①三人の天秤~二人だけの友達~

落雷リョウ

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⑲死神編

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死神の過去の回想


 ここは、平安時代の後期、まだ、文字という文化を知りえた時代である。

「はら、酒を持って来いよ。酒だよ、酒」
 酒の瓶を子供に投げつけた。子供は美味く酒瓶を避けた。それが気に入らなかったのか、子供に顔を向けずに反対を向きあぐらをかく。

「とおちゃん、お金がないんだよ」
 子供はとおちゃんの後ろから言葉を出した。

「はあ」
「じゃ、お前が金を作ってこい。盗んできてもいいぞ」

「あっははははは」

 子供はそんなことを言われてもじっとその場で待っている。
「俺はなお前のとおちゃんなんだぞ」

「いいから、酒持ってこい」
 ふて寝をする子供のように、とおちゃんは寝てしまった。

 その場を離れて子供は酒を探そうとしている。
 そうだ、いつもそうだ、俺のとおちゃんはこういう人だった。

 そして、俺の目の前で子供がこけた。

「おい、小太郎大丈夫か」

「大丈夫」

 こけた、そして、父親は息子の小太郎に近寄る。
 ああ、いいな。ああいうとおちゃんは。
 俺のとおちゃんは、俺をどんなふうに思っているんだろうか。
 俺がもし、殴られていたらとめに来てくれるだろうか。
 俺は、どうしたらいいのか。
 そう考えながら川岸のいつもの木の前に来た。

「よお、太郎」
 木から体をのぞかせる、俺の友達の正。

「何だよ、何難しい顔をしてるんだ」

 正は太郎を心配している。何故かって友達だからだ。友達なのか、俺達は盃を飲みあった中だ、だから、兄弟分になるのでは、そうかそうすると、俺が兄貴分か、そうか、それはいい、しかし、正も兄貴分を狙っているのかもしれない。正の前では絶対に兄貴分であるという自覚を持ち頑張らなくては、兄貴分の名が廃るってもんだ。そんな心配が正にも伝わったのか、今日は一段と俺を心配してくれる。

「何だっていいだろ」
 太郎は正の心配の言葉を投げ捨てた。

「それより美味しい話ないのかよ」

 いつも、正が持ってくる話はやばい奴も多いいが。割はいいんだ。だから、太郎は正を重宝している。今、さっき兄弟分で俺が兄貴分でしっかりしなくてはと考えたばかりなのに、正に頼ってしまう。なんと恥ずかしい兄貴分の太郎。とまあ、言われても仕方ないと自分の中で自己完結をしてしまう。恥ずかしい。

「おっと」
 正が大げさに体と言葉を動かし言葉を出した。

「何だよ、もったいぶって」
 太郎は、早くいえと言わんばかりに正の顔を凝視している。

「これは、紙です。ただの紙じゃね」
 そう言って正は紙を太郎に向けた。

「ここ見て見な」
 そこに書かれているワードが視界に入って来た。それは。

「兵士を募集」
 太郎はびっくりして、目が飛び出しそうになる。

「そうだ、俺らが兵士になるんだ」
 正は俺達が生まれてきた理由が兵士になるためのごとく言い切った。でも、太郎は俺達の強さが頭をよぎり、次の言葉が出た。

「俺ら弱いじゃん」
 太郎は自分達の強さを分かっている。本当に俺達は弱いのだ。

「だから、師匠を探すんだ」
 目を輝かせている正には悪いけど、俺はそんなに乗り気ではないということを伝えたいが、伝わらないようなので、正が納得する方法で、兵士募集をあきらめてもらおうと考えた。だから、この言葉を出した。

「どこにいるのさ」

 まるで、師匠がいれば俺達は強くなり、兵士として立派に生涯を終えれるかの如く、正は俺に話している。嫌、むしろ俺の考えが分かったうえで説得して来ているのか。流石、策士の正だ。今、俺がつけたあだ名だ。いつか言ってみよう。じゃなくて。

「あの丘の上に境内があるだろ、そこに住み着いてるんだ、妖術っていう力を使うんだ」
 正はどこから情報を仕入れてくるんだ。こいつはやっぱり凄いのかもしれない。でも、兄貴分の座は俺が貰う。

「ほんとかよ」
 正は太郎の顔色から信じていないなと読み取った。

「信じてないな」

「じゃ、証拠見せろよ」
 妖術ってなんだよと思いながら怪しい正の言動が太郎を真面目にさせた。きっと正は悪い夢でも見たんだ。そうに違いない、だって、妖術だぞ。そんなことあるわけが無い。本当に正は大げさだ。

「今晩、俺らがその男を打ち取りに行く」
 正は今夜の行動を太郎に話し、まるで、大蛇でも狩りに行こうとするばかりの気迫である。

「どうして」
 太郎は意図を掴めたが一応言葉で聞いておきたくて言葉を出した。

「強いかどうかを見るためさ」

「強くなって、兵士になる。そして、武勲をたてるのさ」
 一様俺もその気になった。やっぱり男に生まれたんだから、強くならないとな。正の説得?まあ、耳だけは貸してやるよという感じだ。

「なんかやる気出てきた」
 正は一人テンションが上がっている。それを見て、まあ、俺は正とは違って兄貴分だから俺は騒がないけどねと思っている。実は一緒に騒ぎたいくせにと。正に思われていたらどうしよう。さあ、話でも変えるか。

「それより、今日の獲物はどこだい」

「あそこさ」
 すでに人だかりができている。

「さあ見てらっしゃい見てらっしゃい」

「今日は凄いものが入って来てるよ」
 露店が出ており、木で作られた。箱の上に小さい箱が並べられている。

「この薬草がなんと切り傷に効くって話だ」
 周りにいる人だかりは色々な顔をしている。その中でもたいがいの人は商品を不思議に思っている。

「それは、そのはず、外国からの荷物を買い取った、それは、それは、高い徳を兼ね備えたお坊さんが、皆に配るそうだ。ただ、そのお坊さんは自分の寺を修繕する金がないときた。だから、俺達がそのお坊さんの代わりに売りさばくって話だ」

 露天商の話をしている男の人はなぜか不敵な笑みを見せる。

「その薬、本物かい」
 一人の男が言葉を投げかけた。

「じゃ、証拠を見せましょう」
 刀を懐から取り出し。

「自分の腕を刀で切った」

「血が出てる」

 周りにいる人たちは血が出たことに反応し少し青ざめている。だが、露天商の男は何も気にする様子はなく。大きな箱の上にある小さな箱を取り。

「そして、この薬、すっと傷口を塗った」

「ほれ、この通り」
 血が瞬くまに消えていった。この場にいる人みんなが口を開けたまま固まっている。

「それ、どうした、三百個限定だ」
 誰も買おうとはせずに驚きが勝って固まっていたが、太郎と正の言葉で皆は現実に引き戻されることになる。

「俺に売ってくれよ」
 太郎と正が言葉を出した。

「さあ、さあ、他の人はいいのかい」

「俺に二個売ってくれ」
 周りの人は自分が我先に買おうと喧嘩になっている。

「私も」
「さあさあ、他の人はいいのかい」



時は少し進み



「やったな」
 露天商の主人が太郎と正と話している。何を話しているかってそれは、ビジネス。

「やりました」

「おい、ぼうずどもこれが今日の謝礼だ」
 つまり、太郎と正が薬を皆に買わせることが目的だった。二束三文の油をこんなに大金にしてしまう。露天商だけなら売れなかった薬を最初に太郎たちに買わせることで周りの目も変わり、我先に薬を買わせることが出来た。
 
 太郎は思う。まあ、嘘は言ってないよな。傷に効くのはそうだし、お寺もね、なんだかんだ言って賽銭はするから。修繕費に使われるし。俺らは間違ってないよな。
 
「ありがとうございます」
 太郎も正も金をしっかりと貰った。

「次もよろしくな」

「ヘイ」

 二人は露天商の男を見送り、各々の家に帰っていく。
 これで、とおちゃんは喜ぶ。酒でも買って帰るかな。

「とおちゃん、酒買ってきたよ」
 入る前からよくない予感がしいていた。何故か、扉が壊されていたからだ。これは、不味いかもと言葉を出してから気づいた。

「ああん、お前は誰だ」

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