感じる違和感ではなく素直にそこに人がいると感じる。

 温かみという感情だった。

 しかし、仲間同士で喧嘩をした、大きな喧嘩を何回かしたが、新しく入った海崎がいい緩衝材になり。俺らの関係は続く。

 そのころには自分の子供のころの正義心つまり、ヒーローになりたいという夢は無くなった。
 それを覆すように、弱いものからも搾取するようになる。
 今までは強いものを倒していた。高校に入り、遊ぶ金が欲しくなった。

 だから、手っ取り早く弱いものからカツアゲをした。

 金が欲しいという欲求だけが強くなった。そのころから自分でも、分らなくなった。人の痛みに鈍感になり。
 自分達だけの世界になっていた。自分達は正しい、他が間違っていると。

 弱い者の立場に立てなく、歯向かうなら容赦はしなかった。

 つまり、大人になったのだ。

 ヒーロー何て子供の夢だ。現実を直視できていない存在だ。
 悪いことをしてでも、生き残らないといけない。それが現実である。そのころは、まだ、分っていない。それが、大人になるということだ。

 でも、小学校の頃が、一番楽しかった。悪い奴から皆を救うんだと張り切っていた。


日比谷の人生を変えた過去の回想終わり


自分の中の憎悪の続き
(いつからだろう。他人の痛みが分からなくなったのは)
(どうしてだろ、平然と他者を踏みにじる行為ができるようになってしまったのは)
(ごめん)
 日比谷は、泣きながら桜美と花園もこんな気持ちだったんだ。と泣きながら自分のしてきたことを心の底から悔いている。

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