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しおりを挟む眼下の秋人は、肩で大きく呼吸をしながら、まだ絶頂の余韻で微かに震えていた。両目の焦点は曖昧である。
彼の中から性器を抜くのがなんだかもったいないような気がして、悠也はしばらくそのままの体勢でいやらしい友人の姿を見つめていた。
そうして、何分かしてから、ようやく秋人が息絶え絶えにくちをひらく。
「……どうだい。脱童貞の感想は」
声はかすれ、双眸も未だ宙を向いていた。
悠也は答える。
「……お前がエロかった」
「そういうことじゃなくて。自分のことだよ」
「気持ちよかった」
「……そう。それはよかった」
返すと、重そうな体を動かして、秋人は自ら悠也の男根を抜いた。
中からは、大量の精液がどろりと溢れてきた。
「……出しすぎでしょ」
「お前はイきすぎだったと思うぞ」
秋人が悠也の頭を軽く引っぱたく。
「そういうところがデリカシー不足なんだよ」
「でも、本当のことだぞ」
再びペシリと叩かれた。今度はひたいだったので、小気味のいい音が響いた。
少し考えて、悠也は相手に尋ねる。
「……なぁ、お前さ。ずいぶん慣れてたけど……男とも付き合ったこと、あるのか?」
「……まぁ、ちょっとね」
「……ふーん」
「……なに」
「いや……」
短く返して、友人を見つめた。そうして、行為中の秋人の表情を思い出す。
もしさぁ――と、悠也は継いだ。
「……もし、俺がお前と付き合ったら、お前もう他の男とこういうこと……しないか?」
「……なにが言いたいんだい」
「俺、秋人が他の男とこういうことすんの、なんか嫌だ」
「嫌だって……」
「俺じゃダメか?」
この問い掛けに、秋人は目を丸くした。
そして、珍しくも答えに困ったふうな様子で、目を泳がせる。
「……だ、ダメってわけじゃ、ないけど……」
「じゃあ、俺と付き合ってくれ。んで、俺と付き合ってるあいだは、他のやつとこういうことはしないでくれ」
秋人は僅かに視線を彷徨わせてから、少しばかり上目遣いに悠也を見た。
「……言っておくけど、さすがに恋人がいるのに浮気したりはしないよ、僕」
「そうなのか。じゃあ安心だ。なぁ、俺と付き合ってくれ」
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