98 / 124
98 地下ダンジョン改造計画!
しおりを挟むそんな事を繰り返し、住人の能力を開花させた影響か、最近は地下10階まで頻繁に冒険者達が来るようになっているらしい。
そのため、今日はゴブローさんの要請でネーヴェリクと共に地下ダンジョンのバックヤードに来ていた。
「主様、今回は急にお呼び立てしてしまい、申し訳ありませんでした」
「いや、構わない。……て、ゴブロー……なんか、デカくなってないか?」
そうなのだ。ゴブリン・ロードのはずのゴブローさんが妙にデカイ。
ゴブリンは別名「小鬼」と呼ばれ、一番大きいはずのゴブリン・ロードのゴブローさんでも人間の平均的女性とそれほど体格差が無いはずなのに……
どう見ても、人間の平均男性よりは少し背が高い俺よりも、さらに顔二つ分くらいデカイ。
これは、もう「小鬼」の域を超えてないか!?
「は! 実は先日、格上のサキュバス・クイーンを倒しまして……」
「えっ!? サーキュ様を!?」
「……お、おぅ!?」
サーキュを倒した!?
思わず変な声が出てしまった。
いや、まぁ、確かに、サーキュはそんなに直接的物理攻撃力が高い方ではないが、それでも、アイツの【魅了】は男……それも、ゴブリン種みたいな「性欲が強く、子供を孕ませる能力が高い種族の成人男性」にとっては相性最悪のはずだが!?
魔力量はかなり減っていたけれども、一応、アイツ、元魔王軍四天王の一角なんだぞ!?
ルシーファみたいに、殺されて、転生してレベル0とは話が違う。
スゲーな……ゴブローさん……
「いえ、倒したと言いましても、殺した訳ではございませんのでご安心ください」
なんでも、サーキュのヤツが無駄に性欲を煽る攻撃を仕掛けて来たので、真正面からガチンコ対決したところ、精気を吸い取るはずのサキュバスが、そのあまりの多すぎる絶倫な精力に、喰い切れずギブアップした、というのだから凄まじい。
「その際に、どうやら『大鬼』に自力進化を遂げたらしく……」
「なるほど、格上喰いか」
魔族は、たまに自分の種族よりも『格上』とされている種を倒すと、自力で進化をとげることがある。
ダンジョン・ポイントによる進化と違って、その効果はゴブローさん含む一族郎党にまで及ぶことが多いのが特徴で、さらに、一度でも自力進化を遂げると、さらに同じ事が起こる可能性が高まるのだ。
これは、もしかしたら鬼神種まで進化するか?
そこまで行くと、俺達、魔王軍四天王とほぼ肩を並べられるレベルだぞ。
「下級として蔑まれるゴブリン種から高位魔族入りを果たしたか。一種の伝説だな。……実に素晴らしい!」
「す、すごいデス……!」
「ありがとうございます。これも全て主様のご配慮の賜物……程よく弱らせたサキュバス・クイーンを我々の餌としてダンジョンへ引き入れていただき感謝申し上げます」
う、う~ん……そ、そこまで考えていた訳じゃ無いんだけど、ま、結果オーライ……かな?
「いや、それはお前自身が力を研鑽し続けていた結果だろう」
「お褒めにあずかり光栄です。つきましては、我らが大鬼に進化したことにより、我が同胞より『鍛冶師』の才能を持つ者が生まれ始めております」
「おお! それは良かった!」
それはタイムリーに良い知らせだぞ!
ちょうど、ダンジョンの階層を深くしたから、そろそろ『魔鉱石』とか『魔鉄』とか、その辺の資材が採れるようになってきたところだ。
これは、普通の石にダンジョンの魔力が吸収され変異したものが『魔鉱石』、ダンジョンの魔力で地層が歪められ、鉄分の多い地層がダンジョン内に吸い寄せられるようになり、さらにその魔力を吸収したものが『魔鉄』だ。
魔鉱石はダンジョンの地下15階前後から、魔鉄は20階前後には現れ始める。
もっとダンジョンが深くなれば、『魔法銀』とか『魔白金』とか深緋鉄《ヒヒイロガネ》』とかその辺のレアメタルが採れるようになるが、今はまだそこまでダンジョンは成長していない。
「となると、本来は20階層付近を守って貰った方が効率的か……いや、この際、さらに30階層まで深堀するのもアリだな……」
小鬼だと思って10階付近を守って貰っていたが、大鬼は一応、高位魔族と呼んでも良い強さだ。
これでは、きっとまたボーギルやカシコちゃんに「落差が酷い」と文句を言われそうだ。
中央神殿に行った際にボーギルとカシコちゃんから貰ったコカトリスやサラマンダー、それにサンドワーム達の為にも、ダンジョン内を少し整備してやりたい。
……敗北者の老化サキュバスも一匹居るし?
「はい、ですので、最近は我が同胞とは別に、以前ネーヴェリク様が我々をスカウトくださったように、黒の森から新たな群れのゴブリン達を奴隷として捕らえて連れて来ております」
「え? あ、ありがとう……それは助かるぞ」
どうやら、この地下ダンジョンもそれなりにパワーバランスに変化があるようだ。
よし! それでは、大々的に改造するかー!!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
「お前の戦い方は地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん、その正体は大陸を震撼させた伝説の暗殺者。
夏見ナイ
ファンタジー
「地味すぎる」とギルドをクビになったおっさん冒険者アラン(40)。彼はこれを機に、血塗られた過去を捨てて辺境の村で静かに暮らすことを決意する。その正体は、10年前に姿を消した伝説の暗殺者“神の影”。
もう戦いはこりごりなのだが、体に染みついた暗殺術が無意識に発動。気配だけでチンピラを黙らせ、小石で魔物を一撃で仕留める姿が「神業」だと勘違いされ、噂が噂を呼ぶ。
純粋な少女には師匠と慕われ、元騎士には神と崇められ、挙句の果てには王女や諸国の密偵まで押しかけてくる始末。本人は畑仕事に精を出したいだけなのに、彼の周りでは勝手に伝説が更新されていく!
最強の元暗殺者による、勘違いスローライフファンタジー、開幕!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる