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しおりを挟むふたりの唇が僅かに離れた隙に、ミサは顔をそむけて抗った。
「メル、さ……っ」
長く口付けられていたせいで、うまく呼吸が出来ない。
メルウィンはそんなミサを見ながら、いつもの調子で訊いた。
「おや、どうしたんだい」
わかっているに決まっているのに、彼は涼しい顔で尋ねてくる。
悔しい気持ちがないと言えば嘘になったが、しかし、ベッドの上でメルウィンに勝てるわけもない。
ミサは正直に、自身の欲求をくちにした。
「他のところも、触ってください……っ」
「他のところって?」
相変わらずの穏やかな声調で、彼はしらばくれる。
いつもはミサやラックに言われ放題なのに、こういうときばかり意地悪なのだ。おまけに態度は優しげなので、いっそうタチが悪い。
羞恥心が、ミサをためらわせた。
が、すぐに耐えきれなくなって、自らの衣服の裾をおずおずとまくり上げる。
服と共に下着もずらし、乳房をあらわにした。
早くも赤く尖っている自身の胸に、ミサは目が眩む。
まだ触れられてもいないのに、もう己の体は快楽を待ちきれなくて変化しているのだ。
口付けだけでこんなふうになってしまう肉体がどうしようもなく恥ずかしく、おまけにその羞恥心すら高揚の材料になっていることを自覚すると、もうどうにかなってしまうそうである。
メルウィンがミサの体を見て、嬉しそうに笑みを深めた。こんな状況でなければ、腹立たしさに殴っていた顔である。
「あれぇ、ミサちゃん。ここ、もうこんなになってるよ。どうしたの?」
「あッ……」
彼の指先が、まるで木の実をつまむほどの気軽さでミサの突起をつまんだ。
すでに過敏になっているそこは、たったそれだけの刺激でもジンジンと疼いてしまう。
なのに、メルウィンはその尖りを指の腹で挟みながら転がし始めた。
指にこねられるたびに、直接的な快感がミサを襲う。
「ふァッ、あっ、ァ……!」
淫らな声が、ひとりでに零れた。こんな声、家族や友人にはとても聞かせられない。
「ほら、どうしてこんなふうになってるのか、言ってごらん」
「言、えな――ッんあぁ……」
「え~、言えないの? 言えないなら、やめちゃおうかなぁ」
すると、メルウィンは本当に胸から手を離してしまった。
せっかく与えられた愉悦が失われ、ミサは思わず物足りなさげな声を漏らしてしまう。
メルウィンの表情は、忌々しくなるほど楽しげだ。
おそらく、彼の望む言葉をくちにしない限り、本当にこのままなのだろう。
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