Unstoppable loves

スモールピーチ

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同僚と親友

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「おはようございます」
私は先生方に笑顔で挨拶しながら職員室に入る。
「さくら先生おはようっ」
爽やかな笑顔を向けてくる私の隣のデスクの男。
この男は、小学校時代からずーっと一緒の田中ゆずき先生。
ちなみに私の親友でもある。
今までどんなことでもゆずに相談してきた。
偶々高校も一緒で、偶々大学も一緒で、偶々赴任先も一緒だった。
ゆずもイケメン?だったらしくよく女子から話しかけられていた。
いつも近くにいたからイケメンと思ったこともないし、ときめいたことももちろんない!
だけど、中学校時代に一度だけ付き合ったことがある…

ー中学時代
当時私は陸上部の先輩と付き合っていた。
だか、先輩は高校入学を機に私に別れを告げた。
一時期病んでいた私を支えてくれたのが誰でもないゆずきである。
どうしてかよく覚えてないが、告白されて流れで付き合ってしまった。
やっぱり男として見れなかった私は別れを告げた。
ゆずには悪いことをしたと思ってる。
でも性格が良いのか温厚なのか、ゆずはこれまで通り普通に親友として接してくれる。
今では一緒にいて心地よい存在である。

ー放課後
「さくら、今日飲みに行ける?」
ゆずがそっと耳打ちしてくる。
YES と答えそうになってから、考えなおす。
「ごめん、今日はダメだ。」
そっか、と答え残念そうな顔をするゆず。
ここちゃんのことゆずに話そうかな…
きっとゆずなら聞いてくれる。
だが、男子高校生が家にいることはよく思わないだろ。
いくらここちゃんのお兄さんだとしても、男で未成年だもんね。
そんなことを頭の中で考えていると。
「また、悩み事?俺で良ければ相談のるよ?」
そんなことを言う優しいゆずにこの事を言えないことを残念に思う。
言いたい。
でも、私が勝手に家に入れたのだ。
最後まで責任をとらなくちゃ。
頼ってばかりじゃだめ!
「ううん、悩み事ないよ!」
笑顔で返す。
そんな私を見て、ゆずが悲しそうな顔をしているのも私は気づいてなかった。
「コーヒーぐらい付き合えよ。奢るから。」
私たちは二人コーヒーを飲みながら世間話をした。

ースーパー
ゆずと別れた後一人スーパーに向かう私。
スーパーの前の信号を待ってるはるくんを見つける。
はるくんもこちらに気づいたみたいだ。
お互い小さく手をふる。
信号が青になる。
はるくんがこっちに向かって走ってくる。
「さくらさーん、買い物ですか?」
全速力で走ってきたはるくんは息がすこし乱れている。
「うん、晩ごはんの材料買いに来たんだけど…今日何食べたい?」
すこし間をあけて。
「ここも好きだし、ハンバーグが食べたいです。買い物終わるまで待ってます。荷物持ちますんで。一緒に買い物するのはやっぱりまずいですよね?」
こういう気遣いが出来るなんて素敵だな。
17歳を素敵だと思う日がくるなんて。
「でも、時間かかるかもだよ?」
「大丈夫ですよ。今日はバイトもないですし。」
待ってもらうことにし、急いで買い物をする。
美味しいハンバーグ作るぞ。
気合いを入れて買い物をした。
「お待たせー、ハァハァ」
全然待ってないと言いながら、私が持っていた荷物を取ると歩き出す。
なんてスマートなんだ////
その日は横を歩きながら歩いた。
手を繋ぎたいなと思ってしまった。
ドンドンよこしまな気持ちが私の頭を過る。
どうにかしなくちゃ。

その晩私は、ゆずとは別の親友小泉みどりに連絡した。
みどりは私には数少ない本音で話せる友達の一人だ。
みどりも同様小学校からの付き合いで高校まで一緒だった。
今は、幼稚園の先生をしている。
同業者でもある。

ー電話
「もしもし、さくらー?どうしたの?」
みどりの声は低くて落ち着く。
「みどりー、私牢屋に入れられるかも!」
またいつものように大事な部分をとばしてしまう私。
「うん、落ち着こうか。なんで牢屋に入れられるの?」
ここちゃんとはるくんのことを順を追って説明し、そのはるくんにときめいてしまい、手を出してしまうかもしれないと告げる。
みどりはなぜか笑ってから私に向かって
「手は出すな!でも、ときめくぐらいならタダなんだからいいんじゃない??さくらも女なんだから仕方ないよ(笑)でも、あのさくらをときめかせたその子に会ってみたいよ!」
みどりとの電話ではるくんのことは解決しなかったが、落ち着く事ができた。
感謝を伝え電話をきる。
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