ゲスクズに狙われてる俺はイケメンな上司に守られて幸せになります

紫陽さらり

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本編

甘い地獄

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 心の中で助けを求めても 当然誰かが助けに来てくれるほど現実は甘くはなくて……気が遠くなりそうなギリギリで、正気を保ってどこか冷静になってしまう。

 だからこそ、今日の徳仁は何かが可笑しいと気づいてしまうのが不愉快だ。
 具体的に言えば、いつもより暴力的で猟奇的なのにやたらと機嫌がいい。

「ねぇめぐ、抵抗しないで。さっきは痛くしてごめんね? でもね、俺はアイツから逃げて急いで帰って来てやっと会えると思ったら環は仕事の後に飲み歩いたりしてるし、環を守るためにせっかく着けてあげた貞操帯も勝手に外してさ、鼻歌なんか歌って1人で楽しそうだし……俺はやっと……やっとめぐを抱けて嬉しかったのになあ」

 いや、やっぱり機嫌はすこぶる悪いのかも知れない。貼り付けた笑顔の奥にハイライトを感じられない瞳があって、底知れぬ恐怖がねっとりと絡みついてくるようだ。それに、いつも意味は分からないけど、今までには無かったよく分からないことを呟いてて気味が悪い。

 アイツとは誰かとか、何故飲みに行ったことがバレてるのかとか、そもそも、そんなことで怒られなきゃいけない意味も全く分からないけど……とにかく、いつも以上に異常さを感じる。

 早く逃げなければと頭では理解出来るのに、脚に力が入らない。


「環、聞いてる? はぁ、環は何回教えても覚えが悪いね」


 僅かな抵抗をしながら引きずるようにベッドまで連れて来られ投げるように押し倒された。

 ブツブツと喋っていた徳仁に馬乗りにされると、子供の頃からずっと洗脳の様に聞かされて来た『徳仁以外と仲良くしたら危ない』と言う言葉が、優しく頬に触れる手と共に降ってくる。


「もしかして、先週怒りすぎちゃったから反抗してるの?」


 しなり体を寄せた徳仁の唇が 耳たぶを食みはみ、舌先が輪郭をなぞる。鼓膜に直接届く徳仁の声と気持ちの悪い水音が少しでも動いたら本当に喰われてしまいそうで怖い。

 小刻みに体が震えて、自然と小さな声で何度も謝っていた。


「環 怖がらないで。俺は環が好きなだけだよ。大丈夫。さっきはちょっと無理させちゃったけど今度は気持ちよくしてあげる」


 引き出しからローションと玩具をいつくも取り出しながら言われた気休めの好きが呪詛のように聞こえて吐き気がする。

 たらりと冷たい液体が徳仁の指と共に傷へ触れて、痛みで体が小さく跳ねた。


「いや、痛っ、嫌、のりひとっ、ごめ、なさ痛っ」


 謝っても、嫌だと言っても、俺の腰が徳仁から逃げるのを許しては貰えない。


「大丈夫だよめぐ、今度はゆっくり優しく抱くから。すぐに気持ちよくなるからね」


 ぬちゃぬちゃと卑猥な音を立てながら徳仁の指が蜜壷をこじ開けて出入りしている感覚は、先程の無理矢理捩じ込まれた時と違って痛み以上に俺の中の弱い場が撫でられる快感を拾ってしまうのが辛い。

 唇を噛み締めて せめて声を出さないように努めて居るのに、そんなことはすぐにバレて 重ねられた唇の隙間から入り込んだ舌に口腔を蹂躙されてしまうと、自分の喘ぎが鼓膜を揺らして自分で自分を軽蔑したくなる。
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