3 / 3
魔女会館
しおりを挟む
ラッキーは日が完全に暮れる前に帰宅した。ラッキーは魔女会館に住んでいる。独身魔女が多く住む、魔女のシェアハウスのようなものだ。
箒から降りると、杖を振ってブドウの木箱を浮遊させ、玄関扉も魔法で開けて屋内に入る。
魔法が使えると、物ぐさになってしまって困る。それで慌ててダイエットしたり筋トレに励んだりするのだ。
広い玄関ホールの隅に箒置き場がある。杖を一振りすれば箒がびゅんと飛んで行って定位置に収まった。玄関ホールの隅に、何やら怪しい魔法道具のガラクタが置いてあった。誰かが放置しているようだ。勝手に捨てると揉めるので、放っておく。
らせん階段を階段を登っていく。2階が住民の共用スペースで、ラッキーの自室は3階にある。ラッキーはひとまず2階のラウンジに向かった。
2階の中心にあるラウンジには、一般家庭で言うリビング、ダイニング、キッチンの機能が備わっている。ラウンジの周囲には扉がたくさんあり、数人で使える個室のキッチン、ジム、魔法実験室、図書室などがある。何しろ住人全員が魔女なので、欲しい部屋があれば空間拡張魔法で追加したり、いらなくなった部屋を消したりしていた。
暖炉の前のソファに寝っ転がって本を読んでいるのは、フリーランスのドラゴンスレイヤーのミカである。
「おかえりー」
「ただいまー」
ラッキーはブドウの木箱をダイニングテーブルの上に置いた。
「何それ?」
「ブドウ。とりあえず、食べながら話そう」
ラッキーは杖を振ってブドウを2房洗い、皿に乗せた。
「ブリリアントマスカットじゃん。1房2000ゴールドはしそう。しかも箱いっぱいあるの?!」
「そう。私、これからはブドウフリーパスなの」
ラッキーはブドウの皿をローテーブルに置いて、ソファに座った。ブドウを1粒つまんで口に入れる。甘くて濃厚な果汁が口いっぱいに広がり、幸せな気分になった。
ブドウを食べながら、今日の出来事をミカに話す。
「Aランクドラゴン退治かー。100万ゴールドのクエストじゃん。まあ、手取りは70万ゴールドだけど、それでも相当よ」
「私も退治する気なかったけど、緊急クエストを出す暇もなくてさ。村の真上に出ちゃったんだもん」
「あなた、本当に冒険者側に転職したら?」
「でも、ミカを見てるとフリーランスも大変そうじゃん。何日もかけて魔物退治に行ったりするし。その間に新刊が出たりイベントがあったりしたらどうするの?! 原稿の計画も立てにくいし」
腐女子の活動は主に、小説やマンガを買って読んだり、休日を中心に行われるファンイベントに参加したり、自分で小説やマンガを創作したりすることだ(これを原稿と言う)。中にはプロの腐女子もいるが、ほとんどの腐女子が余暇に活動を行っている。
その点、本業が事務員ならカレンダー通りの休みが取れるし、有休もとれる。腐女子の活動にはもってこいだ。
ちなみにミカも腐女子だ。というか、魔法使いたちが鉄の掟で隠しているのだが、どうやら黒魔法の素質はBLに目覚めると同時に発現するので、この世界の腐女子・腐男子は全員魔法使いである。
ミカはブドウを食べながら、うんうんと頷いた。
「人それぞれね。私はドーンと稼いで、しばらくダラダラするのが好きだけど」
そしてミカは読んでいた本を再び開く。マッチョ受けのBLマンガだった。BLの好みも人それぞれである。
ブドウを食べながら少し休憩すると、ラッキーは自室に向かった。ミカには悪いが、マッチョ攻めのイラストを描かなければならなかった。
箒から降りると、杖を振ってブドウの木箱を浮遊させ、玄関扉も魔法で開けて屋内に入る。
魔法が使えると、物ぐさになってしまって困る。それで慌ててダイエットしたり筋トレに励んだりするのだ。
広い玄関ホールの隅に箒置き場がある。杖を一振りすれば箒がびゅんと飛んで行って定位置に収まった。玄関ホールの隅に、何やら怪しい魔法道具のガラクタが置いてあった。誰かが放置しているようだ。勝手に捨てると揉めるので、放っておく。
らせん階段を階段を登っていく。2階が住民の共用スペースで、ラッキーの自室は3階にある。ラッキーはひとまず2階のラウンジに向かった。
2階の中心にあるラウンジには、一般家庭で言うリビング、ダイニング、キッチンの機能が備わっている。ラウンジの周囲には扉がたくさんあり、数人で使える個室のキッチン、ジム、魔法実験室、図書室などがある。何しろ住人全員が魔女なので、欲しい部屋があれば空間拡張魔法で追加したり、いらなくなった部屋を消したりしていた。
暖炉の前のソファに寝っ転がって本を読んでいるのは、フリーランスのドラゴンスレイヤーのミカである。
「おかえりー」
「ただいまー」
ラッキーはブドウの木箱をダイニングテーブルの上に置いた。
「何それ?」
「ブドウ。とりあえず、食べながら話そう」
ラッキーは杖を振ってブドウを2房洗い、皿に乗せた。
「ブリリアントマスカットじゃん。1房2000ゴールドはしそう。しかも箱いっぱいあるの?!」
「そう。私、これからはブドウフリーパスなの」
ラッキーはブドウの皿をローテーブルに置いて、ソファに座った。ブドウを1粒つまんで口に入れる。甘くて濃厚な果汁が口いっぱいに広がり、幸せな気分になった。
ブドウを食べながら、今日の出来事をミカに話す。
「Aランクドラゴン退治かー。100万ゴールドのクエストじゃん。まあ、手取りは70万ゴールドだけど、それでも相当よ」
「私も退治する気なかったけど、緊急クエストを出す暇もなくてさ。村の真上に出ちゃったんだもん」
「あなた、本当に冒険者側に転職したら?」
「でも、ミカを見てるとフリーランスも大変そうじゃん。何日もかけて魔物退治に行ったりするし。その間に新刊が出たりイベントがあったりしたらどうするの?! 原稿の計画も立てにくいし」
腐女子の活動は主に、小説やマンガを買って読んだり、休日を中心に行われるファンイベントに参加したり、自分で小説やマンガを創作したりすることだ(これを原稿と言う)。中にはプロの腐女子もいるが、ほとんどの腐女子が余暇に活動を行っている。
その点、本業が事務員ならカレンダー通りの休みが取れるし、有休もとれる。腐女子の活動にはもってこいだ。
ちなみにミカも腐女子だ。というか、魔法使いたちが鉄の掟で隠しているのだが、どうやら黒魔法の素質はBLに目覚めると同時に発現するので、この世界の腐女子・腐男子は全員魔法使いである。
ミカはブドウを食べながら、うんうんと頷いた。
「人それぞれね。私はドーンと稼いで、しばらくダラダラするのが好きだけど」
そしてミカは読んでいた本を再び開く。マッチョ受けのBLマンガだった。BLの好みも人それぞれである。
ブドウを食べながら少し休憩すると、ラッキーは自室に向かった。ミカには悪いが、マッチョ攻めのイラストを描かなければならなかった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
聖女を追放した国は、私が祈らなくなった理由を最後まで知りませんでした
藤原遊
ファンタジー
この国では、人の悪意や欲望、嘘が積み重なると
土地を蝕む邪気となって現れる。
それを祈りによって浄化してきたのが、聖女である私だった。
派手な奇跡は起こらない。
けれど、私が祈るたびに国は荒廃を免れてきた。
――その役目を、誰一人として理解しないまま。
奇跡が少なくなった。
役に立たない聖女はいらない。
そう言われ、私は静かに国を追放された。
もう、祈る理由はない。
邪気を生み出す原因に目を向けず、
後始末だけを押し付ける国を守る理由も。
聖女がいなくなった国で、
少しずつ異変が起こり始める。
けれど彼らは、最後まで気づかなかった。
私がなぜ祈らなくなったのかを。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
この子、貴方の子供です。私とは寝てない? いいえ、貴方と妹の子です。
サイコちゃん
恋愛
貧乏暮らしをしていたエルティアナは赤ん坊を連れて、オーガスト伯爵の屋敷を訪ねた。その赤ん坊をオーガストの子供だと言い張るが、彼は身に覚えがない。するとエルティアナはこの赤ん坊は妹メルティアナとオーガストの子供だと告げる。当時、妹は第一王子の婚約者であり、現在はこの国の王妃である。ようやく事態を理解したオーガストは動揺し、彼女を追い返そうとするが――
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
【完結】精霊に選ばれなかった私は…
まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。
しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。
選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。
選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。
貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…?
☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる