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しおりを挟む舌の上で彼の脈動を感じると、妙な一体感を覚えた。己と彼の境界線が、曖昧になっていく感覚。
この、くちの中にあるものが、先程まで乃亜を虐めていたのである。そして――乃亜にセックスというものを教えてくれた。
上目遣いでヴィクトールを窺えば、彼は眉間にしわを刻んで耐える面差しをしながら、小さく笑って乃亜の頭を撫でる。
そんな優しさにまた嬉しくなって、乃亜は懸命に昂りを刺激した。
不意に、ヴィクトールが言う。
「胸を使って出来るか?」
戸惑いつつも、乃亜はいったん陰茎をくちから出すと、乳房を自身の手で持ち上げてみる。
これを、どうするのだろう。挟めばいい、ということだろうか。
疑問に思いつつも行動に移し、相手をちらりと見やると、彼は「そうだ」と乃亜の行動に頷く。
どうやら、怒張を乳房で挟んで動かし、摩擦を生み出すものらしい。
昂った陰部を胸で挟んだまま、乃亜はおそるおそる上半身を動かしてみる。
どくどくと脈打つ熱いそれが、胸のあいだで擦れた。初めての感覚に、乃亜は自身の体温が上昇したのを自覚する。
どうしてかは自分でもよくわからない。が、不思議と、羞恥心が煽られた。その恥じらいが、また乃亜の秘所を潤していく。
ヴィクトールに気持ちよくなってもらいたくてしていることなのに、このままでは乃亜のほうが感じてしまいそうだった。
自らの感情を抑えて、乃亜は律動し、奉仕をする。
動くたびに、胸の谷間から屹立が見え隠れした。そんな光景がまた淫らで、乃亜は顔が熱くなる。
いやらしいことをしている、という実感があった。性的な経験が豊富なわけでもないのに、森の一郭で、とんでもなくふしだらな真似をしている。そうして、愛液を滴らせている。
恥ずかしいのに、その羞恥心に煽られてしまうのは、どうしてなのか。
恥じらいながらも、淫猥なおこないに興味をいだいてしまうのは、どうしてなのか。
乃亜の中のなにかが、着実に衝き動かされている。
質量を増していく男根の先端から粘液がにじみ、乃亜の谷間を濡らしていった。
それが滑りをよくするせいで、奉仕の動作はいっそう激しく、淫猥になる。
己の胸が、彼の体液に濡れていく。それを意識すると、頭の奥で小さなストッパーが外れた。
唇をひらいた乃亜は舌を出し、その舌先を――ヴィクトールの昂りの先端に這わせる。
舐めた瞬間、乳房のあいだで怒張が脈を打ったのがわかった。
速まる乃亜の心臓の鼓動と、熱の塊の脈動が、肌を隔てて共鳴する。きっとこの距離感と感覚は、情交でないと得られないものだろう。
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