Unstoppable loves

スモールピーチ

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鉢合わせ

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最近ゆずの飲みの誘いに連続で断ってる。
悪い気はするが早く帰らなくてはいけないのだ。
ここちゃんが待ってるから。
ここちゃんとはるくんが家にいる生活に段々と慣れてきた。
この前はるくんがカレーが好きと言っていた…
今日はカレーにしよっ。
そんな事を思い浮かべながら放課後の職員室で仕事をする。
そんなとき、いろんな先生から一気に話しかけられた。
その中にゆずもいた。
私はそんなゆずに適当にYES と返事をしてしまった。
内容をしっかりと聞かずに…
そのせいでこの後あんな事件が起きるとはこの時の私は思ってもいなかった…

いつものように三人でご飯を食べ終わった後私はお皿を洗っていた。
そんなとき
ーピーンポーン
ベルがなる。
「ごめん、はるくん出れる??」
皿洗いしていた私ははるくんに頼む。
どうせアパートの住人だと思っていた。
住人の人にはしばらくいとこが遊びに来ると伝えていたのだ。
「はい、今でます」
はるくんが急いで玄関に向かっていった。
しばらくしてはるくんが戻ってきた。
「さくらさん…あの…。」
なんだかきまりが悪そうに話し出すはるくんの横には…
「おい、さくら。」
あきらかに機嫌が悪いゆずがいた。
もしかしてあの時、今日家に行くって言ってたのか!?
手には、ビールが入った袋も持っていた。
仕方ない事情を話そう。
私が話し出そうとした時…
「すみません。俺たち家がなくなって、そんなときさくらさんが俺たちをここに住まわせてくれただけで…さくらさんは何も悪くなくて。知らない男を家に置いとくのはさくらさんの彼氏として嫌だと思います。
でも、全然いやらしい関係とかじゃなくて…あの…。」
息継ぎなしに話し出すはるくん。
私とゆずは声を揃えて、
『あの…彼氏とかじゃないよ…。』
それを聞いたはるくんは顔を赤くして、びっくりした顔をする。
「職場の同僚、ゆずき先生」
私ははるくんに紹介する。
納得したみたい、はるくんは恥ずかしそうな顔をする。
「今日は、ただ同僚として飲もうと思ってきただけ。だけど、この状況説明してもらえる?」
最後は私の方を向いて尋ねてくる。
私とゆずは、はるくんに部屋に戻ってもらい話し出した。

すべてのことを話終えた後は納得したみたいだった。
「そういうことなら俺も協力するよ。全部一人で背よいこむな。」
そんなことを言うもんだから、目から涙が落ちてくる。
私はゆずをなんだと思ってたんだろ。
こういう人だって一番知ってるはずなのに。
一人勘違いして、ゆずにもはるくんにも迷惑かけて…
バカだ…。
「ごめん、言わなくて…。」
「俺こそごめん、気づいてあげなくて。」
どうしてゆずが謝るのだろうか。
眉間にしわを寄せてこちらを見ている。
本当に優しいんだ。
ゆずの優しさに再確認した。
「頼りなくてごめん。守るために側にいるのに。」
涙を流している私に向かって変なことを言うもんだから
「何言っての、偶然でしょ(笑)」
私は笑いながら言う。
なのに、ゆずはずっと真剣な顔で…
「偶然なわけねーだろ。高校だって、お前と同じ所に行くために死ぬ気で勉強して、大学だってそう。お前が小学校の先生するってみどりから聞いて俺も話合わせた…ずっとお前が好きなんだよ。お前を支えたくて…。」
ずっと偶然だと思ってた事が偶然じゃなくてすごく驚く。
こくはく?
なんだろ、2回目なのにすごく緊張してる私がいる。
私はゆずが好き…
だけど、ゆずとは違う好きであって。
「返事は今すぐじゃなくていい。今日は、帰るな。」
私の頭をポンポンしながら微笑み帰っていった。
何だったんだ…
急に真面目になっちゃってさ。
リビングで一人ため息をつく。
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