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第一章 ダンジョンコアを手に入れました!?
第9話 匂いは音で買う
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ヒナを肩車してルーナと町の雑貨屋や生活用品、食料品店などを案内してもらう。
怪我がある程度治って散歩をした時にも思ったが、中世のヨーロッパ的な文化度にしては町並みは綺麗だった。
魔法やスキルがある分、科学的には発展していなくてもそれ以外で全く別の文明を築いている可能性だってあるしね。
俺はライトノベルを嗜んでいるのでこの街並みが普通と思う反面、実際の中世ヨーロッパのことも調べていたので、もっとゴミや汚物が道に散らばっている可能性も考えていた。
大通りは綺麗でも小道にそれればそうではないと言った可能性だ。
しかし、ルーナに案内された場所は通りを含めてすべて綺麗で清潔だった。
まあトイレだけは、ボットンというよりはオマルを大きく深くしたようなもので、致した後にナンナさんがいずれ処理をしてくれると知った時は衝撃を受けた。
俺は羞恥心が物凄かったが、この世界でそういった処理は普通であるらしく、ナンナさん、もっと言えばルーナですら気にしている気配さえなかったのだ。
年齢的に俺のモノが女子高生に運ばれて処理されるとかどうなのよ。
あの時は羞恥に耐えて、ナンナさんとルーナに申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、逆に俺が処理をしていればよかったのでは?
女子高生の……いやこれはこれ以上考えてはダメな案件だった。
「まあトイレは日本でさえ下水道がまともに整備をされ始めたのは昭和頃からだしな……」
下水自体は奈良時代ごろからあったとはいえ、広く水洗トイレが使われるようになったのは昭和からだったりする。
なんなら現代日本でも田舎ではボットン式というのはまだまだ多いのだ。
俺がホームセンターで働いている時にも、夢は自給自足の田舎生活と言う都会人も多かったのだが、トイレ事情を聞いて結局は諦める人も多かった。
都会人は水洗に慣れているからボットンは無理だよね。
また水洗であっても和式ということも珍しくなく、足腰がある程度は鍛えられていないと踏ん張ることすら難しかったりということもある。
「キョウジ、トイレにでも行きたいの? ここから近い共同トイレは……」
「あ、違う違う。下水道は整備されてないのかなってね」
「下水道……。王都ならそういう話も聞いた気はするけど、ここにはないわね」
俺はそうなると自分より前に転移して来ている人たちはそういう所に手をつけていないのだろうか? と考える。
しかし、自分の前に送られた100人が何時此処へ送られたのかということまでは聞いていなかった事を思い出し、意外と最近……1年前だったりとかもあるのかもしれないと結論づけた。
「そう言えばルーナ。明日は一緒にクエストでも受けに行くか?」
「もちろん! でもクエストを受けるのは初めてだから、今日みたいに案内をしたりはできないわよ?」
「ああ、俺も初めてだし最初は誰でもそうだろ。とりあえずは簡単なものを受けて見よう。怪我の治療とその間の生活費も返さないといけないからな」
「それは気にしなくて良いのに」
ナンナさんやルーナは、ポーション代や怪我治療の看病や滞在費を払う必要はないと言うが、さすがにそういうわけにもいかないだろう。
「ヒナは? ヒナもぉー!」
俺とルーナが明日の活動のことを話していると、ヒナが自分も行くと駄々をこねて肩の上で俺の髪を引っ張る。
「いてて、痛い痛い。抜ける。男はある程度の年齢を重ねると髪の毛のことが物凄く気になるから! 抜いたらダメだから!」
「じゃあつれていってくれりゅ?」
俺はヒナを肩車したまま無言でクルクルと回転をし始めると、時々膝を曲げたりして遊園地の何かのアトラクションのような動きをする。
「きゃっきゃっ たのちー!」
「ヒナはナンナさんを護衛してもらわないとダメだからなー。家を守る騎士さまだ」
「ヒナがきちー? じゃあおかーしゃんごえいすりゅ!」
「ヒナは偉いな~。 そーれ!」
「えへへ。わーい!」
俺はヒナが一緒にクエストをすると言うのをなんとか諦めさせると、少しの間ヒナの機嫌を取るために一緒に遊ぶ。
「まったくヒナは! キョウジに迷惑をかけたらだめでしょう?」
「え~。そんなことないもーん。にいにヒナおなかすいた!」
俺たちは朝から冒険者ギルドへと行きその後町を見て回っていたのだが、広場にある時計塔を見ると既にお昼を過ぎていた。
時計塔では近くで時計を見られない人のためにも、朝6時と9時、昼の12時と15時、夜の18時と21時には鐘がなって時刻が分かるようになっているのだが、どうやら遊びに熱中していて音が聞こえていなかったようだ。
「んー、ルーナ。昼飯はどこで食べられる?」
「うーん。ここは広場に近いからそこで出ている屋台にでもする?」
「お、良いな。行こう」
俺はそう言うと、時計塔のある広場へと向かう。
そこは昼時とあって人が多く、いくつかの屋台が軒を連ねていた。
「ヒナは何が食べたい?」
「うーん。すーぷ!」
俺はヒナの要望を聞いて、スープを買った。
「にぃに、あそこですわってたべよー。あそこならにおいでにばいおいちいの」
俺は匂いで二倍美味しい? というヒナの発言の意味がわからず、ヒナが指をさした所へとりあえず向かうと、そこでは何の肉かはわからないが、肉を焼いたおいしそうな匂いが漂っていた。
「なんだ? あの肉串も食べたいのか? なら買ってくる」
俺はヒナが屋台で焼かれている肉串も食べたいのかと思って買いに行こうとするが……、
「ちがうのー。そこまでおなかはへってにゃいからにおいをたのちむの」
なるほど。
食べる量はいらないが、匂いで一品増えたような感じなのかな。
「ルーナはどうだ?」
ヒナには断られたが、野菜や多少の肉が入っているスープとは言え、若い子には足りないだろうと思い、俺はルーナに肉串がいるかを聞いた。
「んー、今日は特に動いてないからなー。このスープもけっこうボリュームがあるからいらないかな」
遠慮して断っている風でもなくルーナにもいらないと言われたので、俺はそれなら買わなくて良いかと肉串の屋台近くのベンチに腰を下ろし、ヒナも座らせて昼食をとることにした。
「スープに入っている肉は良く煮込んであるからうまいな」
「あい! しかもにおいでにばいおいちー」
日本でそんなことを言えば、こいつらは貧乏なのかと思われそうだが、ヒナぐらいの子供が言うのであれば微笑ましい方が勝ってしまって、俺はヒナの言うとおりにスープと屋台の匂いを楽しみながら昼食をとった。
もう少しで食べ終わるかと言う頃、突然肉串を焼いていた屋台の店主が俺たちの前にやって来た。
「おいおい、にーちゃん。人んちの屋台の匂いでメシを喰うとはどういう了見だ? こちとら匂いも商売のうちの一つでさぁ。だからそれぞれ三人分、串の料金を払ってもらおうか!」
いきなり喧嘩腰で、しかも嗅いだ肉串の料金を払えと言われた俺はさすがに困惑する。
「……キョウジ」
「にぃに……」
急に顔を怒りに染めた店主に詰め寄られたルーナとヒナは怯えてしまっている。
たしかに、屋台の店の前でその店の匂いでご飯を食べていたら日本であればマナーが悪いとは思う。
しかしながら、肉串と同じ料金を払う必要があるだろうか?
俺は自分たちのミスと店主の言い分を比較して……、ただのイチャモンをつけられているだけでお金を払う必要が無いと判断した。
「ふむ。匂いの代金ね。ならこっちはこれで払うよ」
俺はそう宣言すると、ギルドで冒険者登録料を払った後に小銭が多くなった皮袋を取り出して、ジャラジャラと店主の前で音を鳴らす。
「匂いの料金なら金の音で払えるよな。ちょっと多めに払ってしまったが、お釣りは結構だ」
俺は匂いの料金を払えという店主に対してとんちで返した。
「テメー! 舐めてんのか!」
肉屋の店主は俺の行動に怒り、殴りかかってくるが……、俺はそれをかわすと店主の顔面を殴りかけて目前で拳を停止させる。
「舐めてるのはどっちだよ? これ以上は手加減できんぞ」
「クッ……。覚えてろよ!」
店主はそう言うと、屋台に戻りこちらに背を向けて座る。
「はぁ。馬鹿のせいで飯がまずくなったな。ルーナ、『人生は一度きり!』に案内してくれ」
俺は飯がまずくなったと言う言葉を店主が聞こえる音量で話すと、ルーナに『人生は一度きり!』へと案内を頼んだ。
俺はその後、ルーナたちを家に送り届けると、『人生は一度きり!』に戻り宿をとったのだった。
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怪我がある程度治って散歩をした時にも思ったが、中世のヨーロッパ的な文化度にしては町並みは綺麗だった。
魔法やスキルがある分、科学的には発展していなくてもそれ以外で全く別の文明を築いている可能性だってあるしね。
俺はライトノベルを嗜んでいるのでこの街並みが普通と思う反面、実際の中世ヨーロッパのことも調べていたので、もっとゴミや汚物が道に散らばっている可能性も考えていた。
大通りは綺麗でも小道にそれればそうではないと言った可能性だ。
しかし、ルーナに案内された場所は通りを含めてすべて綺麗で清潔だった。
まあトイレだけは、ボットンというよりはオマルを大きく深くしたようなもので、致した後にナンナさんがいずれ処理をしてくれると知った時は衝撃を受けた。
俺は羞恥心が物凄かったが、この世界でそういった処理は普通であるらしく、ナンナさん、もっと言えばルーナですら気にしている気配さえなかったのだ。
年齢的に俺のモノが女子高生に運ばれて処理されるとかどうなのよ。
あの時は羞恥に耐えて、ナンナさんとルーナに申し訳ない気持ちでいっぱいだったが、逆に俺が処理をしていればよかったのでは?
女子高生の……いやこれはこれ以上考えてはダメな案件だった。
「まあトイレは日本でさえ下水道がまともに整備をされ始めたのは昭和頃からだしな……」
下水自体は奈良時代ごろからあったとはいえ、広く水洗トイレが使われるようになったのは昭和からだったりする。
なんなら現代日本でも田舎ではボットン式というのはまだまだ多いのだ。
俺がホームセンターで働いている時にも、夢は自給自足の田舎生活と言う都会人も多かったのだが、トイレ事情を聞いて結局は諦める人も多かった。
都会人は水洗に慣れているからボットンは無理だよね。
また水洗であっても和式ということも珍しくなく、足腰がある程度は鍛えられていないと踏ん張ることすら難しかったりということもある。
「キョウジ、トイレにでも行きたいの? ここから近い共同トイレは……」
「あ、違う違う。下水道は整備されてないのかなってね」
「下水道……。王都ならそういう話も聞いた気はするけど、ここにはないわね」
俺はそうなると自分より前に転移して来ている人たちはそういう所に手をつけていないのだろうか? と考える。
しかし、自分の前に送られた100人が何時此処へ送られたのかということまでは聞いていなかった事を思い出し、意外と最近……1年前だったりとかもあるのかもしれないと結論づけた。
「そう言えばルーナ。明日は一緒にクエストでも受けに行くか?」
「もちろん! でもクエストを受けるのは初めてだから、今日みたいに案内をしたりはできないわよ?」
「ああ、俺も初めてだし最初は誰でもそうだろ。とりあえずは簡単なものを受けて見よう。怪我の治療とその間の生活費も返さないといけないからな」
「それは気にしなくて良いのに」
ナンナさんやルーナは、ポーション代や怪我治療の看病や滞在費を払う必要はないと言うが、さすがにそういうわけにもいかないだろう。
「ヒナは? ヒナもぉー!」
俺とルーナが明日の活動のことを話していると、ヒナが自分も行くと駄々をこねて肩の上で俺の髪を引っ張る。
「いてて、痛い痛い。抜ける。男はある程度の年齢を重ねると髪の毛のことが物凄く気になるから! 抜いたらダメだから!」
「じゃあつれていってくれりゅ?」
俺はヒナを肩車したまま無言でクルクルと回転をし始めると、時々膝を曲げたりして遊園地の何かのアトラクションのような動きをする。
「きゃっきゃっ たのちー!」
「ヒナはナンナさんを護衛してもらわないとダメだからなー。家を守る騎士さまだ」
「ヒナがきちー? じゃあおかーしゃんごえいすりゅ!」
「ヒナは偉いな~。 そーれ!」
「えへへ。わーい!」
俺はヒナが一緒にクエストをすると言うのをなんとか諦めさせると、少しの間ヒナの機嫌を取るために一緒に遊ぶ。
「まったくヒナは! キョウジに迷惑をかけたらだめでしょう?」
「え~。そんなことないもーん。にいにヒナおなかすいた!」
俺たちは朝から冒険者ギルドへと行きその後町を見て回っていたのだが、広場にある時計塔を見ると既にお昼を過ぎていた。
時計塔では近くで時計を見られない人のためにも、朝6時と9時、昼の12時と15時、夜の18時と21時には鐘がなって時刻が分かるようになっているのだが、どうやら遊びに熱中していて音が聞こえていなかったようだ。
「んー、ルーナ。昼飯はどこで食べられる?」
「うーん。ここは広場に近いからそこで出ている屋台にでもする?」
「お、良いな。行こう」
俺はそう言うと、時計塔のある広場へと向かう。
そこは昼時とあって人が多く、いくつかの屋台が軒を連ねていた。
「ヒナは何が食べたい?」
「うーん。すーぷ!」
俺はヒナの要望を聞いて、スープを買った。
「にぃに、あそこですわってたべよー。あそこならにおいでにばいおいちいの」
俺は匂いで二倍美味しい? というヒナの発言の意味がわからず、ヒナが指をさした所へとりあえず向かうと、そこでは何の肉かはわからないが、肉を焼いたおいしそうな匂いが漂っていた。
「なんだ? あの肉串も食べたいのか? なら買ってくる」
俺はヒナが屋台で焼かれている肉串も食べたいのかと思って買いに行こうとするが……、
「ちがうのー。そこまでおなかはへってにゃいからにおいをたのちむの」
なるほど。
食べる量はいらないが、匂いで一品増えたような感じなのかな。
「ルーナはどうだ?」
ヒナには断られたが、野菜や多少の肉が入っているスープとは言え、若い子には足りないだろうと思い、俺はルーナに肉串がいるかを聞いた。
「んー、今日は特に動いてないからなー。このスープもけっこうボリュームがあるからいらないかな」
遠慮して断っている風でもなくルーナにもいらないと言われたので、俺はそれなら買わなくて良いかと肉串の屋台近くのベンチに腰を下ろし、ヒナも座らせて昼食をとることにした。
「スープに入っている肉は良く煮込んであるからうまいな」
「あい! しかもにおいでにばいおいちー」
日本でそんなことを言えば、こいつらは貧乏なのかと思われそうだが、ヒナぐらいの子供が言うのであれば微笑ましい方が勝ってしまって、俺はヒナの言うとおりにスープと屋台の匂いを楽しみながら昼食をとった。
もう少しで食べ終わるかと言う頃、突然肉串を焼いていた屋台の店主が俺たちの前にやって来た。
「おいおい、にーちゃん。人んちの屋台の匂いでメシを喰うとはどういう了見だ? こちとら匂いも商売のうちの一つでさぁ。だからそれぞれ三人分、串の料金を払ってもらおうか!」
いきなり喧嘩腰で、しかも嗅いだ肉串の料金を払えと言われた俺はさすがに困惑する。
「……キョウジ」
「にぃに……」
急に顔を怒りに染めた店主に詰め寄られたルーナとヒナは怯えてしまっている。
たしかに、屋台の店の前でその店の匂いでご飯を食べていたら日本であればマナーが悪いとは思う。
しかしながら、肉串と同じ料金を払う必要があるだろうか?
俺は自分たちのミスと店主の言い分を比較して……、ただのイチャモンをつけられているだけでお金を払う必要が無いと判断した。
「ふむ。匂いの代金ね。ならこっちはこれで払うよ」
俺はそう宣言すると、ギルドで冒険者登録料を払った後に小銭が多くなった皮袋を取り出して、ジャラジャラと店主の前で音を鳴らす。
「匂いの料金なら金の音で払えるよな。ちょっと多めに払ってしまったが、お釣りは結構だ」
俺は匂いの料金を払えという店主に対してとんちで返した。
「テメー! 舐めてんのか!」
肉屋の店主は俺の行動に怒り、殴りかかってくるが……、俺はそれをかわすと店主の顔面を殴りかけて目前で拳を停止させる。
「舐めてるのはどっちだよ? これ以上は手加減できんぞ」
「クッ……。覚えてろよ!」
店主はそう言うと、屋台に戻りこちらに背を向けて座る。
「はぁ。馬鹿のせいで飯がまずくなったな。ルーナ、『人生は一度きり!』に案内してくれ」
俺は飯がまずくなったと言う言葉を店主が聞こえる音量で話すと、ルーナに『人生は一度きり!』へと案内を頼んだ。
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