四天王最弱の男、最強ダンジョンを創る〜俺を追放した魔王から戻ってこいと言われたけど新たなダンジョン創りが楽しいし、知らんがな〜

伊坂 枕

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96 才能を開花させよう!

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「えーと、コギッツ、ちょっといいかい?」

「は、はぁ……どうぞっス」

 俺は、不思議そうに首を貸してるコギッツくんに対して、軽く魔力を流し込んだ。

「【才能開花ハヨサケ・スキル】……」

 ふむふむ。
 どうやら、コギッツくんは成人に近い男性にしては潜在的な魔法技能の才能が高い。

 特に、『火炎魔法』『幻惑魔法』には高い適正があるみたいだ。
 ぶっちゃけ、この二つについては、レベルさえ上がれば勝手に覚える可能性の方が高い。
 さらに、傷の治療に強い『回復魔法』と病や状態異常の治癒に強い『治癒魔法』も使えないことは無さそうだ。

 確かに狐獣人は、獣人族の中でも元々の平均魔力値が高い。
 彼なら、適性のある全魔法の才能を開花させてもダンジョンポイントの消費が数百ポイント程度。
 
 進化に何十万単位のダンジョン・ポイントが必要な高位魔族に比べると、実にお安いものである。

「……『火炎魔法』『幻惑魔法』『回復魔法』『治癒魔法』オープン!!」

 ずぉわっ!!

「な!? 何っスか……!? 何か、今、俺の全部の毛穴が開いたような気がしたっス……」

 ほい。これでコギッツくんは4系統の魔法が使えるようになったはずだ。

「コギッツ、君がいつも使っている短剣を貸してくれないか?」

「? どうぞっス」

 俺は、その短剣を右手で握り締めると、机の上に置いた己の左腕を切りつけた。

 ザンッ!

 と、いい音を立てて、魔力で切れ味強化している短剣が俺の左手首のすぐ肘側あたりをキレイに切断する。
 一応、この分身体の左腕は痛覚シャットアウトをしているから俺に痛みは無い。
 まぁ、止血までは手が回って無いから、流血量は結構、派手だったな。

「きゃあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!」

 だが、突然の凶行を目の当たりにしたシスター・ウサミンが座っていた椅子から立ち上がって絶叫した。

「大丈夫ですよ、シスター・ウサミン。ほい、コギッツ、俺に回復魔法をかけてくれ」

「えっ!? ふぇっ!?」

「大丈夫だ、お前ならもうできる」

「そんな!? お、おおお、俺、ま、魔法なんて……使った事が……」

 何で、腕、切断して流血してる俺よりお前の方が顔色を悪くしてるんだよ?

「へーき、へーき。いつも俺が回復魔法を使ってたのを見てただろ? あれを思い出せ……つーか、早く頼む」

 右手に持っていた短剣を置き、左腕の動脈をぐっと押さえる。
 これで、しばらくは持つが、早いとこ治してほしい。
 うーん、床も机も結構、汚してしまったな……ちょっと次からはやり方を改めた方がいいかもしれない。

 俺がわずかに顔をしかめる様子に、ようやくコギッツくんも肚が座ったのか、小さく息を吐くと

「か、『回復魔法』!! 旦那みたいに切断された腕でも元に戻せるようにっ!!!」

 と、叫んだ。

 その言葉に答えて、コギッツくんの魔力が柔らかな光へと変化し、俺の左腕を包む。
 みるみるうちに、その切断面から骨が、肉が、神経が、皮膚が再生され、元通りの左手に戻る。

 俺は、その再生された左手と右手をぱん、と打ち合わせた。

「……と、まぁ、こんな感じでその人が持っている魔法の才能を開花させる事ができるんです」

 にっこり。

「あ、コギッツ、ついでに『火炎魔法』と『幻惑魔法』と『治癒魔法』も開花しといたから……て、あれ?」

 説明するより早いと思ったのだが、どうやら色々と衝撃が強すぎたらしい。
 シスター・ウサミンは真っ青な顔をしてぶっ倒れているし、コギッツくんも全魔力を無駄に放出しすぎたせいなのか、口もきけずにへたり込んでしまっていた。

 ま、まぁ……その……コギッツくんの身体に害は無いよ? ……うん。

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